MCP(Model Context Protocol)とは・意味、A2Aとの違い・事例

最終確認日:2026年10月27日
MCPとは?
MCP とは、AIのアプリを外部のデータや道具、決まった作業の手順とつなぐための、オープンソースの共通の規格のこと。英語の正式な名前は「Model Context Protocol」で、モデル・コンテキスト・プロトコルと読む(※2)。
Anthropic が2024年11月に公開し、2025年12月に Linux Foundation の傘下の団体 Agentic AI Foundation(AAIF)へ寄贈した(※1、※6)。
MCP を使うと、Claude や ChatGPT のようなAIのアプリは手元のファイルやデータベース、検索エンジンなどに接続できる。アプリはそこから必要な情報を得たり、作業をしたりする。
MCP の公式サイトは、MCP をAIのアプリにとっての USB-C の差し込み口にたとえている。USB-C が電子機器のつなぎ方をそろえたように、MCP はAIのアプリと外部のシステムのつなぎ方をそろえる(※2)。MCP の仕様は、プログラミング言語の機能を開発の道具に足す方法をそろえた Language Server Protocol を一部参考にしている(※4)。
Anthropic によると、MCP が出る前は、新しいデータの置き場所につなぐたびにそのための仕組みを個別に作る必要があった。同社は、MCP でこうした個別の接続を1つの規格に置き換えられるとしている(※1)。
AIエージェントどうしをつなぐ規格には、Google が始めた A2A(Agent2Agent Protocol)がある。Google は、A2A を MCP を補う規格と位置づけている(※11)。
MCPの仕組み
MCP は、AIのアプリとデータや道具を渡すプログラムを、クライアントとサーバーの関係でつなぐ。MCP の公式サイトによると、やり取りに加わるものは次の3つだ(※3)。
- MCP ホスト:Claude Code や Visual Studio Code のようなAIのアプリ。1つ以上のサーバーとの接続をまとめて管理する。
- MCP クライアント:ホストの中で、1つのサーバーとの接続を受け持つ部品。ホストは、つなぐサーバーごとにクライアントを1つずつ作る。
- MCP サーバー:AIのアプリに、データや道具などの文脈を渡すプログラム。
MCP のサーバーとクライアントがやり取りするもの
MCP のサーバーが渡せるものは、主に3種類ある。1つ目は、AIのアプリが呼び出して作業をさせる「ツール」だ。ファイルの操作やデータベースへの問い合わせなどがこれに含まれる。2つ目は、ファイルの中身やデータベースの記録のような参考の情報「リソース」だ。3つ目は、言語モデルとのやり取りを組み立てるための再利用できるひな形「プロンプト」だ(※3)。
MCP の公式サイトは、データベースにつなぐサーバーを例に挙げている。このサーバーは、問い合わせのためのツールと、データベースの構造を示すリソースを渡す。ツールの使い方の例を入れたプロンプトも渡せる(※3)。
サーバーの側から利用者に追加の情報や操作の確認を求める「エリシテーション」という仕組みもある(※3)。
MCP のサーバーは手元のパソコンでも、ネットの向こうでも動く
MCP のサーバーは、利用者のパソコンの中でも、離れたサーバーの上でも動く。同じパソコンの中では、プログラムどうしが標準入出力(stdio)という経路でやり取りする。離れたサーバーとは、HTTP を使う「Streamable HTTP」という方式でつなぐ。
公式の説明によると、パソコンの中で動くサーバーは「ローカル」、離れた場所で動くサーバーは「リモート」の MCP サーバーと呼ばれることが多い。公式の説明は、リモートのサーバーを使うときの認証に、利用を許す仕組みの標準である OAuth を使うよう勧めている(※3)。
MCP の2026年7月の版で、やり取りは1回ごとに完結する形に
MCP のプロジェクトは2026年7月28日、仕様の新しい版「2026-07-28」を公開した。この版から、最初に接続を確立するやり取りと、接続の状態を保ち続ける仕組み(セッション)がなくなった。
1つ1つの要求には、仕様の版と、クライアントが対応する機能が付く。クライアントは、自らを示す情報も原則として要求に付ける。プロジェクトによると、この変更は、サーバーの信頼性と規模の広げやすさを求める開発者の要望が多かったことに応えたものだ(※5)。
MCPとA2Aの違い
A2A(Agent2Agent Protocol)は、AIエージェントどうしが互いを見つけ、仕事を任せ合い、結果をやり取りするための規格だ(※13)。Google は、2025年4月に A2A を発表した(※11)。今は両方とも AAIF のプロジェクトになっている。AAIF は、MCP をエージェントと道具をつなぐ層、A2A をエージェントどうしをつなぐ層として整理している(※13)。
