本文へ移動
Harch AI Lab AI Learning & Research Mediapowered by Artiql Inc.

人工知能基本計画(AI Basic Plan)とは・意味、構成・初版から変わった点・主な施策

最終確認日:2026年10月26日

人工知能基本計画とは?

人工知能基本計画とは、AIの研究開発と活用を進めるために、AI法に基づいて政府が定める国の基本の計画のこと。AI法の正式な名前は「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」だ(※3)。最初の計画は2025年12月23日に、改めた「第Ⅱ期」の計画は2026年7月14日に、それぞれ閣議決定された(※1、※5)。

内閣府の英語の仮訳では、計画を「Artificial Intelligence Basic Plan」や「AI Basic Plan」と表し、第Ⅱ期の計画を「Second AI Basic Plan」と呼んでいる(※2)。政府は、計画に盛り込んだ中身を着実に進めるとしている(※1)。

人工知能基本計画の構成と策定・見直しの手続き

第Ⅱ期の計画はAI法が定める記載事項を第2〜4章に当てる

AI法は、計画に書く事項として、施策を進めるうえでの基本的な方針、政府が総合的・計画的に取り組む施策、そのほかに施策を進めるために必要な事項を定めている(※3)。第Ⅱ期の計画は、これらを第2章から第4章に当て、その前に第1章「基本構想」を置いている(※1)。

章 第Ⅱ期の計画に書かれている主な中身
第1章 基本構想 初版からの状況の変化(エージェント型AIが急に広がったことなど)と、計画が目指す方向
第2章 基本的な方針 施策を進めるときの4つの原則と、4つの基本的な方針
第3章 政府が講ずべき施策 4つの方針ごとの節に、具体的な取り組みと、関わる府省庁を並べる
第4章 推進に必要な事項 計画を進める体制とフォローアップ、計画の変更、関係するほかの計画との連携

4つの基本的な方針には、それぞれ「AIを使う」「AIを創る」「AIの信頼性を高める」「AIと協働する」という短い言い方が添えられている。第Ⅱ期の計画によると、エージェント型AIは目的に向けてAIが自ら計画を立て、実行と検証と修正を繰り返すAIを指す(※1)。

人工知能戦略本部が計画案を作り、当面は毎年見直す

AI法によると、計画の案は人工知能戦略本部が作る。内閣総理大臣は、本部が作った案を閣議にかけて決定を求め、決定のあとはすぐに計画を公表する。計画を変えるときも、同じ手続きを踏む。人工知能戦略本部の本部長は内閣総理大臣で、副本部長は内閣官房長官と人工知能戦略担当大臣が務め、そのほかの全ての国務大臣が本部員になる(※3)。

計画の第4章によると、人工知能戦略本部が計画の進み具合をつかみ、フォローアップを行う。計画は、目指す姿を実現するためにふさわしいベンチマーク(進み具合を測る目安)を決めて、モニタリングするとしている。

計画を進めるときや変えるときは、人工知能戦略専門調査会で有識者などの意見を聞く。AIの技術の発達と活用の広がりが非常に速いことなどを踏まえ、計画は必要に応じて見直し、当面は毎年変えるとされている。この決まりは、初版と第Ⅱ期の両方にある(※1、※5)。

人工知能基本計画を作って見直す流れAI法と第Ⅱ期の計画の第4章をもとに整理
1
案を作る人工知能戦略本部が、計画の案を作る本部長は内閣総理大臣で、ほかの全ての国務大臣も本部に加わる
2
閣議で決める内閣総理大臣が、本部の作った案を閣議にかけて決定を求める
3
公表する閣議で決まったら、内閣総理大臣がすぐに計画を公表する
4
進み具合を確かめる計画の進み具合をつかんでフォローアップし、ベンチマークを決めてモニタリングする人工知能戦略専門調査会で、有識者などの意見を聞く
5
計画を変える必要に応じて計画を見直し、当面は毎年変える変えるときも、閣議で決めて公表する同じ手続きを踏む
出典:e-Gov法令検索「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(2025年6月4日公布、令和7年法律第53号)
内閣府「人工知能基本計画 ~日本AX、より強く、より豊かに~」(2026年7月14日閣議決定)
以上をもとに編集部作成

人工知能基本計画が生まれた背景

内閣府は、AIの技術の発展が暮らしや経済に役立つ一方で国内のAIの開発や活用は遅れ、多くの国民がAIのリスクに不安を持っていることを、AI法の背景に挙げている(※4)。AI法は、AIの研究開発と活用を進める国の施策を総合的・計画的に進め、国民の暮らしの向上と経済の健全な発展に役立てることを目的に掲げる。そのために、基本理念や人工知能基本計画を定めることなどを決め、人工知能戦略本部を置いた(※3)。

