【提携先インタビュー#04】セブの貧困層から未来のリーダーを育てる、NPO法人DAREDEMO HERO
- On 2022年7月7日
- DAREDEMO HERO, UU Fund, セブ島, フィリピン, 地域支援, 寄付プロジェクト, 循環支援, 教育支援, 経済的自立
こんにちは!ハーチの杉山です。
当社ではUU Fundという寄付プロジェクトを実施しています。当社が運営するウェブメディアの1UU(ユニークユーザー)につき0.1円をNPOなどの団体に寄付するという当社独自の取り組みです。読者を増やせば増やすほど、環境や社会がよりよくなっていく仕組みを作りたいという想いから、2021年にスタートしました。
寄付先は、当社の事業に関わりのある業界や地域、活動内容などを踏まえて毎年検討しています。
当社の事業の1つである英語学習者のためのポータルサイト「English Hub」で関わりが深い場所の1つがフィリピン・セブ島。セブは日本から近いリゾート地として有名ですが、フィリピンで英語が公用語の一つとして使われていることもあり、短期の語学留学やオンライン英会話の拠点が多くあります。ここ2年はコロナ禍ということもあって特にオンライン英会話学習の需要が伸びています。
他方で、セブは食事もままならない経済状況で多くの人が暮らしている地域でもあります。自宅で安全な水を得ることができない人や、学校に行くこともできず家族のためにゴミを漁って食べるものを探す子どもなど、日々の生活に困っている人々が多くいます。
そんなセブで、「セブの貧困層から未来のリーダーを育てる」をテーマに、貧困でも、志をもって「がんばる子どもたち」に、教育の機会を提供し、彼らの夢の実現を応援しているNPO法人DAREDEMO HEROにUU Fundで寄付を行いました。
今回は、DAREDEMO HERO代表の内山順子さんに、創業の経緯や当社からの寄付金の活用方法について、お話を伺いました。
回答者のプロフィール
内山 順子 氏:NPO法人DAREDEMO HERO理事長兼、現地NGO団体代表
福島県出身、精神保健福祉士。大学時代から世界中を旅行し、世界の貧困問題に触れる。公務員として勤務しながら、東日本大震災のボランティア活動に従事。2013年、台風ヨランダの支援活動をきっかけにセブでの活動をはじめ、翌年にはセブへの移住を決める。2019年にNPO法人DAREDEMO HEROを設立。セブ日本人会事務、日比NGOネットワーク運営委員としても活動。
Q. DAREDEMO HEROはどんな団体ですか?
DAREDEMO HEROのMissionは「すべての子どもたちが夢と希望を持ち、努力が正当に報われる社会を実現する」ことです。世界にはいくら努力をしても、それが報われない社会があります。ここセブでも、いくら勉強をがんばっても、経済的な理由で小学校すら卒業できない子どもたちがいます。朝から晩まで働いても、愛する家族に満足な食事を与えることができない親がたくさんいます。
DAREDEMO HEROのvisionのひとつが「貧困層が自ら問題を解決する力をつける機会を提供する」ことです。目の前で困っている貧困層に食べ物を与えることも大事です。しかし、それを続けていても根本的な問題解決にはつながりません。貧困層が自らの力でこの国の問題を解決していかなければなりません。そのために必要な教育や情報、知識を提供するのが私たちの支援です。
もうひとつのvisionが「国境を越えた交流を通じて、お互いの視野を広める機会を提供する」ことです。日比それぞれの価値観の中で生きる者同士が、交流を通じて新たなものの見方や考え方を身に着けることができます。
