Agentic Loop(エージェンティックループ)とは・意味、仕組み・由来・事例

最終確認日:2026年10月28日
Agentic Loopとは?
Agentic Loop(エージェンティックループ)とは、作業に要る情報を集める・道具で行動する・結果を確かめるという流れを、AIエージェントが作業を終えるまで繰り返す仕組みのこと。英語では「Agentic Loop」と書く。Anthropic はコーディングエージェントの Claude Code の説明でこの語を使っている。同社の日本語のドキュメントでは「agentic ループ」と表記している(※1)。
Anthropic の Claude Code チームによると、Claude は利用者が指示を送るたびに文脈を集めて行動し、自分の作業を確かめ、必要なら繰り返してから答える。同チームは、この一連の流れをエージェンティックループと呼んでいる(※2)。
Anthropic によると、道具がなければ Claude は文章で答えることしかできない。ファイルを読む・編集する・コマンドを動かすといった道具を Claude が使うたびに、その結果が次の判断の材料になる。この繰り返しが、エージェンティックループの実際の動きだ(※1)。
Agentic Loopの仕組み
Anthropic と OpenAI の説明をもとに、エージェンティックループの流れを図にまとめた。
Anthropic「Building agents with the Claude Agent SDK」(2025年9月29日)
OpenAI「Codex エージェントループの展開」(2026年1月23日)
以上をもとに編集部作成
Claude Code の作業は3つの段階を行き来する
Anthropic は、Claude Code に仕事を任せたときの段階を「コンテキストの収集」「アクションの実行」「結果の検証」の3つとしている。各段階ははっきり分かれておらず、混ざり合いながら進む(※1)。
どの段階をどれだけ回すかは、頼んだ中身で変わる。Anthropic によると、コードについての質問なら情報を集めるだけで足りることがある。不具合の修正ではすべての段階を何度も回し、コードの整理では確かめの作業が多くなることがある。Claude は前の段階でわかったことから次に何をするかを決め、数十の操作をつないでいく。利用者は途中でいつでも割り込み、方向を変えさせたり、情報を足したりできる(※1)。
Codex は道具の結果を足してモデルに問い直す
OpenAI は、ソフトウェアの開発に使う Codex の中心にある処理を「エージェントループ」と呼ぶ。同社の説明では、モデルは1回の推論ごとに、利用者への最終の答えを返すか、道具の呼び出しを求めるかのどちらかを選ぶ。道具の呼び出しが求められると、エージェントは道具を動かして出力をプロンプトに足し、もう一度モデルに問い合わせる(※4)。
OpenAI によると、この繰り返しは、モデルが道具を呼ぶのをやめて利用者向けの文章を返すまで続く。利用者が1回頼むごとに、推論と道具の呼び出しが何度も行き来することがある。そのたびにプロンプトは長くなる。モデルが一度に読める量には上限があり、OpenAI はこの上限を使い切らないよう管理することもエージェントの仕事に挙げている(※4)。
Anthropic が挙げるエージェントの作業の3つの確認方法
Anthropic は、エージェンティックループの最後の段階を、エージェントが自分の作業を評価するところとしている。自分の出力を確かめて直せるエージェントは、誤りが積み重なる前に気づけるため、そもそも確実に動きやすいという(※3)。
同社が効果があったとする確かめ方には、決まりを示す方法、画面で確かめる方法、別のモデルに判定させる方法がある(※3)。
- 決まりを示す:出力が守る決まりを定め、どの決まりに反したか、なぜ反したかを返す。プログラムの書き方を機械で点検する道具が、この例にあたる。
- 画面で確かめる:画面を作るなど見た目の作業では、作った画面の画像を撮ってモデルに戻し、頼んだとおりに見えるかを確かめさせる。
- 別のモデルに判定させる:あいまいな基準での良しあしを、別の言語モデルに判定させる。同社によると、この方法は一般にあまり確実ではなく、時間が大きくかかることもある。それでも、少しでも性能が上がれば費用に見合う用途では役に立つという。
Agentic Loopの由来
Anthropic は2024年12月19日の記事で、エージェントの多くを、環境から返る結果をもとに道具を使うことを繰り返す大規模言語モデルにすぎないと説明した(※5)。
Anthropic は2025年9月29日の記事で、Claude Code の Claude がよく回す流れを、文脈を集める・行動する・作業を確かめる・繰り返すという手順で示した。この記事では、同じ流れを agentic loop とも agent loop とも呼び、ほかのエージェントを考えるうえでも役に立つ見方だとしている(※3)。
OpenAI も2026年1月23日の記事で、どのAIエージェントにも「エージェントループ」と呼ばれる処理が中心にあると書いている(※4)。
2026年6月30日、Anthropic の Claude Code チームは、コーディングエージェントに指示を書く代わりにループを設計する「ループエンジニアリング」がいま盛んに語られていると書いた。同チームによると、ループとは何かを X で調べると、いくつもの答えが見つかる。同チームは、ループを「止める条件を満たすまでエージェントが作業を繰り返すこと」と定義している(※2)。
Agentic Loopに関する主な出来事・ニュース
- 2024年12月19日 Anthropic「Building effective agents」を公開:Anthropic は、エージェントの作り方の考え方をまとめた。
- 2025年9月29日 Anthropic「Building agents with the Claude Agent SDK」を公開:Anthropic は、Claude Agent SDK でのエージェントの作り方を解説した。
- 2026年1月23日 OpenAI「Codex エージェントループの展開」を公開:OpenAI は、Codex CLI の中核の処理であるエージェントループの動き方を解説した。
