常時稼働エージェント(Always-on Agent)とは・意味、仕組み・主なサービス・事例

最終確認日:2026年10月26日
常時稼働エージェントとは?
常時稼働エージェントとは、利用者が話しかけていない間も、任された仕事を自分で進め続けるAIエージェントのこと。OpenAI は、2026年9月29日に発表した「dots」を「always-on agent」と説明し、利用者が作る個々のエージェントを単数形で「dot」と呼んでいる(※1、※4)。
これまでのチャット型のAIは、質問されたときに答える使い方が中心だった。常時稼働エージェントは、利用者がアプリを閉じたり席を外したりしている間も作業を続け、作業の結果や、利用者の判断が必要なことを自分から知らせる(※1、※2、※3)。
呼び名は会社によって違う。Google は「Gemini Spark」を、Gemini アプリで24時間動く個人向けのAIエージェントと説明していた(※10、※11)。Google のヘルプによると、この機能の名前は、今は「タスク」に改められている(※12)。Meta は「Muse」を「パーソナルAIエージェント」と呼ぶ(※2)。
Anthropic は「Claude Duet」を、Claude が自分から動くエージェント(原文では「proactive agent」)として働く新しいアプリと説明している。同社によると、Claude は利用者が気にかけるべきことを自分から知らせる(※3)。
Microsoft は、2026年6月に「Scout」を always-on のエージェントとして発表し、9月には名前を「Autopilot」に改めたと発表した(※7、※8)。
常時稼働エージェントの仕組み
OpenAI、Meta、Anthropic の説明をもとに整理すると、常時稼働エージェントは仕事を任されてから結果を知らせるまで、おおむね同じ流れで動く。
Meta「Meta、パーソナルAIエージェント「Muse」を日本で提供開始」(2026年10月23日)
Anthropic「Introducing Claude Duet」(2026年10月21日)
以上をもとに編集部作成
常時稼働エージェントは主にクラウドの専用コンピューターで動く
ここで取り上げる製品は、主に各社が用意する専用のコンピューターで動く。そのため、利用者がアプリを閉じても作業を続けられる。製品によっては、端末の電源が切れていても動き続ける。
- dots は、クラウドに自分のコンピューターとブラウザを持ち、利用者のコンピューターの電源が切れていても作業を続けられる(※1)。
- Claude Duet は、専用のブラウザを持つ仮想マシンで動く。仮想マシンは、ソフトウェアで作った仮想のコンピューターだ。Claude Duet が動くのに、利用者のノートパソコンやスマートフォンの電源が入っている必要はない(※3)。
- Google は2026年5月の発表で、Gemini Spark は Google Cloud 上の専用の仮想マシンで動き、24時間働くので利用者がノートパソコンを開いておく必要はないと説明していた(※10)。今の「タスク」では、Gemini がクラウド上のリモートのブラウザを使う作業なら、端末を閉じても作業を続ける。パソコンの Chrome を使う作業では、パソコンと Chrome を終了せずに動かしておく必要がある。途中でパソコンを閉じたり電源を切ったりしたときは、Gemini がリモートのブラウザで作業を引き継ぐことがある。端末の電源が切れているときや、タスクモードをオフにしているときは、スケジュールは実行されない(※12)。
- Muse は、利用者ごとに切り離されたクラウド上の仮想マシン「Muse Secure VM」で動く。つないだサービスのデータやログインの情報も、この中で保管される(※2)。
- Microsoft の Autopilot は、組織が使う Microsoft の環境の中で動き、専用のID、記憶、コンピューター、作業スペースを持つ。クラウドで動くため、利用者が眠っている間も作業を続けるという(※7)。
エージェントをメールやカレンダーなどのアプリとつなぐ仕組み
常時稼働エージェントは、メールやカレンダーなどのアプリとつないで、その情報を使って作業する。アプリとつなぐ仕組みを、OpenAI は「プラグイン」、Meta は「コネクター」と呼び、Anthropic は両方の語を使っている。
dots は、プラグインを通じて4,000を超えるアプリとつなげる(※4)。Gmail や Google ドライブ、GitHub などのプラグインは、接続済みのアカウントと既存の権限の範囲で使う(※1)。
Claude Duet は、Claude Marketplace にある6,000を超えるコネクターとプラグインを使える(※3)。Muse は、Gmail や Google カレンダー、Instagram などとコネクターで接続できる(※2)。
dot は記憶と段取りを自分で管理する
dot は会話の内容や ChatGPT のメモリに加えて、利用者の好みや決めたこと、進めている作業を自分でメモに残して使う。このメモは、会話や連絡の手段が変わっても引き継がれる。いつ作業を止め、いつ再開するかも、dot が自分で決められる。複数の作業を並行して進めるために、裏で動く別のエージェントを使うこともできる(※1)。
エージェントが裏で進める作業も利用上限に含まれることがある
Claude Duet は、利用者がつないだアカウントを数時間ごとに確かめる。絶えず確かめると、プランの利用上限をずっと早く使い切ってしまうためだと、Anthropic は説明している(※3)。
OpenAI によると、dot との会話は ChatGPT の利用上限に含まれない。ただし、dot が ChatGPT Work や Codex で始めたり管理したりする作業は、それぞれの利用上限に含まれる。ChatGPT Work は、調べものや分析、ファイルの作成などを任せる ChatGPT の使い方で、Codex はソフトウェアの開発に使う OpenAI のサービスだ(※1)。
