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シャドーAI(Shadow AI)とは・意味、シャドーAIエージェント・調査・対応の方針

最終確認日:2026年10月31日

シャドーAIとは?

シャドーAI(Shadow AI)とは、組織が認めていないAIを従業員が業務に使うこと。情報処理推進機構(IPA)は「情報セキュリティ10大脅威 2026」の解説書で、職場の許可なくAIを業務に使うリスクの説明の中で、従業員が個人で使っているAIサービスを仕事に使う例をシャドーAIとしている(※1)。

IBM は2026年の報告書で「workers use unapproved AI」、つまり働く人が承認されていないAIを使うことと説明している(※3)。

似た語に「シャドーIT」がある。シャドーITは一般に、IT部門が把握や承認をしていないソフトウェアやサービスを使うことを指す。Microsoft は、シャドーITは数十年前からあるものの、シャドーAIには新しい種類のリスクがあるとしている。同社によると、AIエージェントは権限を受け継いだり機密情報にアクセスしたりでき、IT部門やセキュリティ部門から見えないところで動くこともある(※7)。

発表元によって異なるシャドーAIの範囲

シャドーAIの説明は、発表元によって範囲に違いがある。

発表元 シャドーAIの説明
IPA(解説書) 職場の許可なく、従業員が個人で使っているAIサービスを仕事に使う例(※1)
中核人材育成プログラム9期生のプロジェクト(手引書) 「組織が利用を許可していない AI システムを従業員が利用する行為」(※2)
IBM 働く人が承認されていないAIを使うこと(※3)
Microsoft 消費者向けのAIアプリや単体のエージェントのうち、IT部門の把握や承認なしに組織内で展開されているもの(※5)
角川アスキー総合研究所 調査の項目としては、会社の公式でないAIツールを業務に使った経験(※12)

シャドーAIが注目されるようになった経緯

IBM は、2025年7月に公表したデータ侵害のコストの調査で、シャドーAIの広がりとリスクを初めて調べた(※6)。ガートナーは同じ年の11月、生成AIの導入で見落とされやすいリスクの1つにシャドーAIを挙げた(※9)。

日本では、IPAが2026年1月29日に発表した「情報セキュリティ10大脅威 2026」の組織向けの脅威に「AIの利用をめぐるサイバーリスク」が初めて選ばれた(※14)。IPAはその解説書で、シャドーAIによる情報漏えいの可能性をリスクの1つに挙げている(※1)。

2026年には、AIエージェントについてもこの語が使われている。Microsoft は2026年2月の報告で、エージェントの急速な導入が安全や法令順守の管理を上回り、シャドーAIのリスクを高めることがあるとした(※13)。

シャドーAIに関する主な出来事・ニュース

シャドーAIエージェントの種類と検知の機能

ガートナーは2026年9月の記事で、組織の正式な監督の外で作られ、セキュリティ部門が存在を知らないことも、見えていても理解や制御の手段がないこともあるAIエージェントを「shadow AI」エージェントと呼んでいる。ガートナーのアナリストによると、形は複数ある。既存の業務ソフトウェアに組み込まれたもの、インターネットから直接使うもの、従業員がバイブコーディングなどで自ら作ったものだ(※10)。

Microsoft が委託して2025年7〜8月に行った調査では、従業員の29%が未承認のAIエージェントを仕事に使ったという。調査の対象は従業員本人ではなく、データセキュリティの専門家1,700人超だ(※13)。

同社は2026年5月、端末で動くものやクラウドで動くもののうち、多くのエージェントが管理の外で動いているとして、シャドーAIの新しい波が生まれていると述べた(※8)。同社の Microsoft 365 管理センターの「Shadow AI」のページは、管理者がこうしたエージェントを見つけて統制するための機能だ。

2026年10月23日に更新された説明では、この機能は一般提供の前のパブリックプレビューの段階にある。検知の対象には OpenClaw、ChatGPT Desktop、Ollama Desktop、Poe Desktop、Claw/ZeroClaw、OpenCode、Claude Desktop が並ぶ。

遮断ができるのは OpenClaw だけで、Microsoft Intune に登録した管理対象の Windows 端末に限られる(※5)。

Microsoft はこれらのエージェントが生産性を高める可能性も認めたうえで、管理されない利用には情報の漏えいやコンプライアンス違反などのリスクがあるとしている(※5)。

シャドーAIに関する調査

IBMの調査では、シャドーAIが絡む事故の割合は43%に

IBM が2026年7月29日に発表した報告書は、Ponemon Institute が調査を行い、IBM が後援と分析をしたものだ。対象は、2025年3月から2026年2月までにデータ侵害を受けた602組織となる(※3、※4)。

調査したセキュリティ事故のうち、組織のシャドーAIが関わるものの割合は、前年の20%から43%に増えた。そうした事故によるデータ侵害の平均の費用は、前年の463万ドルから539万ドルに上がった(※3)。対象はデータ侵害を受けた組織だけなので、企業全体での発生の割合を示す数字ではない。

組織の69%が禁止された生成AIの利用を疑うか証拠を持つという調査

ガートナーが2025年3〜5月にサイバーセキュリティの責任者302人に行った調査では、組織の69%が、禁止された公開の生成AIを従業員が使っていると疑っているか、その証拠を持っていた(※9)。

