EUとカナダ、AIを使う気候モデリングの協力強化で行政取り決めに署名。山火事の予測や北極の気候に重点

欧州委員会は10月30日、地球のデジタルツインを作るEUの取り組み「Destination Earth(DestinE)」で、カナダ環境・気候変動省との協力を強めたと発表した。同じ日にモントリオールのEU・カナダ首脳会議で行政取り決めが署名され、EUとカナダはAIを使う気候モデリングの協力を進める。
EUとカナダは専門知識やデータ、高解像度のモデリングの能力を持ち寄り、気候リスク評価を一新することと、気候変動への適応に使うツールの開発を早めることを目指す。欧州委員会の説明では、この協力で複雑なデータを判断に使える情報に変え、防災当局や産業界、政策担当者などが急速に変わる気候に備えるのを助ける。
共同で優先する分野は3つある。山火事の分野では、発火や燃え広がり方、大気とのフィードバックを予測するAIのアルゴリズムの開発を進め、初動対応にあたる人が備える時間を確保する。
北極の分野では、海氷の減少や永久凍土の融解、極渦などのシミュレーションを強化する。欧州委員会によると、北極の変化が北半球の気象を乱す度合いは強まっている。情報の精度が上がれば、影響を受けやすい地域社会の保護に役立ち、カナダと欧州北部の適応費用を抑える助けにもなる。
国境を越えた強靱化の分野では、カリブ海など影響を受けやすい地域の高解像度の予報と気候リスクのモデリングを支援する。
10月30日に出た首脳会議の共同声明も、前回の首脳会議以降の成果の1つに、DestinEで山火事、極端な気象、気候シミュレーションのための先端AIに協力して取り組むとの合意を挙げた。声明は、予防や早期発見などの山火事対策の協力を広げることと、北極などをテーマにした対話を始めることも掲げた。カナダは今回の会議で、欧州の高性能計算の共同事業「EuroHPC」に加わった。
欧州中期予報センターは6月30日、DestinEが第3段階に入ったと発表した。第3段階は2028年6月までで、AIの分野では機械学習の部品を結びつけ、欧州のAI地球システムモデルを作ることなどに力を入れる。
欧州委員会の今回の発表には、カナダとの協力の予算や期間は書かれていない。
【関連サイト】欧州委員会「EU and Canada partner to tackle climate risks through Destination Earth」
【関連サイト】カナダ首相府「Joint Statement: Canada and the European Union building together an Alliance for the Future」
【関連サイト】欧州中期予報センター「Destination Earth moves into its third phase」









