オープンウェイト(Open Weights)とは・意味、オープンソースとの違い・由来・事例

最終確認日:2026年10月27日
オープンウェイトとは?
オープンウェイトとは、学習を終えたAIモデルの重み(weights)が公開され、手に入る状態のこと。政府も、2026年7月14日に閣議決定した人工知能基本計画の注で、オープンウェイトを重みが公開された状態と説明している(※1)。
重みは、AIモデルが学習で得た数値(パラメーター)の集まりで、入力から出力を作るときに使われる(※2、※8)。英語では、重みを公開したモデルを「open-weight model」と呼ぶ(※3、※4)。英語の表記には「open weights」「open-weight」などの揺れがある(※3、※4、※8、※16)。
英国の AI Security Institute(AISI)の説明では、オープンウェイトのモデルは、誰でも重みをダウンロードして動かしたり手を加えたりできるモデルだ。重みを公開せず、開発元が管理する窓口からしか使えないモデルは、クローズドウェイト(closed weight)のモデルと呼ばれている(※3)。
日本では、Preferred Networks が2026年10月7日、AI翻訳のサービス「PLaMo翻訳」の大型アップデートの発表の中で、翻訳に特化した自社のモデルを「オープンウェイトモデル」として公開する予定だとした(※5)。Meta の「Muse Spark Open」と OpenAI の「gpt-oss」も、重みを公開した海外のモデルだ(※6、※4)。
オープンウェイトとオープンソースの違い
オープンウェイトは、ソフトウェアのオープンソースと混同されやすい。人工知能基本計画は、2つの語を別々に説明している。計画によると、オープンソースはソフトウェアのソースコードを公開し、誰もが見たり使ったり手を加えて配り直したりできるようにするライセンスの形だ。オープンウェイトは、前に見たとおり重みが公開された状態を指す(※1)。
オープンソースの定義を定めている団体の Open Source Initiative(OSI)は、2024年10月28日にAIのための定義「The Open Source AI Definition 1.0」を公表した(※7)。この定義では、オープンソースのAIと呼ぶには重みだけでは足りない。学習に使ったデータについての詳しい情報と、学習や実行に使ったソースコードの全体も公開する必要がある。
データの情報は、専門家が実質的に同じシステムを作れるほど詳しいものとされている(※2)。
OSI は、オープンウェイトとオープンソースのAIで、何を公開するかを次のように比べている(※8)。
| 公開するもの | オープンウェイト | オープンソースのAI(OSI の説明) |
|---|---|---|
| 学習済みの重み | 公開する | 公開する |
| 学習に使ったコード | 共有しない | すべて共有する |
| 学習の途中で保存したモデル | 公開しない | 公開するのが望ましい |
| 学習に使ったデータ | 共有しない・示さない | 法的に許される範囲で公開する |
| 学習データの構成 | 一部だけ示す、または示さない | すべて示す |
OSI によると、オープンウェイトは、中身を何も公開しない独自のAIよりは透明性が高い。それでも重みだけでは、外の人が学習の過程を再現したり、偏りがどこで入ったかを調べたりするのは難しい(※8)。
オープンウェイトの由来と広まった背景
OSI によると、オープンウェイトは新しい考え方ではない。OSI は、オープンソースのライセンスに詳しいヘザー・ミーカー氏が2023年に「Open Weights Definition」を公表し、それまでの議論の多くを形にしたと紹介している(※8)。
米国では、政府が重みの公開の利点とリスクを調べ、規制の考え方を示してきた。
2023年10月30日の大統領令は商務長官に、重みが広く入手できるデュアルユース基盤モデルについて、利点やリスク、政策の考え方の意見を広く募るよう求めた(※18)。デュアルユースは一般に、民生にも軍事にも使えることを指す。これを受けて商務省の電気通信情報局(NTIA)が2024年7月30日に出した報告書は、重みを公開したモデルの利点として次の点を挙げた(※9)。
- AIの研究開発に加わる担い手を、資金の少ない組織も含めて広げる。
- AIの市場の支配を、少数の大手の開発元から分散させる。
- 利用者がデータを第三者と共有せずにモデルを使えるので、機密やデータの保護が高まる。
同じ報告書によると、報告書を出した時点では重みの公開を制限すべきだとも将来も制限は要らないとも、言い切るだけの証拠はなかった。報告書はそのうえで、リスクを見張り続けて備えるよう政府に勧めた(※9)。
