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CAIO(AI統括責任者/Chief AI Officer)とは・意味、役割・事例・調査

最終確認日:2026年10月26日

CAIOとは?

CAIO(AI統括責任者)とは、組織の中でAIの活用を進めることとAIのリスクを管理することを、まとめて受け持つ責任者のこと。CAIOは、英語の「Chief AI Officer」の略だ。

デジタル庁の「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」は、CAIOを「AI統括責任者」と訳し、各府省庁に置く役としている(※1)。ラクスやイトーキ、MIXIの発表では、「最高AI責任者」という訳も使われている(※2、※3、※4)。

デジタル庁のガイドラインでのCAIOは、府省庁ごとに生成AIの利活用の方針を作って推し進め、組織全体での使われ方とリスクの管理を統括する(※1)。企業向けには、AIセーフティ・インスティテュート(AISI)が「Chief AI Officer ガイドブック」をまとめている。

AISIは、AIの安全性を評価する手法や基準などを扱う日本の公的機関だ。ガイドブックは、従来のデータの責任者(CDO)や情報システムの責任者(CIO)などの体制だけではAIの活用の推進とリスクの統制を一体として続けて担うのが難しい場合があるとして、CAIOを置く目的を説明している(※5)。

府省庁に置くCAIOの位置づけと役割

デジタル庁のガイドラインは2026年6月12日に第2.0版になり(※6)、9月1日から施行されている。ただし、CAIOの対応事項に必要な措置は、施行より前の6月30日までに決めておくとしていた(※1)。

CAIOの位置づけと役割の多くは2025年5月の初版から定められており、第2.0版では、CAIOが相談の結果なども踏まえてリスクの程度を判断することなどが書き加えられた(※1、※7)。第2.0版が定める、各府省庁のCAIOの位置づけと役割を、まとまりごとに整理する。

CAIOにはデジタル統括責任者か副デジタル統括責任者の級を想定

各府省庁には、行政のデジタル化を総合的に進めるデジタル統括責任者がいる。CAIOは、その役割のうちAIの分野を受け持つ。そのため、CAIOにはデジタル統括責任者か、それを補佐する副デジタル統括責任者の級の職員が想定されている。デジタル統括責任者や副デジタル統括責任者が、CAIOを兼ねることもできる(※1)。

CAIOは生成AIの使い方ごとにリスクの程度を判断する

CAIOは生成AIの利活用を企画する職員と組んで、使い方(ユースケース)ごとにリスクを評価し、高リスクに当たる可能性が高いかどうかを判断する。判断には、ガイドラインの別紙にある「高リスク判定シート」も参考にする(※1)。

府省庁のCAIOが使い方のリスクを判断する流れデジタル庁のガイドライン(第2.0版)をもとに整理
1
企画者と評価するCAIOは、生成AIの利活用を企画する職員と組んで、使い方ごとにリスクを評価するガイドラインの別紙にある「高リスク判定シート」も参考にする
2
必要に応じて相談する必要に応じて、デジタル庁が運用する「AI相談窓口」や、「先進的AI利活用アドバイザリーボード」に相談するAI相談窓口は、高リスクに当たるか判断に迷う事案の相談も受け付ける
3
リスクの程度を判断する相談なども踏まえて、CAIOが、高リスクに当たる可能性が高いかどうかを判断する高リスクに当たるかどうかは、最終的にはCAIOが決める
4
可能性が高ければ報告する高リスクに当たる可能性が高いと判断した使い方は、アドバイザリーボードに報告する企画の内容やリスクを減らす策などを報告する
出典:デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2026年6月12日)

CAIOは、高リスクに当たる可能性が高いと判断した使い方について、企画の内容やリスクを減らす策などを有識者などでつくる「先進的AI利活用アドバイザリーボード」に報告する。高リスクに当たるかどうかは、各府省庁が評価の結果を踏まえて判断し、最終的にはCAIOが決める(※1)。

