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プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)とは・意味、出題形式・3つの試験の違い・シラバス案

最終確認日:2026年10月26日

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)とは?

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)とは、今の応用情報技術者試験と高度試験を組み直して経済産業省と情報処理推進機構(IPA)が新しく設ける予定の、3つの国家試験の総称のこと。3つの試験は、マネジメント、データ・AI、システムの領域に分かれる(※1、※2)。高度試験は、ITストラテジスト試験やデータベーススペシャリスト試験など、専門分野ごとに分かれた8つの試験を指す(※2)。

IPAは、DXやAIの利活用で新しい価値を生み出すための幅広いスキルを習得・評価する試験として、プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)を設けるとしている(※1)。

IPAの資料では、3つの試験の英語の表記を、マネジメントの試験なら Professional Digital Skills (Management) Examination のように示している。略称は、それぞれ PD-M、PD-D、PD-S だ(※3)。経済産業省は、3つの試験をまとめて「PD」と略している(※2)。

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の科目と出題形式

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の3つの試験は、いずれも科目A-1、科目A-2、科目Bに分けて行われる予定だ。科目A-1は90分で60問、科目A-2と科目Bは合わせて120分で、科目A-2が23問、科目Bが12問とされている(※1)。

  • 科目A-1は、3つの試験に共通する知識を問う。情報処理安全確保支援士試験の科目A-1も、同じ共通の知識を出題する(※3、※4)。
  • 科目A-2は、試験ごとの専門の知識を問う(※3)。
  • 科目Bは、試験ごとの技能を問う(※3)。

試験は、すべてコンピューターで解答するCBT方式で行われる予定だ(※1)。経済産業省は、2027年度からの新しい試験で記述式と論述式の出題をCBT方式に合う形式に改めるとしている。論述の試験をどうするかは、2028年度以降を見据えて検討を続けるという(※2)。科目Bのサンプル問題は、事例を説明する文章を読み、解答群から答えを選ぶ形式だった(※6、※7)。

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の3つの試験の違い

IPAは試験ごとに、評価する内容と、身につけたスキルを発揮する場面の例を示している(※1、※3)。

試験(略称) 評価する内容 スキルを発揮する場面の例
マネジメント(PD-M) 組織やビジネスで、データとデジタル技術を使う過程をマネジメントするための、専門的な知識と技能 組織やビジネスのDXを進める方針や、プロダクト、サービスを、デジタル技術の観点から企画・提案する場面
データ・AI(PD-D) 組織やビジネスの、データに基づく活動を支える基盤を作り、データを整える専門的な知識と技能 課題や仮説を踏まえて分析の目的と進め方を決め、分析で得られる価値を意識しながら分析と可視化をする場面
システム(PD-S) デジタル技術を使うシステムについて、要件定義、アーキテクチャの設計、開発、運用を主導するための、専門的な知識と技能 ビジネスの要件を踏まえてシステムの要件を定め、それを実現するアーキテクチャを設計する場面

※2026年10月時点。試験の名称は、いずれも仮称(※3)。

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)が生まれた背景

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)は、情報処理技術者試験の区分の見直しの中で設けられる予定だ。情報処理技術者試験は、情報処理の促進に関する法律に基づいて行われる国家試験だ(※2)。見直しのもとになったのは、経済産業省が2025年5月に公表した「Society 5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会 報告書」だ(※1、※2)。

報告書の概要版は、試験への意見を載せている。その中には、エンジニアが技術力を示す手段はベンダーの試験に取って代わられているという声や、長く続く試験の価値が相対的に下がっているように見えるという声がある(※8)。

経済産業省は、AIなどのデジタル技術が急速に進み、必要なスキルが激しく移り変わっていると説明している。

同省は、これまでの試験区分を、分業を前提とした開発の体制で必要な、特定の人材像を目指す区分と捉えている。新しい試験区分は「土台」となる幅広いスキルを持ち、AIも使って新たな価値を生み出す人の目標になるように組み直すという(※2)。同じ見直しでは、データマネジメント試験(仮称)も新しく設けられる予定だ。IPAはこの試験を、ITパスポート試験の次の段階の試験と位置づけている(※1)。

