【Circular Yokohama】イベントレポート「サーキュラーデザイン思考を身につけるワークショップ『Circular Design Sprint』」
- On 2022年10月20日
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当社が運営する横浜のサーキュラーエコノミーを促進するプラットフォーム「Circular Yokohama」は、2022年9月に神奈川大学にてサーキュラーデザイン思考を身につけるワークショップ「Circular Design Sprint」を開催しました。本記事では、その模様をお届けします。
※この記事は、Circular Yokohama「【Circular Yokohama Letter 2022年9月号】サーキュラーデザインを学ぶ『Circular Design Sprint』を神奈川大学にて開催しました」を転載したものです。
「Circular Design Sprint」について
「Circular Design Sprint(サーキュラー・デザイン・スプリント)」とは、サーキュラーデザイン思考を身につける短期集中型のワークショップ。具体的な製品やサービスモデルの開発にサーキュラーエコノミーの概念を思考に落とし込むことで、ビジネスのサーキュラー・シフトを支援するプログラムです。
本イベントは、Circular Yokohamaのグループメディアで、日頃からCircular Design Sprintをはじめとした事業のサステナブル化支援を提供する「IDEAS FOR GOOD Business Design Lab」との協働により、開催しました。
※「Circular Design Sprint」の詳細やお問い合わせは、下記ページをご確認ください。
神奈川大学での共創の取り組み
2022年1月〜3月にかけて、Circular Yokohamaとともにサーキュラーデザインを学んできた、神奈川大学経営学部・道用ゼミの皆さん。
その中で生まれたアイデアの一つが、「果物の非可食部から作るマドラー」でした。
今回は、横浜・馬車道でサステナブルカフェとおみやげショップ「haishop」を営む株式会社Innovation Designさまにご協力いただき、サーキュラーデザイン思考を用いて、haishopでのマドラー提供を目指した製品開発に挑戦しました。
初めに、サーキュラーエコノミーが廃棄物や汚染を出さない資源循環を定義していることや、サーキュラーデザインは原料の調達から製品の製造、その販売や修理に至るまで、ビジネスモデルに関わる全ての人が役割を担っていることなどを学習。学生と共に、現状のマドラーやプラスチックごみが抱える課題をサーキュラーエコノミーの視点から掘り下げました。
続いて、haishopの皆さんから、haishopで提供する製品のこだわりやサステナブルな飲食店経営における課題についてレクチャーしていただきました。
haishopが製品を選ぶ際にこだわっているのは下記の4点。
- Made in Japan:日本で作られたものか?
- Good Design:思わす手に取り、使いたくなるデザインとは?
- Products with a Story:店舗でどんなストーリーをどのように伝えるか?
- Socially Conscious:社会的に配慮されているか?
そこで今回のCircular Design Sprintでも、これら4つのポイントを満たすマドラーが作れるかどうかを検討していきます。
資源が循環する、「マドラーではないマドラー」を考える
サーキュラーエコノミーやサーキュラーデザインの基礎知識を学んだあとは、学生一人ひとりが「サーキュラーデザイナー」となって、製品開発のプロセスを辿るワークに取り組みます。
ここでは「棒状のマドラー」という見た目の既成概念から離れ、そもそも人はマドラーに何を期待しているのか?という問いと共にマドラーの機能に着目します。すると、「液体を混ぜられれば、棒状でなくてもいいのでは」や、「砂糖やミルクがうまく攪拌できれば、混ぜなくてもいいのでは」といった本質的な問いに立ち返ることができます。さらにマドラーを飲食店で使用する場面だけではなく、原材料から製造、提供、回収と、サプライチェーン全体において資源を取りこぼすことなく循環させる方法についても検討しました。
学生たちは浮かび上がった疑問を軸に、マドラーに期待する機能や役割を果たす「モノ」をデザインする作業に入ります。今回は、各家庭から段ボールやお菓子の包装、飲み終わったテイクアウト用コーヒーカップなど、捨てられていた素材を持ち寄ってプロトタイピングの材料として活用しました。
プロトタイピングの発表
プログラムの最後に、プロトタイプの発表が行われました。実際にカフェやお土産ショップで販売することを前提に、一人ひとりがディスプレイや提供サービスのアイデアも併せてプレゼンテーションしました。
学生たちは、プロトタイプを通じて次のようなアイデアを創出しました。
- フルーツの皮を使ったキャンディーを作り、それをつなげてロケット鉛筆型のマドラーにする
- フルーツの皮からシロップと棒状の皮キャンディーを作って組み合わせ、べたつかずにかきまぜられるようにする
- 網付きのカップの蓋に琥珀糖をいれておき、カップを軽く揺するだけで砂糖が液体に溶けるようにする
- 紅茶やコーヒーもワイングラスに入れて提供することで、マドラーがなくても砂糖やミルクが混ざるようにする
- ギフトボックスに入れてラッピングすることで高級感を演出し、マドラーを大切に使ってもらえるようにする
- 楽しく個包装を削減するために、シロップやマドラーが直接ガチャガチャから出る仕組みにする
- グラスやカップも再生素材や再生可能素材にしてみる
発表を受けて、haishopのみなさんからは次のようなフィードバックをいただきました。
「普段の店舗運営の中で、何事もクリエイティブに考えてみようと思っても『やっぱり難しいな』と諦めてしまったり、当たり前を疑うことを怠ってしまったりしていることに、今回のワークショップを通して気づきました。しかし、そういった難しくて煩わしいことこそきちんと向き合っていくことが、社会課題の解決には必要であると再認識し、責任感を感じています。また、社会課題に向かい合うときは、学生とか社会人とか立場は関係ないと思っています。こうして同じ志をもった仲間が増えたことがとても嬉しく、心強いです。」
また、学生たちからも今回のプロジェクトについて様々な感想があがりました。
「マドラーという一つの出発点からプロトタイプしたのに、気がつけば三者三様異なるアイデア創出が起こっているところに面白さを感じました。」
「サーキュラーデザインには終わりがない、ということに気がつきました。課題が一つ解決されると、じゃあこっちは?あっちは?と別の課題が浮かび上がってきます。一つずつ向き合っていくことはとても大変だけれど、同時に楽しいことだと実感しました。」
「サーキュラーエコノミーを考えるためには、まだ世の中にない全く新しい何かを生み出す必要があると思っていました。しかし実際は、すでに身近にあるもの、既にそこにあるアイデアに対してどのような見方をするか、それがサーキュラーの始まりであると学びました。」
今回のCircular Design Sprintが、学生の皆さんの新たな興味関心の発見や、haishopでのサステナブル経営のさらなるヒント創出につながっていることを願っています。
ご協力いただきました株式会社Innovation Designの皆さまと神奈川大学の皆さま、ありがとうございました。
Circular Yokohamaでは、今後も学民連携の取り組みを推進してまいります。
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