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イェーナ大学などの国際チーム、AIによる材料探索の初期段階から環境影響の予測を組み込むロードマップを提案

ドイツのイェーナ大学は10月21日、同大学などの国際研究チームが、AIで新しい材料を探す初期の段階から環境への影響を考慮するためのロードマップをまとめたと発表した。ロードマップをまとめた論文は、展望論文として学術誌「Nature Sustainability」に10月16日に掲載された。

論文の要旨によると、AIは新しい材料の発見を加速してきたものの、候補の評価はほとんど機能面の性能だけで行われている。量産できるか、製造の環境負荷はどの程度か、使い終えたあとにどうなるかなどは、材料を選び終えたあとに初めて検討され、その段階で変えられることは少ない。

チームの提案は、ライフサイクル分析の手法をAIによる開発の工程に直接組み込み、材料の環境影響を前もって見通せる形にすることだ。

イェーナ大学のロータル・ヴォンドラチェク教授は、この分析が原料の採取から製造、使用、製品の寿命の終わりまでの環境影響をとらえると説明した。同教授は、将来この情報がAIの追う候補と最終的に実際の開発へ進む候補の選別に早い段階で影響する可能性があると述べた。

論文の基本的な考え方は、ヴォンドラチェク教授がインド工科大学デリー校、インペリアル・カレッジ・ロンドン、チャルマース工科大学などの研究者と共同で練った。

チームはポリマー、ガラス、セメントなど4種類の材料を例に、AIモデルの前提条件が材料によってどう違うかを示した。ポリマーでは環境影響を体系的に整理したデータなどが足りず、新しいガラスでは組成、特性、環境負荷の評価を結び付ける適切なモデルが足りない。セメントはライフサイクル分析のデータが比較的多いが、複数のスケールにまたがる特性のモデル化は難しいままだ。

ロードマップは互いに関連する5つの課題からなる。論文などの情報を自動で抽出して材料と環境のデータベースにまとめ、それをもとに組成や構造と製造方法や環境影響との関係をモデルで推定することを目指す。その際は複数の製造経路とその不確実性を明示して考慮し、最後に技術的な性能と環境影響を合わせて最適化に組み込むことも課題に挙げる。

全く新しい材料には、工業生産や長年の使用のデータがまだない。そのためチームは、まず想定しうる複数のシナリオを計算し、不確実性を明らかにすることを提案した。モデルはその後、新しい実験や工業のデータで段階的に改善できる可能性がある。

ヴォンドラチェク教授は、先を見通すマルチモーダルAIモデルについて、理論上ありうる多数の材料から持続可能な用途につながる可能性が高いものを絞り込む助けになりうると述べた。一方で同教授は、こうしたモデルがあっても、見込みの薄い試みを好奇心から実験室で追う妨げにはならないとも話した。

【関連サイト】フリードリヒ・シラー大学イェーナ「Wie nachhaltig ist ein Material, das es noch gar nicht gibt?」

【関連サイト】Sajid Mannanほか「Artificial intelligence for life-cycle-aware sustainable materials discovery」(Nature Sustainability)