OpenAI など3社は重要な操作の前に本人の承認を求める
常時稼働エージェントは、利用者が見ていない間に動く。OpenAI、Meta、Anthropic は、いずれも重要な操作の前に本人の承認を求める仕組みを設けている。
- Muse は、メールを送る・商品を買うといった重要な操作の前に本人の確認をとる。利用者のパスワードや支払いの手段は、Muse からは見えない。インターネットへの接続は、Muse とは別の「Sentinel」というエージェントが管理する(※2)。
- Claude Duet は、メッセージの送信や支払い、書類への署名、削除の前に、何をするかを示して承認を待つ。証券の売買や口座間の資金の移動などは、承認があっても Claude Duet には任せられない。パスワードやログインの情報は、Claude Duet から直接は見えない(※3)。
- dots では、アカウントに影響する操作や情報の共有の前に、確認の仕組みが働く。この仕組みが、dot がそのまま進めるか、承認を求めるか、その一手を利用者自身に任せるかを決める。ウェブサイトへのログインが必要なとき、dot はログインの依頼を送ることができる。利用者はそれを開き、専用の入力欄に認証情報を入れる。認証情報は、会話の外にあるクラウドのブラウザに渡る(※1)。
OpenAI によると、dot は間違えることがあり、作業を止めてもすでに終えた操作は元に戻らない。そのため同社は、重要な結果とその出典を確かめるよう求めている(※1)。
ChatGPT の dot と、チャット・ChatGPT Work・Codex の使い分け
OpenAI は、チャット、ChatGPT Work、Codex、dot の4つの使い分けを、使う場面ごとに示している(※1)。
| 使い方 | OpenAI が示す使う場面 |
|---|---|
| チャット | 会話の中で、答えや説明、アイデア、文章の下書きの手伝いがほしいとき |
| ChatGPT Work | リサーチや分析、ファイルの作成など、任せたい作業があるとき。すぐに頼むことも、予定を組んで頼むこともできる |
| Codex | ソフトウェアを作る、不具合を直す、テストする、見直すなど、コードや開発の道具を直接扱うとき |
| dot | 続いている仕事を任せて進み具合を追わせ、状況が変わるたびに次にすることを考えさせ、会話をしていない間も対応を続けさせたいとき。dot は ChatGPT や Slack、Teams で進み具合を知らせ、ChatGPT Work や Codex に作業を任せることもできる |
※2026年10月時点
常時稼働エージェントの主なサービスと提供状況
| サービス | 提供会社 | 提供の範囲 | 料金・利用の条件 |
|---|---|---|---|
| dots | OpenAI | 順次提供。ChatGPT の Pro 100・Pro 200・Pro 500 の各プランは、欧州経済領域・英国・スイス以外の、18歳を超える利用者が対象。Business Premium と Enterprise は世界で提供を広げている。Enterprise(Edu、Healthcare を含む)はベータ版の扱いで、管理者が有効にする必要がある | 最初の dot は、Pro と Business Premium のプランの料金に含まれる |
| Gemini Spark(今の名前は「タスク」) | 2026年8月13日の発表で、160を超える国で提供。今のヘルプでは、欧州経済領域・ナイジェリア・スイス・英国では使えず、18歳以上で、個人の Google アカウントが対象 | Google AI Pro・Ultra のプランで使える | |
| Muse | Meta | 米国で2026年9月から、日本で10月23日から。日本では iOS、Android、muse.ai で使える | 基本的な機能の多くは無料。サブスクリプションのプランもある |
| Claude Duet | Anthropic | 米国の Pro・Max の利用者向けの研究プレビュー。研究プレビューは、試験的な公開の段階を指す。ウェイトリストに登録し、使えるようになった知らせを待つ必要がある | Pro・Max のプランに含まれ、Claude のほかの使い方と同じ利用上限を使う |
| Autopilot | Microsoft | 2026年9月末から限定プレビューを広げると発表。限定プレビューは、一部の利用者だけが先に試せる段階を指す | 利用量に応じた課金の対象 |
※2026年10月時点。dots は※1・※4、Gemini Spark は※11・※12、Muse は※2・※9、Claude Duet は※3、Autopilot は※7 による。
常時稼働エージェントが広まった経緯
利用者が離れている間も動き続けるエージェントを、大手のIT企業が2026年に相次いで打ち出した。5月に Google が Gemini Spark を発表し、10月までに Microsoft、Meta、OpenAI、Anthropic が続いた(※3、※4、※8、※9、※10)。Microsoft は、6月に発表した Scout について、オープンソースのソフトウェア「OpenClaw」の技術を使っていると説明している(※8)。
常時稼働エージェントに関する主な出来事・ニュース
- 2026年5月19日 Google「Gemini Spark」を発表:Google は、Gemini アプリで使う個人向けのAIエージェント「Gemini Spark」を発表し、一部のテスターへの提供を始めるとした。