今の試験制度は、2026年度の試験で終わる予定だ(※1)。応用情報技術者試験と高度試験は、2026年度の試験から、紙に解答する方式からCBT方式に移った(※2、※11)。

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)に関する主な出来事・ニュース

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の出題範囲(シラバス案)

科目A-1のシラバス案の重点分野はセキュリティの4つの中分類

科目A-1のシラバス案は、重点分野として、セキュリティの大分類にある「情報セキュリティの脅威」「情報セキュリティマネジメント」「情報セキュリティ対策」「セキュリティ実装技術・評価」の中分類を挙げている。脅威の中分類には、AIのシステムに対する攻撃の用語例として、プロンプトインジェクション、ジェイルブレイク、データポイズニングなどが並ぶ(※4)。

  • プロンプトインジェクションは一般に、AIへの入力に紛れ込ませた指示で、AIに意図しない動きをさせる攻撃を指す。
  • ジェイルブレイクは一般に、AIに設けられた安全のための制限をくぐり抜けさせる手口を指す。
  • データポイズニングは一般に、AIの学習に使うデータに細工をして、AIの振る舞いをゆがめる攻撃を指す。

科目A-1のシラバス案に並ぶ生成AIの語

科目A-1のシラバス案の「AI技術」の中分類には、AIエージェントの技術の用語例として、MCP(Model Context Protocol)、コンテキストエンジニアリング、マルチエージェント、A2A(Agent2Agent Protocol)などが挙がっている(※4)。

MCPは一般に、AIのアプリと外部のツールやデータを接続するための共通の規格を指す。A2Aは一般に、AIエージェントどうしがやり取りするための規格を指す。

「開発・運用の方法論」の中分類には、AI駆動開発の用語例として、バイブコーディング、仕様駆動開発(SDD)、パッケージハルシネーションなどがある(※4)。バイブコーディングは一般に、ふだんの言葉でAIに指示を出しながらプログラムを作る進め方を指す。

仕様駆動開発は一般に、先に仕様を文書に書き、それをもとにAIにコードを書かせる進め方を指す。パッケージハルシネーションは一般に、AIが実在しないソフトウェアの部品の名前を示してしまう現象のこと。

データ・AIの試験は科目Bの改定案に生成AI技術の適用が入る

データ・AIの試験のシラバス案とサンプル問題は、まだ公開されていない。IPAのページでは「準備中」と書かれている(※5、※9)。出題範囲等の改定案では、科目Bの出題範囲が「データマネジメントに関すること」「データ・AIの活用に関すること」「データエンジニアリングに関すること」「データ処理とアルゴリズムに関すること」の項目に分かれている(※3)。

「データ・AIの活用に関すること」には、文書や画像などのデータの生成、マルチモーダル、RAG、AIエージェントといった生成AIの技術の適用や、AIを導入・活用するときのAI倫理への配慮が含まれる。データの操作ではSQLを、プログラムの言語では擬似言語を扱うとされている(※3)。

SQLは一般に、データベースのデータを登録・参照・更新・削除するための言語だ。擬似言語は一般に、特定のプログラミング言語によらずに処理の手順を書き表す書き方を指す。

IPAは、データ・AIの試験の目標とするスキルの一つに、誤りや偏りのない論理的な判断を意思決定に生かす専門的な知識と技能を挙げている。このスキルでは、チームの意見やAIの出力などをそのまま受け入れず、客観的なデータでさまざまな角度から検討する(※3)。