CAIOは生成AIのシステムの一覧づくりから職員の研修まで受け持つ

CAIOは、府省庁内の生成AIのシステムについて運営と使われ方を一覧にまとめ、四半期に一度を目安に、アドバイザリーボードに報告する。職員が生成AIを使うときのルールを作ることや、入力するデータやハルシネーションへの注意を含む研修を開くことも、CAIOの役割に入っている(※1)。ハルシネーションは一般に、AIが事実と異なる内容をもっともらしく出力することを指す。

デジタル庁は、各府省庁のCAIOが集まる連絡会を開き、アドバイザリーボードでの議論や、生成AIのシステムに関する注意喚起などを伝えるとしている(※1)。

CAIOが制度に取り入れられた経緯

行政の役職としてのCAIOは、米国の連邦政府で先に制度になった。2023年10月の大統領令と、それを受けた2024年3月の行政管理予算局(OMB)の指示で、連邦政府の各機関にCAIOを置くことが求められた(※8、※9)。この大統領令は2025年1月に取り消されたが、同年4月のOMBの新しい指示も、各機関にCAIOを置くよう求めている(※10、※11)。OMBは、大統領の下で予算や行政の管理を受け持つ機関だ。

日本では、デジタル庁が2025年5月に策定したガイドラインの初版で、各府省庁にCAIOを置くとした(※7)。

2025年12月に人工知能戦略本部が決めた指針は、各府省庁がAIガバナンスの責任者を任命し、地方公共団体もAIの適正な活用とリスク管理の責任者をはっきりさせるとしている。この指針は注で、ガイドラインがCAIOを置くとしていることに触れている(※12)。2026年3月には、AISIが企業向けのガイドブックなどをまとめた(※5、※13)。

CAIOに関する主な出来事・ニュース

CAIOに関する事例・調査

米国の連邦政府はCAIOの地位と役割を細かく定めた

2025年4月のOMBの指示は、CIO、最高データ責任者、最高技術責任者など今いる幹部を、各機関がCAIOに指名してもよいとしている。ただし、その人がAIに十分な専門性を持っていることが条件だ。CAIOは、副長官などの幹部と日ごろからやりとりできる地位に置く必要があるとされた(※11)。

同じ指示は、機関のAIの使い方の一覧(AI Use Case Inventory)の管理と「high-impact」のAIの使い方を見極めて管理する手順づくりを、CAIOの役割に挙げている。high-impact は、AIの出力が権利や安全に重い影響を及ぼす判断や行動の主な根拠になる使い方を指す。

OMB は、最高財務責任者法(CFO Act)の対象の機関のCAIOや、ホワイトハウスの科学技術政策局などの代表でつくる「Chief AI Officer Council」を開き、議長を務めるとした(※11)。

日本の企業でも、CAIOを新しく置く会社が出てきた

日本の企業では、ラクス・イトーキ・MIXI が自社の発表でCAIOの新設を知らせている。

  • ラクスは、2025年7月11日付でCAIOを新しく設け、取締役の本松慎一郎氏が兼ねた。同社は、AIの導入から開発・運用までを会社全体で進めるには、はっきりした責任者の下で事業と開発が一体になって進める体制が欠かせないと判断したと説明している(※2)。
  • イトーキは、竹内尚志氏が常務執行役員への昇任と同じ2026年7月1日付でCAIOに就いたと発表した。竹内氏はDX本部長として、会社全体のAIの戦略の推進、AIを使う基盤の整備、AIのガバナンスの強化、社内の仕事へのAIの組み込み、AIの人材の育成を受け持つ(※3)。
  • MIXIは、2026年8月1日付でCAIOを新しく設け、取締役 上級執行役員の村瀨龍馬氏が就くことを決めた。同社は、競争の焦点がAIを使うことからAIで事業の価値を生み出すことへ移ったとして、各組織の取り組みを会社全体で統括する経営の責任者が要ると判断したと説明している(※4)。

Sansan の調査では、とくに増えたAI関連の役職にCAIOが入る

Sansanは、2026年10月5日に、名刺アプリ「Eight」の利用者の名刺のデータを調べた結果を発表した。所属か役職に「AI」「AX」などを含む人は、2021年7月31日の1,146人から、2026年7月31日には3,479人に増えた。この5年間にAI関連の所属や役職に変わった人のうち、名刺から役職が分かる人を見ると、とくに増えた役職としてAIエンジニア、AIコンサルタントとともにCAIOが挙がった(※14)。