商務省の産業安全保障局(BIS)が2025年1月に官報に載せた規則は、重みを公開したモデルを輸出の規制の対象から外した。BIS は、規則を出した時点では、重みを公開して得られる経済や社会の利点がリスクを上回ると判断していた(※10)。この規則は、2025年5月13日に商務省が撤回を発表している(※11)。規則の中身は、用語集の「AIモデルの輸出規制」で取り上げている。
米国政府が2025年7月23日に出した「America’s AI Action Plan」(※19)は、オープンソースとオープンウェイトのAIを広めることを掲げた項目を設けた。
計画によると、新興企業はクローズドのモデルの提供元に頼らずにモデルを使え、機密のデータをクローズドのモデルの提供元に送れない企業や政府もAIを取り入れやすくなる。学術の研究も、モデルの重みや学習データを使えることに頼る場合が多いという(※12)。
日本では、2025年12月23日に閣議決定された最初の人工知能基本計画が、オープンソース・オープンウェイトのAIモデルを含む信頼性の高いAIのエコシステムを築くとした(※13)。2026年7月14日の第Ⅱ期の計画も、同じ方針を掲げている(※1)。
オープンウェイトに関する主な出来事・ニュース
- 2024年7月30日 NTIA「Dual-Use Foundation Models with Widely Available Model Weights Report」を公表:米国の NTIA は、重みが広く入手できる基盤モデルの利点とリスク、政策の考え方をまとめた報告書を公表した。
- 2024年10月28日 OSI「The Open Source AI Definition」1.0を公表:OSI は、AIのシステムをオープンソースのAIと呼べるかを確かめる基準として、定義の1.0版を公表した。
- 2025年1月15日 BIS「Framework for Artificial Intelligence Diffusion」を官報に掲載:米国の BIS は、一部の高性能なAIモデルの重みを輸出規制の対象にし、重みを公開したモデルは対象から外す規則を官報で公表した。
- 2025年8月5日 OpenAI「gpt-oss」を発表:OpenAI は、重みを公開した2つの言語モデル gpt-oss-120b と gpt-oss-20b を、Apache 2.0 のライセンスで出した。
- 2025年12月23日 政府「人工知能基本計画」を閣議決定:政府は、人工知能基本計画を閣議決定した。
- 2026年7月17日 英国AISI「How Far Behind the Frontier are Leading Open Weight Models on Cyber?」を公開:英国の AISI は、オープンウェイトのモデルのサイバー攻撃にかかわる能力が、クローズドウェイトの最先端のモデルにどれだけ遅れているかの分析を初めて公開した。
- 2026年7月27日 アモデイ氏「Our position on open-weights models」を公開:Anthropic の CEO のダリオ・アモデイ氏は、同社がオープンウェイトのモデルの禁止を求めたことはないと表明した。
- 2026年10月15日 Meta「Muse Spark Open」を公開:Meta は、AIモデル「Muse Spark Open」の重みを公開した。
オープンウェイトに関する事例・研究
Meta は Muse Spark Open の重みを公開
Meta は2026年10月15日、「Muse Spark Open」の重みを公開した。パラメーターは全体で8,160億あり、そのうちトークン(AIが文章を区切って扱う単位)ごとに使うのは420億だ。
重みは Hugging Face や Amazon SageMaker AI、Google Cloud Model Garden、Microsoft Foundry Models からダウンロードできる。
Meta によると、Apple の M5 Ultra を積んだ Mac Studio を2台使えば、最新の MLX というフレームワークでこのモデルを手元の机の上で動かせる(※6)。
OpenAI は GPT-2 以来となる言語モデルの重みを公開
OpenAI は2025年8月5日、「gpt-oss」の2つのモデルの重みを公開した。OpenAI によると、言語モデルの重みを公開するのは GPT-2 以来だ。大きい方の gpt-oss-120b は80GBのGPU1枚で、小さい方の gpt-oss-20b は16GBのメモリーを積んだ端末で動く。
