【暗号資産×サステナビリティ】サステナブルな暗号資産・ブロックチェーンプロジェクト(連載第2回)
- On 2021年9月24日
- HEDGE GUIDE, サステナビリティ, サステナブル, ブロックチェーン, 仮想通貨, 暗号資産
こんにちは!ハーチの加藤です。金融・投資メディア「HEDGE GUIDE」で暗号資産・ブロックチェーン分野を担当しています。一見サステナブルからは程遠い暗号資産について、「サステナブル」という切り口で3回に分けてその実情をお伝えをしています。
連載第2回となる本記事は、暗号資産や暗号資産の要でもあるブロックチェーン技術を活用したサステナブルなプロジェクトについて、詳しくご紹介していきたいと思います。
※連載第一回「『暗号資産はサステナブルではない』って本当?」
イーサリアムを活用したサステナブルなプロジェクト
暗号資産に詳しくない方はイーサリアムを知らないという方もいるのではないでしょうか。イーサリアムをビットコインと同様に単なるデジタル通貨だと捉えている人もいるかもしれません。ですが、実のところイーサリアムは通貨・銘柄ではなく、さまざまなアプリケーションを開発・実行することができるプラットフォームとして開発されました。
イーサリアムでは日々さまざまなプロジェクトやプロダクトが開発が進み、新たな金融の世界が作られています。それらの中にサステナブルな目標を主目的としたプロジェクトもありますので、以下で詳しくみていきましょう。
? ユニセフ・クリプトファンド
ユニセフ(国連児童基金)は、ユニセフ仮想通貨ファンド(UNICEF Cryptocurrency Fund)を新たに設立し、仮想通貨イーサとビットコインによる寄付を受領し、保持し、支払うことができるようになりました。この事例では、イーサリアムは世界的な課題の解決のためにブロックチェーン技術を活用するプロジェクトを遂行している企業、世界各地で学校におけるインターネット環境を整備するプロジェクトへの助成に用いられました。
? DaiやUSDCなどのステーブルコイン
ステーブルコインは、イーサリアム上で発行されるボラティリティ(価格変動)が存在しない暗号資産です。暗号資産を決済に利用しようとすると、価格のボラティリティがネックとなり通貨として使用することが困難という問題があります。これに対し、ステーブルコインではドルなど法定通貨の価値と同じになるよう設計され、インフレなど政府が発行する法定通貨が不安定な際に資産を保全する手段として活用することができます。
? ETHERISC
ETHERISCはイーサリアムを活用し、フライトの遅延、ハリケーン、作物、死亡などに対して保険を自動で執行できる分散型プロトコルです。ETHERISCでは、零細農家に作物保険を提供するACRE Africaとのプロジェクトにおいて、気候変動とブロックチェーン・分散型台帳技術を取り持つイニシアチブClimate Ledger Initiative (CLI)から助成金を受けるなど、パリ協定やSDGs達成に向けた取り組みを進めています。
マイニングによる電力消費問題を解決するイーサリアム
イーサリアムは暗号資産時価総額2位のブロックチェーンプロジェクトで、今話題となっているデジタルデータに所有権の概念を与えた「NFT」(Non-Fungible Token:ノンファンジブルトークン)や銀行・証券会社などを金融仲介者を必要としない金融サービス「DeFi」(Decentralized Finance:分散型金融)など、不特定の管理者・運営者によって運用されるアプリケーション(DApps:分散型アプリケーション)のためのプラットフォームです。
電力消費を99.95%削減する発行方式「PoS」
イーサリアムはビットコインマイニングにおける電力消費量を問題視し、マイニングの必要がなくなる暗号資産の発行方式(PoS:プルーフ・オブ・ステーク)の本格実装に向けて現在もアップデートを続けています。イーサリアムの開発を主導するイーサリアム財団によれば、PoSの導入により電力消費はPoWから99.95%削減できる可能性があるとのことで、ビットコインのように膨大な電力を消費することなく暗号資産エコシステムが維持できることが現実のものとして提示されました。
まとめ
寄付では本当に寄付金が寄付先に届いているのか不透明であるという問題がありました。ここにブロックチェーン技術が利用されることで、いつ・誰が・いくら寄付をしたか、誰が・いつ・いくら寄付を受け取ったのかが確認できるようになりました。また、日本で身近なものとして捉えることは難しいかもしれませんが、ステーブルコインのように資産を保全する暗号資産の存在は情勢が不安な国では有用なものと言えるでしょう。
暗号資産やブロックチェーンがサステナブルと言われてもピンと来ないという方も、これらの取り組みからあらためて暗号資産・ブロックチェーンの面白さを感じることができたのではないでしょうか。この記事をきっかけに暗号資産・ブロックチェーンについて興味をもつ機会となっていただければ幸いです。次回は、ブロックチェーンが解決する今後注目の分野についてご紹介する予定ですので、お楽しみに!
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URL:https://hedge.guide/cryptocurrency
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