【社内イベントレポート】白玉作りで未来を考える対話型アートワークショップ開催
- On 2019年11月12日
- 社内イベント, 社内研修
みなさん、こんにちは!ハーチの水野です。今回は、10月に開催した、アートを使った社内研修について報告したいと思います。
アートワークショップの背景とは?
まず、なぜ今回、アートワークショップを開催しようとしたのかについてお話しします。
自然災害、環境破壊、テロ、経済危機、人口爆発、高齢化社会・・・。現在、私たちが生きているこの時代は、未来の予測が不可能なほど不安定で、VUCAの時代とも呼ばれています。
この不確実な時代には、一つの正しい課題も一つの正しい答えもありません。課題解決型ビジネスの時代は終わりを迎え、これからはみんなが解きたいと思う、優れた「問い」を生み出す力、つまり問題解決(デザイン)ではなく問題提示力(アート)がすべてのビジネスパーソンに求められています。
優れた問いを生み出すためには、固定概念にとらわれずに、自分の内部に生じた思考や感情が起点となった柔軟な想像力・創造力が求められます。そんな、新しいものを生み出す体験として、今回は白玉を用いて対話型アートワークショップ「Shiramata de Art」を実践しました。
世界のトップ企業が社内トレーニングとして料理ワークショップやアートワークショップを積極的に取り入れている背景を見ると、正解がなく、チームビルディングにも役立つ「料理」や「アート」に対する期待が高まっていると言えます。
そして、白玉作りでは、手を動かしながら身体全体を使って自分自身について考えることで、ふと立ち止まり、今に集中するマインドフルな時間となります。都会で生活していると、自分の本当の心の声が雑音でかき消されてしまう時もあるかと思います。数字、前例、データ、論理など、頭で合理的に考えてばかりで疲れが溜まっていないでしょう。自分の人生を歩んでいくためには、自分と向き合い、身体の声を聞く必要があります。
研修の様子
当日は、東京・人形町にある古民家をお借りして研修を行いました。真っ白な白玉粉に、いちご(赤)、抹茶(緑)、かぼちゃ(黄)、ごま(黒)、ココア(茶)パウダーをそれぞれ混ぜ込み、白も含めて6色の白玉粉と、デコレーション用にチョコレートやクッキー、寒天などを用意しました。実は白玉は、粘土のように色も形も自由自在に変形できる優れた素材なのです。
当日の研修テーマは、「10年後の自分」でした。白玉を使って15分で「10年後の自分」を形作ってもらい、お湯で茹で、茹で上がったらそれぞれ持参したキャンバス(お皿)に最後の仕上げをしてもらいます。作品名と説明も一緒に考えてもらいました。
そのあとは、「アート鑑賞」の時間です。作品のタイトルと意図を伏せたまま、お互いの作品を鑑賞してもらい、「どのように作られているのか」「何を感じ、どんな解釈をしたか」「作者はなぜそれを作ったのか、アートに込められた意味や課題」をポストイットに書き、作品の近くに貼ってもらいました。20分間、本当に美術館にいると錯覚するほど、静かな空気が流れていました。
美術鑑賞が終わったあとは、1人2分で、みんなの鑑賞コメントのシェアと、作品名と作品を作った意図を説明してもらいました。見るだけでは想像できない意図が隠されている作品もありました。
そして最後はお待ちかねの食べる時間です!「食べる」ことで、このアートは完成します。自分の中に取り込むことで、成功のおまじないの意味があり、また廃棄物も出ず、なにより楽しく美味しい体験になります。
「白玉で自分の未来を表現する」とは?
白玉と聞いて、白くて丸いお餅を想像したり、「白玉で自分の未来を表現する」なんてよくわからないと思われた方もいるかと思います。しかし、実際にやってみると、そうではない結果が待っています。
下記は、実際の参加者の声です。
「自分を見つめなおしたり、皆の考えている理想を共有できたり、とても有意義な時間でした。」
「白玉という素材を使って作品作りをしたのは初めてで新鮮でした。仲間と同じ空間の中での思いを形作る作業、時間に癒されました。ハーチでは夢を語ってもジャッジする人がいないので安心して自己表現することができました。また、自分の完成作品へのコメントを読んでいると同僚のみんなが普段の自分を見てくれていることが感じられて、感動しました。」
「一番印象に残っているのは、『白玉でアート』という作者の意図を反映しにくいテーマで作られた作品でも、作り手の個性がしっかりと現れていたことです。普段の生活で自分らしさに気づくことは難しいですが、表現が限られる中で作った作品を比べ合うことで、メンバーのことはもちろん、自分をあらためて俯瞰することができたのも得がたい体験でした。また、頭の中にイメージがあっても実際には思うように表現しきれない中、そうした不自由すらも楽しむことは、今回のワークショップに限らず日々の生活でも重要な力だと思いました。」
アートに正解はありません。もちろん、アーティスト側の意図はありますが、同時に受け手(鑑賞者)がどう感じるかの「余白」を残すのが大事だと考えています。受け手が自分なりに「余白」の意味を考え、作品を通して自分自身や他人とコミュニケーションをとり何かを学び得ることでしか、アート作品としての価値は生まれません。
今回の社内研修は、日常から少し離れ、「アート」という他人の目を通して見た世界を体験することで、一緒に働いている仲間や自分自身について俯瞰してみる時間となりました。ハーチでは今後も、新しい視点や気づきを得るきっかけとなる研修をおこなっていきます。
【ワークショップ主催者ウェブサイト】Nagisa Mizuno
【ワークショップ主催者インスタグラム】NAGICHA