- 2026年6月2日 Microsoft「Microsoft Scout」を発表:Microsoft は always-on のエージェント「Scout」を、新しい機能を先に試せる「Frontier」の仕組みを通じて試験的に提供し始めた。
- 2026年9月8日 Meta「Muse」を発表:Meta は、パーソナルAIエージェント「Muse」を米国で提供し始めた。
- 2026年9月25日 Microsoft「Autopilot」を発表:Microsoft は、Scout から名前を改めた Copilot の新しい機能「Autopilot」を発表し、9月末から限定プレビューを広げるとした。
- 2026年9月29日 OpenAI「dots」を発表:OpenAI は、対象の市場で ChatGPT の Pro と Business Premium を使う人に向けて、dots の順次提供を始めた。
- 2026年10月21日 Anthropic「Claude Duet」の研究プレビューを開始:Anthropic は、米国で Pro・Max のプランを使う人に向けて、Claude Duet の研究プレビューを始めた。
- 2026年10月23日 Meta「Muse」の提供を日本で開始:Meta は、日本で Muse の提供を始めた。
常時稼働エージェントに関する事例・調査
OpenAI など3社が挙げる、準備や手続きの代行と誤りの発見
OpenAI が dots の使い方として挙げる例に、社外の合宿の準備がある。dot は、参加の返事が届くたびに人数を更新し、見積もりの取り直しを依頼する前に利用者に確かめることができる。OpenAI は、営業の提案書を顧客の要望の変化に合わせて直し続ける使い方も紹介している(※1)。
Microsoft は、Autopilot が仕入れ先の見直しの手続きを受け持ち、日程の組み立てから関係者への進み具合の確認までを自分で進められるとしている(※7)。
Anthropic が紹介した先行利用者の例では、不動産の仲介を営む小規模事業者のカレンダーに、物件の案内の予定が誤った日付で入っていた。Claude Duet は、頼まれていないのにそれを見つけて知らせたという(※3)。
エージェントの6つの統制を全社で整えた企業は5%という調査も
ボストン コンサルティング グループが2026年9月30日に公表した報告書は、企業の AI 活用を広く調べたもので、常時稼働エージェントに限った調査ではない。それによると、自社のAIエージェントが2030年までに、人の承認を経ずに判断する形で自律的に動くようになると見込む企業は42%だった。一方で、同じ報告書が挙げる6つの統制を全社ですべて実施している企業は5%にとどまった(※5)。
出典:Boston Consulting Group「The Formula for Agentic AI Value」(2026年9月30日)
常時稼働エージェントに何を任せ、どこで人が判断するか
常時稼働エージェントを使いこなすうえでは、何を任せ、どこで人が判断するかの線引きが要になる。OpenAI は、定期的に確かめたり更新したりしている仕事から任せ始め、最初の結果を見て直してから範囲を広げるよう勧めている(※1)。
国の資格試験のシラバス案にも、この考え方が入っている。情報処理推進機構が新しく設ける予定のデータマネジメント試験(仮称)のシラバス案は、AIエージェントの項目に「自律性と人間の関与(最終承認,例外処理など)」や、安全や倫理、法令順守などの面でAIの動きに歯止めをかけるガードレールを挙げている(※6)。
常時稼働エージェントに関連する用語
- 承認疲れ:AIエージェントなどから操作の許可を何度も求められるうちに、人が中身をよく確かめずに承認するようになること。
- エージェントID:AIエージェントに、人の利用者のアカウントとは別に割り当てる専用のID。
- エージェンティックコマース:AIエージェントが利用者の代わりに商品を探し、比べ、購入まで済ませる商取引。
常時稼働エージェントに関する出典
※1 OpenAI「Meet dots | ChatGPT Learn」
※2 Meta「Meta、パーソナルAIエージェント「Muse」を日本で提供開始」(2026年10月23日)
※3 Anthropic「Introducing Claude Duet」(2026年10月21日)
※4 OpenAI「Introducing dots」(2026年9月29日)
※5 Boston Consulting Group「The Formula for Agentic AI Value」(2026年9月30日)
※6 情報処理推進機構「データマネジメント試験(仮称)シラバス(案)Ver.0.1」(2026年8月31日掲載)
※7 Microsoft「Introducing the new Copilot with Home, Code and Autopilot」(2026年9月25日)
※8 Microsoft「Introducing Microsoft Scout: Your always-on personal agent」(2026年6月2日)
※9 Meta「Introducing Muse: The World’s First Personal AI Agent Built for Everyone」(2026年9月8日)
※10 Google「I/O 2026: Welcome to the agentic Gemini era」(2026年5月19日)
※11 Google「Introducing Gemini 3.7 Flash」(2026年8月13日)
※12 Google「Gemini アプリでタスクとワークフローを管理する」(Gemini アプリ ヘルプ)
常時稼働エージェントに関連する記事
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