| 比べる点 | MCP | A2A |
|---|---|---|
| 何と何をつなぐか | AIのアプリと、外部のデータ・道具・作業の手順 | 作った会社や仕組みが違うAIエージェントどうし |
| 始めた会社と時期 | Anthropic、2024年11月 | Google、2025年4月 |
| 相手ができることの知り方 | クライアントが、サーバーのツールなどの一覧を問い合わせる | エージェントが、できることを書いた「Agent Card」を公開し、ほかのエージェントがそれを読む |
| 管理の場 | 2025年12月に AAIF へ寄贈 | 2025年6月に Linux Foundation のプロジェクトになり、2026年8月に AAIF のプロジェクトになった |
※2026年10月時点。MCP は※1・※3・※6、A2A は※11・※12・※13 による。
AAIF によると、A2A の最初の安定した仕様である v1.0 は、2026年3月に出た。AAIF は、A2A が実際の製品で動いている例として、Huawei が自社のOSのAIアシスタント「Celia」とアプリの中のエージェントとのやり取りに A2A を使っていることを挙げている(※13)。
MCPの由来と広まった経緯
Anthropic によると、MCP は社内の David Soria Parra 氏と Justin Spahr-Summers 氏が作った(※1)。同社の最高製品責任者 Mike Krieger 氏は、MCP は自社のチームが抱えていた問題を解くための社内のプロジェクトとして始まったと述べている(※7)。
Anthropic は公開の理由として、最先端のAIモデルでも、データから切り離されているために制約を受けていることを挙げた(※1)。
Anthropic は公開と同時に、Google ドライブや Slack、GitHub などにつなぐための既製のサーバーも用意した。Block や Apollo は早い段階で MCP を自社のシステムに取り入れ、Zed や Replit などの開発の道具の会社も対応を進めていた(※1)。
公開から1年で、MCP はほかの会社の製品にも広がった。Anthropic によると、2025年12月の時点で、公開されて動いている MCP のサーバーは1万を超えていた。ChatGPT や Cursor、Gemini、Microsoft Copilot、Visual Studio Code も MCP を取り入れていた(※6)。
同じ月に Anthropic は、特定の会社に偏らない開かれた規格であり続けるよう、MCP を AAIF に寄贈した。AAIF は Anthropic、Block、OpenAI が共同で設けた団体で、Google や Microsoft なども支えている。
Anthropic によると、寄贈のあとも、MCP の運営の仕組みは変わらない(※6)。MCP のプロジェクトによると、公式の主な SDK(開発用の部品の集まり)のダウンロードは、2026年7月の時点で合わせて月に5億回近くに上る(※5)。
MCPに関する主な出来事・ニュース
- 2024年11月25日 Anthropic「Introducing the Model Context Protocol」:Anthropic は、MCP の仕様と SDK をオープンソースで公開し、Claude のデスクトップアプリで手元の MCP サーバーを使えるようにした。
- 2025年4月9日 Google「Announcing the Agent2Agent Protocol (A2A)」:Google は、50を超える技術系の企業の支援を受けて、AIエージェントどうしをつなぐ規格 A2A を発表した。
- 2025年5月19日 Microsoft、Windows 11 での MCP の取り入れと安全の仕組みを発表:Microsoft は、Windows 11 が MCP を取り入れることと、その安全の仕組みを発表した。同社は、開発者向けの早期のプレビューを提供するとした。
- 2025年5月21日 OpenAI、Responses API でリモートの MCP サーバーに対応:OpenAI は、開発者向けの Responses API から、リモートの MCP サーバーにある道具を呼び出せるようにした。
- 2025年6月23日 Linux Foundation、A2A のプロジェクトを開始:Linux Foundation は、Google が作った A2A を自らのプロジェクトとして始めると発表した。
- 2025年12月9日 Anthropic、MCP を Agentic AI Foundation に寄贈:Anthropic は、Linux Foundation の傘下に新しくできた Agentic AI Foundation に MCP を寄贈した。
