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大阪公立大学など、5種のAIが仮想症例に米国の薬を勧めた約88万件を分析。同じ成分の第1候補は1製品に平均97.5%集中

大阪公立大学と科学技術振興機構は10月26日、5種類の大規模言語モデルが薬を勧めた約88万件の回答を分析した研究を発表した。各モデルで疾患と有効成分の組ごとに、第1候補で最多の製品が占める割合は平均97.5%に上った。米食品医薬品局(FDA)の承認製品は1組あたり平均5.5あった。論文は同日、「Nature Health」に掲載された。

大阪公立大学の植田大樹教授と米テキサス大学MDアンダーソンがんセンターの佐藤淳哉博士研究員らのグループが、GPT-5.4、Claude Sonnet 4.6、Gemini 3.1 Flashなど5つのモデルを調べた。

実験では、疾患と有効成分を指定した123の組に、年齢や性別、所得などが異なる1,440通りの背景を掛け合わせ、17万7,120件の仮想症例を作った。各モデルにFDAの承認製品の名前を3つまで答えさせ、薬の推奨が入った回答を計88万3,403件集めた。

5モデルをまとめて集計すると、123組のうち96組(78.0%)で、最多の製品が第1候補の9割超を占めた。どの製品が最多になるかは、モデルの間でもよく一致した。

推奨の多さと最も強く関連したのは先発医薬品で、Googleの検索件数が多い製品やWikipediaに専用のページがある製品も推奨されやすかった。一方、実際の処方量が多い製品は推奨されにくかった。

2019〜2023年の米国の処方調査と照らせた100組では、処方が最も多い製品とモデルの第1候補の一致は平均29.7%だった。論文は、調査との違いがモデルの誤りを示すとは限らないとする。

研究グループは、処方調査の製品の割合をモデルの推奨に置き換えた場合の仕入れ費用も、同調査の処方量と米国の薬局の平均仕入れ価格で試算した。分析できた51の有効成分のうち38(74.5%)で費用が増え、51成分の合計では年間約5,560万ドル、1,019%増えると見積もった。ただし、これは用量などを仮定した試算で、実際の医療費や患者の負担が増えたと示すものではないと発表は断っている。

安い製品や後発医薬品を優先させる指示を足すと、最多の製品は指示の方向に変わった。最多の製品が変わった割合は、安い製品の優先で62.6%、後発医薬品の優先で77.9%だった。最多の製品の割合はそれぞれ平均94.9%、97.6%と高いままだったが、論文は、偏りが残ったのではなく指示に従った結果の可能性もあるとする。

承認情報と合わない出力もモデルごとに12.4%(GPT-5.4)〜14.7%(Claude Sonnet 4.6)あり、大半は販売を終えた製品を挙げていた。論文によると、この分類は製品の規制上の扱いを見たもので、臨床的に不適切だと示すものではない。

論文は限界として、仮想症例は実際の処方の複雑さを十分に捉えていない可能性があり、実際の処方行動を直接推定した値と解釈すべきではないと述べる。研究は、まれな疾患や複雑な場面は調べておらず、薬局での代替や調剤など推奨より後の過程も分析に入っていない。発表は、信頼できる医薬品情報と照らし合わせ、医療者も確かめる形が、適切な製品選びを助けるAI開発につながるとの期待を示した。

【関連サイト】大阪公立大学・科学技術振興機構「AIモデルによる薬剤推奨は特定製品に集中」

【関連サイト】大阪公立大学・科学技術振興機構「AIモデルによる薬剤推奨は特定製品に集中 ~約88万件の分析から医療費への影響を示唆~」

【関連サイト】Junya Satoほか(Nature Health)「Large language models show product name convergence in drug recommendations」