OpenAI は先行して組んだ AI Sweden や Orange、Snowflake などと、データの安全のために自社の設備でモデルを動かす使い方や、専門のデータで追加の学習をする使い方を探ったとしている(※4)。
Hugging Face は侵入の分析にオープンウェイトのモデルを使用
Hugging Face が2026年7月16日に公表した例では、オープンウェイトのモデルが不正な侵入の分析に使われた。同社は当初、外部の企業が API で提供する最先端のモデルで攻撃の記録を分析しようとした。しかし、実際の攻撃のコマンドなどを大量に送る必要があり、依頼は提供元の安全のための制限に止められた。
同社は代わりに、オープンウェイトのモデル GLM-5.2 を自社の設備で動かして分析した。同社によると、攻撃者のデータや、その中にあった認証情報が自社の環境の外に出ないという利点もあった(※14)。
英国AISIはオープンウェイトの遅れをサイバー能力で4〜7か月と評価
英国政府の研究機関の AISI は2026年7月17日、オープンウェイトのモデルのサイバー攻撃にかかわる能力を評価した結果を公表した。AISI の評価では、オープンウェイトのモデルの GLM-5.2 と DeepSeek V4-Pro は、4〜7か月前に出たクローズドウェイトの最先端のモデルと同じくらいの成績だった。2025年の大半の時期に AISI が内部で測った差は、6〜10か月だった(※3)。
AISI によると、評価したオープンウェイトのモデルでは、安全のための仕組みは評価の妨げにほとんどならなかった。公表された価格で比べると、使う費用も、比べた相手のクローズドウェイトのモデルよりずっと安かった。AISI は、この評価はサイバーの能力だけを調べたもので、ほかの能力には当てはめられないとしている(※3)。
AISI は2026年7月23日、米国の CAISI と共同で、Kimi K3 のサイバー能力の予備的な評価も公表した。
Kimi K3 は評価の時点では重みの公開を控えていたモデルで、その後 Hugging Face で重みが公開された。評価では、2026年6月時点で最もサイバーの能力が高いオープンウェイトのモデルだった GLM-5.2 を上回ったが、米国のクローズドウェイトの最先端のモデルには大きく及ばなかったという(※20、※21)。
オープンウェイトのモデルの注意点と安全をめぐる議論
名前に「オープン」とあっても、モデルを使える条件はモデルごとに違う。gpt-oss は、Apache 2.0 のライセンスで公開されている(※4)。Muse Spark Open は独自の「Muse Model License」で公開され、Meta によると、多くの開発者は無料で使える(※6)。
ただしこのライセンスでは、モデルを使った製品の画面や説明書などに「Built with Muse Spark Open」と目立つように示す必要がある。APIなどでAIモデルを他社に提供するサービスにこのモデルを使う場合、関連会社を含めた連続する12か月の売上の合計が2,000万ドルを超える企業は、事前に Meta に知らせて別の書面の契約を結ぶ必要もある。社内での利用や研究、AIモデルを提供するサービスではない商用の利用、自社の製品の機能の一部として使う場合には、この条件は当たらない(※15)。
業務で使うときは、モデルごとにライセンスの条件を読むことが大切だ。
オープンウェイトのモデルは、OSI の定義でいうオープンソースのAIと同じではない。モデルの作られ方まで確かめたいときは、重みのほかに学習データや学習のコードが公開されているかをモデルごとに見る必要がある(※8)。
安全の面では、重みを公開すると取り消せないことが課題になる。AISI によると、公開したあとは安全のための仕組みを外されることがあり、写しをダウンロードして監視の届かない環境で動かすこともできる(※3)。
OpenAI は gpt-oss-120b について、攻撃者がするように生物とサイバーセキュリティの専門のデータで追加の学習をした版を作り、その能力を確かめたとしている(※4)。Meta も、Muse Spark Open に安全のための追加の学習を施したとしている(※6)。
規制をどうするかについては、意見の違いもある。Anthropic の CEO のダリオ・アモデイ氏は、同社のサイトに載せた2026年7月27日の文章で、危険な能力を持たないオープンウェイトのモデルは公共財だと述べた。
アモデイ氏によると、オープンウェイトのモデルは安全のための制限をかけにくく、公開後に取り下げられないため、クローズドのモデルよりリスクが高い可能性がある。それでも同氏は、米国の企業による利用を禁じてもこのリスクには対処できないとした。同氏が支持する3つの策の1つは、十分に高い能力を持つすべてのモデルに、重みを公開するかどうかを問わず安全の試験を義務づけることだ(※16)。