CAIOを置くときの指針とその効力の範囲

AISIのガイドブックは、CAIOの役割を、AI戦略の策定と実行、企画から導入までの過程の監理、ガバナンス・倫理・法令順守、組織の変革と人材の育成、社内外との連携とコミュニケーションの領域に分けて示している(※5)。

ガイドブックは、CAIOを独立した経営陣の一員として、最高経営責任者(CEO)の直下に置くことを勧めている。CAIOが議長を務める全社のAIの委員会を設け、少なくとも月に1回を標準として開くことも示している(※5)。

ガイドブックは法的な拘束力を持たない、実務の参考資料だ。ガイドブックによると、個々の案件の事業上の最終的な判断は、その事業の責任者が担う。ガイドブックが示すCAIOの役割は、会社法などの法令による最終的な法的責任をだれが負うかを変えるものではない。

ガイドブックは、CAIOが統括する範囲と各部門が進める範囲の分け方や報告の経路を、CIOやCDO、情報セキュリティの責任者(CISO)などとの間で先にそろえておくことが望ましいとしている(※5)。

政府に生成AIのシステムを提供する事業者を、デジタル庁のガイドラインは直接の対象としていない。ただしガイドラインによると、生成AIのシステムを企画・提供する府省庁の職員が調達の手続きや契約、事業者の監督などを通じて事業者がガイドラインを守り、それに沿って取り組むようにする(※1)。

CAIOに関連する用語

CAIOに関する出典

※1 デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2026年6月12日)
※2 ラクス「役職の新設及び取締役の職掌変更(追加)に関するお知らせ」(2025年7月11日)
※3 イトーキ「イトーキ、AIを経営の中核に据え最高AI責任者「CAIO」を新設」(2026年7月1日、PR TIMES)
※4 MIXI「MIXI、全社AI戦略を統括する「CAIO(最高AI責任者)」を新設」(2026年7月31日、PR TIMES)
※5 AIセーフティ・インスティテュート事務局「Chief AI Officer ガイドブック(Version 1.00)」(2026年3月1日)
※6 デジタル庁「「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン(第2.0版)」を策定しました」(2026年6月12日)
※7 デジタル庁「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」(2025年5月27日)
※8 Federal Register「Safe, Secure, and Trustworthy Development and Use of Artificial Intelligence(Executive Order 14110)」(2023年10月30日)
※9 Office of Management and Budget「M-24-10 Advancing Governance, Innovation, and Risk Management for Agency Use of Artificial Intelligence」(2024年3月28日)
※10 The White House「Initial Rescissions of Harmful Executive Orders and Actions」(2025年1月20日)
※11 Office of Management and Budget「M-25-21 Accelerating Federal Use of AI through Innovation, Governance, and Public Trust」(2025年4月3日)
※12 人工知能戦略本部「人工知能関連技術の研究開発及び活用の適正性確保に関する指針」(2025年12月19日)
※13 AIセーフティ・インスティテュート「Chief AI Officerガイド」(2026年3月17日)
※14 Sansan「Eight、名刺データが示す「AI時代の肩書き調査」を発表」(2026年10月5日)
※15 U.S. Department of Homeland Security「DHS Announces New Policies and Measures Promoting Responsible Use of Artificial Intelligence」(2023年9月14日)
※16 The White House「FACT SHEET: Vice President Harris Announces OMB Policy to Advance Governance, Innovation, and Risk Management in Federal Agencies’ Use of Artificial Intelligence」(2024年3月28日)
※17 デジタル庁「「行政の進化と革新のための生成AIの調達・利活用に係るガイドライン」を策定しました」(2025年5月27日)
※18 デジタル庁「ガバメントAI 源内においてAI エージェント利用環境の提供を開始するとともに、「源内基準」を公表します」(2026年10月20日)

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