- 2025年12月11日 Google Cloud、Google のサービス向けの MCP サーバーを公開:Google Cloud は、Google と Google Cloud のサービスにつなぐ MCP サーバーを、自ら運営する形で公開した。
- 2026年7月28日 MCP の仕様「2026-07-28」を公開:MCP のプロジェクトは、やり取りを1回ごとに完結させる形にした仕様の新しい版を公開した。
- 2026年8月17日 A2A が Agentic AI Foundation のプロジェクトに:AAIF は、A2A を自らのプロジェクトとして迎えたと発表した。
- 2026年10月1日 生成AI活用普及協会、生成AIパスポートのシラバスの改訂を発表:生成AI活用普及協会(GUGA)は、2027年2月の試験から使うシラバスで、MCP などの内容を新しくすると発表した。
MCPに関する事例
OpenAI の API から外部の MCP サーバーを呼び出し可能に
OpenAI は2025年5月、開発者がAIエージェントのアプリを作るための Responses API で、リモートの MCP サーバーに対応した。それより前に、エージェントを作るための Agents SDK でも MCP に対応していた。同社によると、開発者は数行のコードで、どの MCP サーバーにある道具にも同社のモデルをつなげる。
広く使われているリモートの MCP サーバーとして、同社は Cloudflare、PayPal、Shopify、Stripe、Zapier などを挙げた(※8)。
Google Cloud は Google の各サービス向けに MCP サーバーを用意
Google Cloud は2025年12月、Google と Google Cloud のサービス向けに、自社で運営するリモートの MCP サーバーを用意した。
開発者は、AIエージェントや Gemini CLI のような MCP クライアントを、Google が用意した接続先に向けるだけで使える。最初の対象は、Google マップ、データ分析の BigQuery、仮想マシンの Compute Engine、コンテナを動かす Google Kubernetes Engine だ(※10)。
同社によると、管理者は誰がどの道具を使えるかを Google Cloud の権限の仕組みで管理し、使われた記録を監査のログで追える。外部の文書に仕込まれた指示でAIを操る間接的なプロンプトインジェクションなどへの守りには、同社の安全の機能 Model Armor を使える(※10)。
MCPのサーバーをつなぐときの注意
MCP の仕様によると、MCP を使えばデータへのアクセスやプログラムの実行ができるため、安全への配慮が欠かせない。仕様の原則では、ホストは道具を呼び出す前に利用者の明確な同意を得なければならない。仕様は、道具の働きについての説明も、信頼できるサーバーから得たものでなければ信頼できないものとして扱うべきだとしている。一方で仕様は、MCP そのものではこうした原則を強制できないとしている(※4)。
MCP の安全の手引きによると、手元のパソコンで動く MCP サーバーは、クライアントと同じ権限で動く。こうしたサーバーは、利用者の端末に直接触れられることもある。悪意のある起動の命令が設定に紛れ込むと、データを外に持ち出されたり、ファイルを消されたりするおそれがある。手引きは、ワンクリックでサーバーを設定できるクライアントに、実行する命令を省かずに示して利用者の承認を得るよう求めている(※14)。
Microsoft も、Windows 11 で MCP を取り入れるにあたって、新しい危険を挙げている。例には、審査を経ていないサーバーや質の低いサーバーが危ない機能を持ち込むおそれがある「ツールポイズニング」や、利用者の全権限で動くエージェントからの認証情報の漏えいがある。公開されたサーバーの一覧が、審査がなければ不正なプログラムの入り口になりうることも挙げた(※9)。
MCP の安全の手引きは、サーバーやクライアントを作る側に、最初に渡す権限を最小限にして必要になったときに広げる形を勧めている(※14)。こうした危険があるため、使う側も、提供元や安全性の分からないサーバーを避けることが大切だ。
仕様の版の違いにも気をつけたい。2026-07-28 の版では、サーバーがクライアントのAIモデルに回答の生成を頼む「サンプリング」などの機能が、廃止を予定する扱いになった(※3、※5)。MCP のプロジェクトによると、こうした機能は少なくとも12か月は使える。ただし、プロジェクトは、新しく作るサーバーやクライアントでは使わないよう求めている(※5)。
MCPを出題範囲に挙げる資格試験