AI法の案は2025年2月28日に閣議決定された。担当の大臣は同じ日の会見で、法案が人工知能戦略本部(会見では「AI戦略本部」)を置くことや、政府が進めるAI政策の基本的な方針などを示す「AI基本計画」を作ることを定めていると説明した(※16)。法案は5月28日に成立し(※17)、人工知能戦略本部を置く規定などを含めて、すべての規定が施行されたのは9月1日だ(※4)。

内閣府は、AIの技術の進み方に合わせるため、初版を閣議決定した直後から次の計画を検討してきたと説明している(※9)。第Ⅱ期の計画は第1章で、初版から半年の間にAIの利活用や開発を巡る状況が大きく変わったとし、エージェント型AIの急速な伸びを挙げている(※1)。内閣府が2026年6月に意見を募った素案には、8,774件の意見が寄せられた(※9、※10)。

人工知能基本計画に関する主な出来事・ニュース

第Ⅱ期の人工知能基本計画で初版から変わった点

第Ⅱ期の計画は、4つの基本的な方針と章の立て方を初版から引き継ぎつつ、副題や原則、重点を改めた(※1、※5)。次の表に出るAX(AIトランスフォーメーション)は、AIを前提に意思決定や仕事の進め方を根本から見直すことを指し、バーティカルAIは特定の領域向けのAI、フィジカルAIは現実の世界で物理的に動くAIを指す。

項目 初版(2025年12月23日閣議決定) 第Ⅱ期(2026年7月14日閣議決定)
副題 「信頼できるAI」による「日本再起」 「日本AX、より強く、より豊かに」
原則 「イノベーション促進とリスク対応の両立」「アジャイルな対応」「内外一体での政策推進」の3原則 3原則に「挑戦と学習」を加えた4原則
基本的な方針 「AIを使う」「AIを創る」「AIの信頼性を高める」「AIと協働する」の4つ 初版と同じ4つ
新しい技術の捉え方 2025年に進んだ新しい技術として、「AIエージェント」と「フィジカルAI」を挙げた エージェント型AIの急速な伸びを第1章に掲げ、AIの利活用もエージェント型AIを軸に進めるとした
「勝ち筋」の示し方 業界や業務に特化したアプリなど、具体的な付加価値を生むものが市場で評価されてきているとし、日本が「信頼できるAI」で勝ち筋を見つける好機とした。AIのモデルとアプリを掛け合わせて、さまざまなサービスを生み出すことや、フィジカルAIの開発と導入、科学研究にAIを広く使うAI for Scienceなどを日本の勝ち筋として、いっそう力を入れるとした バーティカルAIとフィジカルAIの実装によるAXを勝ち筋とし、この2つにAI戦略の重点を置いた。バーティカルAIは、初版にはない語
AI人材 研究者やエンジニア、データマネジメントの人材などの育成と確保を挙げた AIを使ったり作ったりする人材を、5つの人材像に整理した
人の役割 創造力や思考力、判断力などを含む「人間力」を高める 判断の責任を果たす「人的主体性(Human Agency)」を中核にして、「人間力」を高める
地方と中小企業 補助金などで中小企業のAIの導入を進めやすくするなど、広く地域を支える産業にAIを取り入れることを進める 地方の中堅・中核企業のAIの導入を「地域AX」として進める

第Ⅱ期の計画はAIを使う人や作る人を5つの人材像に分けた

第Ⅱ期の計画は脚注で、AIを使う人や作る人を5つの人材像に分けて示した(※1)。

  • AI適正活用人材:AIの基礎的な知識と最低限のリテラシーを持ち、AIを適正に使える人。計画は、全ての国民が目指すべきものとしている。
  • AI研究開発人材:AIを深く理解した高度な専門人材で、AIの基礎研究や開発を担う研究者やエンジニアなど。
  • AI実装人材:どこでも使える汎用のAIの仕組みではなく、現場に合ったAIの仕組みを提供する人。産業や行政の現場とAIの両方を理解していることが求められる。
  • AIガバナンス人材:安全で信頼できるAIを作って使うためのルールや仕組みを整え、運用する人。AIのガバナンスづくりを主導する人も含む。
  • AIイノベーション人材:AIを使って経済や社会の構造を変えたり、新しい価値を生み出したりして、課題の解決を先導する人。世界の社会課題の解決や経済の成長を目指す人でもある。