DAREDEMO HEROは自らが問題を解決する団体ではなく、現地の人々が、さらにそこにかかわる人々に、問題を解決するための機会を提供する団体です。
Q. どんな活動をしていますか?
DAREDEMO HEROでは、大きく分けて3つの活動に取り組んでいます。メインとなる活動は「奨学生の教育支援」です。現在、小学3年生から大学生までの47名に対して、徹底した教育支援を行っており、昼食の無料提供、オンライン・オフラインでの学習サポート、学用品・制服の支給、大学卒業までの学費の支援を行っています。将来、奨学生がそれぞれの夢を実現し、各分野でのリーダーとなって、これらの問題を解決してくれることを期待しています。
2つ目は「地域支援」です。新型コロナウイルスによるパンデミックが始まった当初は、支援物資などを配布する緊急支援を行っていましたが、現在は貧困層が経済的に自立できるようにするための支援を、約500世帯を対象に行っています。今年度は、栄養改善事業、女性の権利向上事業、口腔衛生事業、ライフスキル向上事業、農業支援など、様々な事業を行っています。
3つ目は「文化交流」です。コロナ禍でもオンラインを活用し、日比間でSDGsについて討議する機会などを提供しています。交流を通じて、日本人にとっては「他人事」であった世界の問題を「自分事」としてとらえるような取り組みを行っています。さらに「自分の常識は世界の常識か?」「幸せとは何か?」などを問いかけています。
これらの活動を通じて、私自身が「強固な架け橋」となって、支援する側、される側、さらにそこで働く人々、かかわる人々みんながHAPPYになれる支援活動を目指しています。
Q. ハーチからの寄付をどのように使うか、どのように決めましたか?
寄付のお知らせをいただいた際、DAREDEMO HEROは大きな問題を抱えていました。日本ではあまり報道されていませんが、2021年12月に巨大台風がセブ島全域を襲い、甚大な被害を出しました。DAREDEMO HEROでは発災直後から大規模な緊急支援活動を展開し、多くの被災者を救済することができました。
しかし、被害があまりに深刻で、全ての復興には資金が不足していました。特に、地域支援の一環で行っているラーニングセンターの再建が大きな課題でした。
DAREDEMO HEROではセブでも最貧困地区と呼ばれる、ゴミ山や墓地に住む子どもを対象としたラーニングセンターを3か所運営しており、現在75名の子どもを支援しています。セブでは2020年3月から未だに対面授業が再開されておらず、ラーニングセンターは子どもにとって唯一学べる場所でした。しかし、台風によりラーニングセンターは全壊、また火災によって全焼してしまい、再建にはまとまった資金が必要でした。
そんな時に、ハーチ様から支援をいただくことができ、無事にラーニングセンターを再建することができました。現在はゴミ山に住む25名の子どもたちが、ラーニングセンターで学ぶことができています。
Q.今後のDAREDEMO HEROの展望を教えてください
DAREDEMO HEROの最終的な展望は、私たちのようなNGOやNPOが必要なくなることです。DAREDEMO HEROのMissionである「すべての子どもたちが夢と希望を持ち、努力が正当に報われる社会を実現する」ことができれば、世の中からDAREDEMO HEROは必要なくなります。その日が来るまでに、やるべきことはたくさんあります。
現在、DAREDEMO HEROが力を入れているのが「循環支援」です。私たちのようなNGOや政府が一方的に貧困層を支援するのではなく、貧困層同士が支えあって生きていける循環を構築することが大切だと考えています。具体的には、支援地区であるゴミ山と山岳零細農村地区を結ぶコンポスティング事業を計画しています。ゴミ山には日々大量の残飯が運ばれてきます。それらを使い、コンポスティングを用いて有機肥料を生成、農村地区に安価で販売し、支払いの一部を収穫した野菜でゴミ山に還元する事業です。貧困層同士が、持続可能な形で支えあえるシステムを作り上げていきたいと思っています。
そして何よりも大切なことが、今私たちが行っていることを将来的には、実行できるリーダーを一人でも多く育成することです。そのために、日々の活動に定期的に奨学生も参加させることで、地域の問題を理解し、地域にどう貢献していけるのかを実体験として学ばせています。
まとめ
今回の寄付によってDAREDEMO HEROさんの活動を知りました。困っている人々に必要な物や食事を届けるだけではなく、自立するための支援を行っていることや、さらには循環支援につなげようとしていることに共感しました。
寄付から始まったつながり。私たちの事業活動や取り組みを通じて、ほんの少しでも社会や環境が良くなるように、これからも考え実行していきたいと思います。
【関連サイト】NPO法人DAREDEMO HERO
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