情報処理推進機構(IPA)は、2027年度から始める予定の新しい試験制度に向けて、試験ごとのシラバス案を公開している(※17)。プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)と情報処理安全確保支援士試験の科目A-1(共通知識)のシラバス案 Ver.0.1 は、「AIエージェント技術の特徴」の用語の例に、MCP と A2A を挙げている(※15)。
生成AI活用普及協会は、2027年2月の生成AIパスポートの試験から新しいシラバスを使う。協会は、この改訂で、これまでも扱っていた MCP の内容を新しくした(※16)。
MCPに関連する用語
- エージェントハーネス:AIエージェントのうちモデル以外の部分で、道具の実行や文脈の管理を受け持つ仕組み。
- エージェントスキル:仕事の手順や専門の知識をファイルにまとめ、AIエージェントが必要なときに読み込んで使えるようにする仕組み。
- エージェンティックコマース:AIエージェントが利用者の代わりに商品を探し、比べ、購入まで済ませる商取引。
- コンテキストエンジニアリング:AIモデルが答えを作るときに読む情報の全体を、作業の段階ごとに選んで整える技術。
- プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称):応用情報技術者試験と高度試験を組み直して設けられる予定の、3つの国家試験。
MCPに関する出典
※1 Anthropic「Introducing the Model Context Protocol」(2024年11月25日)
※2 Model Context Protocol「What is the Model Context Protocol (MCP)?」
※3 Model Context Protocol「Architecture overview」
※4 Model Context Protocol「Specification」(2026-07-28 版)
※5 Model Context Protocol「The 2026-07-28 Specification」(2026年7月28日)
※6 Anthropic「Donating the Model Context Protocol and establishing the Agentic AI Foundation」(2025年12月9日)
※7 The Linux Foundation「Linux Foundation Announces the Formation of the Agentic AI Foundation (AAIF), Anchored by New Project Contributions Including Model Context Protocol (MCP), goose and AGENTS.md」(2025年12月9日)
※8 OpenAI「New tools and features in the Responses API」(2025年5月21日)
※9 Microsoft「Securing the Model Context Protocol: Building a safer agentic future on Windows」(2025年5月19日)
※10 Google Cloud「Announcing official MCP support for Google services」(2025年12月11日)
※11 Google「Announcing the Agent2Agent Protocol (A2A)」(2025年4月9日)
※12 The Linux Foundation「Linux Foundation Launches the Agent2Agent Protocol Project to Enable Secure, Intelligent Communication Between AI Agents」(2025年6月23日)
※13 Agentic AI Foundation「A2A joins AAIF’s open agentic stack」(2026年8月17日)
※14 Model Context Protocol「Security Best Practices」
※15 情報処理推進機構「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)及び情報処理安全確保支援士試験 科目A-1(共通知識)シラバス(案)Ver.0.1」(2026年9月30日掲載)
※16 生成AI活用普及協会「生成AIパスポート、2027年試験のシラバスを大幅改訂。改訂版公式テキストの予約販売および資格更新テストの受講申込受付を開始」(2026年10月1日)
※17 情報処理推進機構「新試験制度のシラバス案について」(2026年6月30日公開、9月30日更新)