計画の本文は、AX(AIトランスフォーメーション)を進める中核の人材に、AI実装人材を置いている(※1)。

AI戦略の重点をバーティカルAIとフィジカルAIに置いた

第Ⅱ期の計画は、日本の現場の力をAIの実装の力に変えるため、AI戦略の重点をバーティカルAIとフィジカルAIに置いた。計画によると、バーティカルAIはデータ・AIのモデル・アプリを縦につないで一体にした特定の領域向けの仕組みだ。バーティカルAIは、言葉にしにくい知識も含めた現場のデータを使う。フィジカルAIは、現実の世界を理解して、物理的な行動を生み出すAIを指す(※1)。

計画が描く流れでは、先に導入が進むバーティカルAIが現場の経験や知識を集めてデータにし、フィジカルAIがそのデータやAIの判断を機械や装置を使って現実の世界で実行する(※1)。

地方の企業へのAIの導入を「地域AX」として進める

第Ⅱ期の計画は、人手不足がとくに目立つ地方で中堅・中核企業へのAIの導入と定着を寄り添って支えながら進め、地方の伸びしろを成長に結び付けるために「地域AX」を進めるとした(※1)。

地域AXの取り組みとして、計画は次のようなものを挙げる。主に受け持つのは経済産業省で、総務省も加わる(※1)。

  • 大規模成長投資補助金やデジタル化・AI導入補助金などを使った、中堅・中小企業のAIの導入。
  • 中小企業のAXを地域ごとに支えるネットワークづくり。
  • 企業の取り組みを手助けする機関の、AIに関する支援の水準の底上げ。
  • AIを使って地域に根ざした新しい事業を立ち上げることや、AIなどのデジタル技術を使って地域の課題を解く先進的なプロジェクトを生み出すことへの支援。

判断の責任を果たす力を中心に「人間力」を高める

第Ⅱ期の計画は、エージェント型AIが使われることを前提として社会の制度や枠組みを根本から見直し、人が意思決定の責任を持ちながらAIで課題を解けるようにするとした。そのうえで、判断の責任を果たす力である人的主体性を中心に据えて、「人間力」を高めるとしている。人的主体性の構成要素には、課題を設定する力、アカウンタビリティ(説明責任)、判断力と批判的思考などが挙がっている(※1)。

計画は、この「責任」の語に付けた脚注で、人の責任の考え方として議論されているものを3つ挙げている。その一つが、人がAIを道具として統制し、意思決定と価値の創出の主導権を持つという「Human in the lead」だ(※1)。

人工知能基本計画が定める主な施策

ガバメントAI「源内」をオープンソースにし、自治体の導入も支える

第Ⅱ期の計画によると、政府の主導で、政府の業務に使う生成AIの環境としてガバメントAI「源内(げんない)」が作られ、18万人の政府職員によるAIの利用が進んでいる。計画がデジタル庁を中心に進めるとした取り組みには、源内にエージェント型AIや国内で開発されたAIのモデルを取り入れることや、AIエージェントに合わせたルールの整備がある。

計画は、源内をオープンソースにして自治体のAIの導入を支えることも挙げている(※1)。オープンソースは、ソフトウェアの中身のソースコードが公開され、誰でも見たり使ったり、手を加えて配ったりできる形を指す。

領域ごとの戦略で、バーティカルAIの実装を進める

第Ⅱ期の計画は、市場性・公共性・戦略性の観点で選んだ領域ごとに戦略を作り、官民の集中投資でバーティカルAIの実装を強く進めるとした。主に受け持つのは内閣府だ(※1)。

2026年7月10日の人工知能戦略本部の会合では、計画の案とともに「バーティカルAI領域別戦略 中間とりまとめ」が示された(※11)。中間とりまとめは、製造や医療・介護・福祉、防衛などの領域を市場性・公共性・戦略性のまとまりに分け、領域ごとの戦略を並べている(※12)。

デジタル行財政改革会議をAI・デジタル改革推進会議に再編

第Ⅱ期の計画は、社会全体のAXを進めるため、デジタル行財政改革会議を組み直すとした。計画はそのうえで、人工知能戦略本部や規制改革推進会議などと一体となって、AIの開発と利活用についての法制度やガイドラインなどを根本から見直すとしている(※1)。