オープンウェイトに関連する用語
- AIモデルの輸出規制:政府が安全保障などを理由に、高性能なAIモデルを外国へ渡すことや外国人に使わせることを制限すること。
- 人工知能基本計画:AIの研究開発と活用を進めるために、AI法に基づいて政府が定める国の基本の計画。
- 防御側の窓:攻撃に使える高度なAIが広く出回る前に守る側がAIで欠陥を見つけて直し、守りを固められる限られた期間。
オープンウェイトに関する出典
※1 内閣府「人工知能基本計画 ~日本AX、より強く、より豊かに~」(2026年7月14日閣議決定)
※2 Open Source Initiative「The Open Source AI Definition – 1.0」
※3 AI Security Institute「How Far Behind the Frontier are Leading Open Weight Models on Cyber?」(2026年7月17日)
※4 OpenAI「Introducing gpt-oss」(2025年8月5日)
※5 Preferred Networks「PFN、AI翻訳サービス PLaMo翻訳を大型アップデート、 世界最先端AIモデルと同等の日本語翻訳精度を大幅に低いコストで実現」(2026年10月7日)
※6 Meta「Introducing Muse Spark Open, The Most Capable US Open‑Weight Model to Date」(2026年10月15日)
※7 Open Source Initiative「The Open Source Initiative Announces the Release of the Industry’s First Open Source AI Definition」(2024年10月28日)
※8 Open Source Initiative「Open Weights: not quite what you’ve been told」
※9 National Telecommunications and Information Administration「Dual-Use Foundation Models with Widely Available Model Weights Report」(2024年7月30日)
※10 Bureau of Industry and Security「Framework for Artificial Intelligence Diffusion」(2025年1月15日)
※11 Bureau of Industry and Security「Department of Commerce Announces Rescission of Biden-Era Artificial Intelligence Diffusion Rule, Strengthens Chip-Related Export Controls」(2025年5月13日)
※12 The White House「America’s AI Action Plan」(2025年7月)
※13 内閣府「人工知能基本計画 ~「信頼できるAI」による「日本再起」~」(2025年12月23日閣議決定)
※14 Hugging Face「Security incident disclosure — July 2026」(2026年7月16日)
※15 Meta「MUSE MODEL LICENSE」(2026年10月15日、Hugging Face)
※16 Dario Amodei「Our position on open-weights models」(2026年7月27日、7月28日更新、Anthropic)
※17 内閣府「人工知能基本計画」(2026年7月14日閣議決定の計画と、2025年12月23日閣議決定の計画の掲載ページ)
※18 The White House「Executive Order on the Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence」(2023年10月30日)
※19 The White House「White House Unveils America’s AI Action Plan」(2025年7月23日)
※20 AI Security Institute「UK AISI / CAISI Preliminary Assessment of Kimi K3’s Cyber Capabilities」(2026年7月23日)
※21 Moonshot AI「moonshotai/Kimi-K3」(Hugging Face)