マネジメントとシステムの試験の科目Bは事例問題とAIの技能を扱う

マネジメントの試験のサンプル問題には、多様な観光の資源を持つ県が交通や観光・宿泊の事業者と組んで法人を作り、地域のMaaSを進める事例の問題がある(※6)。MaaS(Mobility as a Service)は一般に、複数の交通手段の検索・予約・支払いをまとめて提供するサービスを指す。システムの試験のサンプル問題には、不動産会社が古くなった仲介のシステムに代わる新しいシステムを作る事例の問題がある(※7)。

科目Bの出題範囲には、AIに関する技能も入っている。出題範囲の例には、マネジメントの試験ではAIなどの新しい技術の利活用に関する監査の実施と報告が、システムの試験ではAI駆動開発などのシステム開発の手法の適用が挙がっている(※3)。

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)の合格の扱いと移行の予定

経済産業省は、3つの試験のうち1つに合格することを、応用情報技術者試験の合格と同等に位置づけている。

同省は、AI時代に合った幅広いスキルを身につけられるよう、1つに合格したあとに3つの試験すべてに合格することを勧めている。同省はさらに、3つすべての合格者に「AI時代におけるフルスタックスキル」のデジタル証明を出すことも検討している(※2)。IPAの改定案は、複数の領域を身につけると、スキルを発揮できる場面が広がると説明している(※3)。

IPAは、今の高度試験と同等の免除の制度を3つの試験に設けることを検討している。今の高度試験か情報処理安全確保支援士試験で、一部の科目の免除の要件を満たした人について、一定の期間、3つの試験と情報処理安全確保支援士試験の一部の科目を免除する経過措置も検討中だ。

IPAは、今の制度で行う2026年度の試験の合格や過去の合格の情報も、構築を進めている学びのプラットフォームに登録して活用できるようにするとしている(※1)。

応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験の2026年度の試験は、前期試験を2026年10月から12月、後期試験を2027年2月から3月に、科目ごとに期間を分けて行う。IPAは、2026年度の試験をCBT方式で行っても、記述式や論述式といった出題の形式は変わらないとしている(※10、※11)。

IPAは、発表した内容は検討の途中のもので、今後変わる場合があるとしている(※1)。開始の時期について、経済産業省は今の時点の見込みと説明し、試験の準備の進み具合によっては遅れることもありうるとしている(※2)。新しく設ける試験を年のどの時期に、どのくらいの期間行うかの詳細は、まだ検討中だ(※1)。受験を考える人は、データ・AIの試験のシラバス案などこれから出る資料も含めて、IPAの発表を確かめていくと良いだろう。

プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)に関する出典

※1 情報処理推進機構「情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について」(2026年3月31日公開、4月28日更新)
※2 経済産業省「情報処理技術者試験における試験区分体系などの見直し(案)について」(2026年3月31日)
※3 情報処理推進機構「情報処理技術者試験・情報処理安全確保支援士試験 出題範囲等の改定案(Ver.1.0)」(2026年3月)
※4 情報処理推進機構「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)及び情報処理安全確保支援士試験 科目A-1(共通知識)シラバス(案)Ver.0.1」(2026年9月30日掲載)
※5 情報処理推進機構「新試験制度のサンプル問題について」(2026年6月22日公開、8月31日更新)
※6 情報処理推進機構「プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称) 科目B サンプル問題」(2026年8月31日掲載)
※7 情報処理推進機構「プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(仮称) 科目B サンプル問題」(2026年8月31日掲載)
※8 経済産業省「Society 5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会 報告書 -「スキルベースの人材育成」を目指して-(概要版)」(2025年5月)
※9 情報処理推進機構「新試験制度のシラバス案について」(2026年6月30日公開、9月30日更新)
※10 情報処理推進機構「令和8年度(2026年度)応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験の実施予定について」(2026年2月24日公開、7月6日更新)
※11 情報処理推進機構「令和8年度 応用情報技術者試験、高度試験及び情報処理安全確保支援士試験の申込受付期間及び試験実施期間について」(2026年7月6日公開、9月17日更新)

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