政府は2026年10月20日に「AI・デジタル改革推進会議の開催について」を閣議決定し、デジタル行財政改革会議を開く決定を廃止した。デジタル行財政改革会議で検討してきたことは、新しい会議に引き継がれる(※13)。

人工知能基本計画を引用するときの注意と次の改定の動き

人工知能基本計画は政府が進める施策の方針と中身を定めた計画で、第3章の取り組みには、主に受け持つ府省庁に印(◎)が付いている(※1)。研修の企画などで計画を引くときは、取り組みごとの担当の府省庁も、その先の資料を探す手がかりになる。

初版と第Ⅱ期では、副題や原則、人材の示し方が違う。計画を引くときは、どちらの版かと閣議決定の日を書き添えておくと、読み手が同じ版を確かめやすい。次の改定に向けた動きもある。

2026年10月22日のAI・デジタル改革推進会議に示された論点の案は、AXの具体的な姿を明らかにして計画の改定に反映してはどうかとしている。AIの導入や利用の状況に加え、業務時間の削減などの成果をつかむKPI(成果を測る指標)を計画に位置づけ、AXの進み具合を続けて評価すべきではないかとも問うている。同じ資料の、当面の予定の想定を示す図には、「人工知能基本計画3.0」の語がある(※14、※15)。

5つの人材像も、計画は必要に応じて見直すとしている(※1)。内閣府の英語の訳は仮訳で、正確さは日本語の本文で確かめるよう注記がある(※2)。

人工知能基本計画に関連する用語

  • AX(AIトランスフォーメーション):第Ⅱ期の計画は、副題に「日本AX」を掲げ、あらゆる組織でAXを進めるとしている(※1)。
  • バーティカルAI:第Ⅱ期の計画は、フィジカルAIとともに、AI戦略の重点に置いた(※1)。
  • フィジカルAI:第Ⅱ期の計画は、自動運転や自律型のロボットなどの開発と導入を進めるとしている(※1)。
  • ヒューマン・イン・ザ・リード:第Ⅱ期の計画が、人の責任の考え方の一つとして脚注に挙げた(※1)。
  • AI実装人材:第Ⅱ期の計画が示す5つの人材像の一つで、AXを進める中核の人材とされている(※1)。

人工知能基本計画に関する出典

※1 内閣府「人工知能基本計画 ~日本AX、より強く、より豊かに~」(2026年7月14日閣議決定)
※2 内閣府「Japan’s Second ARTIFICIAL INTELLIGENCE BASIC PLAN」(英語の仮訳。2026年7月14日時点)
※3 e-Gov法令検索「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律」(2025年6月4日公布、令和7年法律第53号)
※4 内閣府「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律(AI法)」
※5 内閣府「人工知能基本計画 ~「信頼できるAI」による「日本再起」~」(2025年12月23日閣議決定)
※6 内閣府「人工知能基本計画」(2026年7月14日閣議決定の計画と、2025年12月23日閣議決定の計画の掲載ページ)
※7 首相官邸「令和7年9月12日 人工知能戦略本部」(総理の一日、2025年9月12日)
※8 首相官邸「令和7年12月19日 人工知能戦略本部」(総理の一日、2025年12月19日)
※9 内閣府「人工知能基本計画(素案)に関する御意見の募集について」(2026年6月19日)
※10 内閣府「「人工知能基本計画(素案)」に関する意見募集の結果概要」(2026年6月26日、人工知能戦略専門調査会の第6回の資料1-1)
※11 内閣府「人工知能戦略本部(第5回)」(2026年7月10日)
※12 内閣府「バーティカルAI領域別戦略 中間とりまとめ」(2026年7月10日、人工知能戦略本部の第5回の資料2-2)
※13 デジタル庁「AI・デジタル改革推進会議」(2026年10月22日更新)
※14 AI・デジタル改革推進担当大臣「AI・デジタル改革推進会議における論点(案)」(2026年10月22日、AI・デジタル改革推進会議(第1回)資料4)
※15 デジタル庁「AI・デジタル改革推進会議(第1回)」(2026年10月22日)
※16 内閣府「城内内閣府特命担当大臣記者会見要旨 令和7年2月28日」(2025年2月28日)
※17 参議院「人工知能関連技術の研究開発及び活用の推進に関する法律案」(議案審議情報、2025年6月4日現在)
※18 内閣府「人工知能戦略本部の設置等について」(2025年9月1日)
※19 内閣府「人工知能基本計画骨子等に関する御意見の募集について」(2025年11月21日)
※20 首相官邸「人工知能戦略本部」(総理の一日、2026年7月10日)