未承認AIを仕事に使った英国の従業員は71%という調査

Microsoft が Censuswide に委託して2025年10月に行った調査の対象は、18歳以上の英国の従業員2,003人だ。承認されていない消費者向けのAIツールを仕事に使った経験がある人は71%で、51%は毎週使い続けていた。使う理由には、私生活で使い慣れていること(41%)や、会社が仕事用に認めた選択肢を用意していないこと(28%)が挙がった(※11)。

国内の調査では、公式でないAIツールの利用経験は管理職の46.5%

角川アスキー総合研究所が2026年4月24〜25日に行った調査は、上場企業または従業員300人以上の非上場企業に勤める経営者・役員と従業員が対象で、有効回答は310件だった。

会社の公式でないAIツールを業務に使った経験は、課長以上の管理職が46.5%で、係長・主任以下の一般社員の38.1%を上回った。全社共通のガイドラインを整えた企業でも、経験がある割合は46.9%で、一部だけ整えた企業の50.0%と大きな差はなかった(※12)。

会社の公式でないAIツールを業務に使った経験角川アスキー総合研究所が2026年4月24〜25日に行った調査。上場企業または従業員300人以上の非上場企業に勤める経営者・役員と従業員。有効回答310件。回答の割合
役職別
課長以上の管理職46.5%
係長・主任以下の一般社員38.1%
ガイドラインの整備別
全社共通のガイドラインを整えた企業46.9%
ガイドラインを一部だけ整えた企業50.0%
発表の本文に書かれた割合だけを示す。
出典:角川アスキー総合研究所「『企業における生成AI導入の投資・統制・成果実態調査』を発表」(2026年8月10日、出典『AI白書2026』)

シャドーAIへの対応の方針と調査の読み方

IPAの産業サイバーセキュリティセンターの中核人材育成プログラム9期生のプロジェクトは、2026年7月に「生成AIおよびAIエージェントを安全に活用するための手引書」を発行した。手引書の免責事項は、記載の内容を著者の見方としており、IPAやセンターの立場を示す文書とはしていない(※2)。

手引書は、シャドーAIの多くは悪意ではなく業務上の必要から生じるとみている。そのため禁止を先に進めるだけでは、利用が申告されにくくなり、実態をつかみにくくなるリスクがあるという。

統制の方法としては、組織が認めるAIの提供、ルールの明文化と教育、技術的な検知と遮断を紹介している。ただし、企業のネットワークを通らない端末からの利用は技術的に制御しにくく、従業員の意識とルールの順守に頼る部分が残るとしている。

手引書によると、方針を決めるときは、まず自組織のシャドーAIの実態をつかむ。そのうえでCAIO(AI統括責任者)を中心に、利用を禁止するか条件付きで認めるかといった方向について、実態に応じて合意する必要があるという(※2)。

調査の数字を見るときは、対象と問い方の違いに注意が必要だ。上で紹介した調査の回答者は、従業員本人、セキュリティの責任者、データ侵害を受けた組織の関係者などと分かれ、「シャドーAI」の範囲もそろっていない。そのため、数字の大小をそのまま比べることはできない。

シャドーAIに関連する用語

  • CAIO(AI統括責任者):組織の中でAIの活用を進めることとAIのリスクを管理することを、まとめて受け持つ責任者。
  • エージェントID:AIエージェントに、人の利用者のアカウントとは別に割り当てる専用のID。

シャドーAIに関する出典

※1 情報処理推進機構「情報セキュリティ10大脅威 2026 解説書[組織編]」(2026年3月12日初版、4月11日四版)
※2 情報処理推進機構 産業サイバーセキュリティセンター 中核人材育成プログラム9期生 セキュリティ担当者のための生成AIセキュリティプロジェクト「生成AIおよびAIエージェントを安全に活用するための手引書」(2026年7月31日)
※3 IBM「Cost of a Data Breach Report 2026」(46〜47ページ)
※4 IBM「IBM Study: One in Four Malicious Breaches are AI-Enabled, Costing Companies $6 Million on Average」(2026年7月29日)
※5 Microsoft「Shadow AI in Microsoft 365 admin center (Preview)」(2026年10月23日更新)
※6 IBM「IBM Report: 13% Of Organizations Reported Breaches Of AI Models Or Applications, 97% Of Which Reported Lacking Proper AI Access Controls」(2025年7月30日)
※7 Microsoft「80% of Fortune 500 use active AI Agents: Observability, governance, and security shape the new frontier」(2026年2月10日)
※8 Microsoft「Microsoft Agent 365, now generally available, expands capabilities and integrations」(2026年5月1日)
※9 Gartner「Gartner Identifies Critical GenAI Blind Spots That CIOs Must Urgently Address」(2025年11月19日)
※10 Gartner「The AI Agents You Can’t See Can Still Create Risk」(2026年9月30日)
※11 Microsoft「Rise in ‘Shadow AI’ tools raising security concerns for UK organisations」(2025年10月13日)
※12 角川アスキー総合研究所「『企業における生成AI導入の投資・統制・成果実態調査』を発表」(2026年8月10日、出典『AI白書2026』)
※13 Microsoft「Cyber Pulse: An AI Security Report」(2026年2月10日)
※14 情報処理推進機構「プレス発表『情報セキュリティ10大脅威 2026』を決定」(2026年1月29日)

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