- 2026年6月30日 Anthropic「Loop engineering: Getting started with loops」を公開:Anthropic は、Claude Code チームによるループの定義を示し、ループの種類ごとに向く作業を説明した。
- 2026年7月22日 Anthropic「Building verification loops in Claude Code with skills」を公開:Anthropic は、人が手で行っていた確かめの手順をスキルにまとめ、Claude が自分の作業を確かめて直すループにする方法を示した。
Claude Code チームによるループの分け方
Anthropic の Claude Code チームは、ループを、始まるきっかけと止まる条件などで4つに分けている。このうち、表の1行目の「1回の指示ごとのループ」が、エージェンティックループにあたる(※2)。スキルは、作業の知識や手順をファイルに書いておき、Claude が必要なときに読み込んで使う仕組みだ(※1、※8)。
| ループ | 始まるきっかけ | 止まる条件 | 向いている作業 | 使う機能 |
|---|---|---|---|---|
| 1回の指示ごとのループ(Turn-based) | 利用者の指示 | 作業を終えた、または情報が足りないと Claude が判断したとき | 決まった手順や予定に入っていない短い作業 | 確かめの手順を書いたスキル |
| 目標を決めたループ(Goal-based) | 利用者がその場で出す指示 | 目標を達成したとき、または決めた回数に達したとき | 終わりの基準を確かめられる作業 | /goal |
| 時間で動くループ(Time-based) | 決めた時間の間隔 | 利用者が取り消したとき、または作業が終わったとき | 繰り返す作業、外のシステムの変化に応じる作業 | /loop、/schedule |
| 自分から動くループ(Proactive) | 出来事や予定。その場に人はいない | 作業ごとに目標を満たせば終わる。仕組み全体は利用者が止めるまで動く | 中身のはっきりした作業が続けて届くもの(不具合の報告の振り分けなど) | 上の機能すべてと、動的ワークフロー(研究プレビュー) |
※2026年10月時点
同チームによると、目標を決めたループでは、Claude が止まろうとするたびに評価用のモデルが条件を満たしたかを確かめ、満たしていなければ作業に戻す。そのため、通ったテストの数のように機械で判定できる基準が、特に有効だという(※2)。
Agentic Loopに関する事例
Adobe は価格ページの作成と確認をループで回す
Anthropic の発表で紹介された Adobe の例では、販売のための基盤を担うチームが、90を超える国と30を超える言語で Adobe.com の価格や販売促進のページを正確に保つ役目を負っている。このチームは、ページを作って確かめるエージェンティックループを組み、オートモードで動かしている。
オートモードは、操作のたびに利用者の承認を求める代わりに、自動の点検が安全な操作を通して危ない操作を止める動かし方だ。技術者は、仕上がった変更の取り込みの依頼(プルリクエスト)を受け取って見直す(※7)。
同じ発表で Adobe の Tomislav Reil 氏は、Claude が画面を作ったあとで意図したデザインと合っているかを確かめに戻り、問題を自動で直してから人に渡すと説明している。同氏は、これで開発の期間が短くなったとしている(※7)。
Warp は開発者の指摘でエージェントの手順を直し続ける
Anthropic が紹介した Warp の例では、AIを組み込んだターミナルを作る Warp が、社内のコードの見直しのエージェントの質に悩んでいた。同社は、エージェントへの指摘はふつうセッションの終わりとともに消え、エージェンティックループから大事な文脈が抜け落ちてしまうことが根本の問題だと気づいたという(※8)。
Warp は、2つのスキルを組み合わせて、この問題に取り組んだ。土台のスキルには、作業の知識と手順を書く。改善役のスキルは決まった時刻に動き、たまった開発者の指摘とエージェントの出力を比べて、土台のスキルへの小さな直しを提案する。直しは通常のコードの見直しを経て、人が承認してから取り込まれる。同社は、仕様を書くエージェントや見直しのエージェントなどに、それぞれこの仕組みを持たせているという(※8)。
Claude Code チームは複数の確認の手順をつなげて使う
Anthropic によると、Claude Code チームのメンバーは、日々の作業で複数の確かめの手順を順につないで使っている。不具合を探す /code-review、変更を整理する /simplify、全体の動きを確かめる /verify を続けて動かす。変更が画面に及ぶときは、デザインの決まりを書いたファイルに沿っているかも確かめる(※6)。
同社によると、このつなぎ方で開発の流れ全体が自動で回り、人は問題が戻ってきたときだけ関わればよくなる。一方で、つないだ確かめはトークン(モデルが読み書きする文字の単位で、利用量の目安)の消費が増えることがあるため、広く使う前に試すよう勧めている(※6)。
Agentic Loopと関連する語の言い方
| 言い方 | 意味 | 使っている主体 |
|---|---|---|
| agentic loop | 文脈を集める・行動する・結果を確かめるを繰り返すエージェントの流れ。日本語のドキュメントでは「agentic ループ」 | Anthropic(※1、※2、※3) |
| agent loop(エージェントループ) | 利用者・モデル・道具のやり取りを回すエージェントの中心の処理 | OpenAI、Anthropic(※3、※4) |
| feedback loop | 作業の結果を次の判断に戻す繰り返し。Anthropic はエージェントの流れをこの語でも説明している | Anthropic(※3) |
| verification loop | エージェントがテストや点検で自分の作業を確かめ、失敗したところを直す繰り返し | Anthropic(※6) |
| loop engineering | 指示を書く代わりに、エージェントが回すループを設計すること | Anthropic(※2) |
| self-improvement loop | 人の指摘をもとに、エージェントの手順を直し続ける繰り返し | Warp(※8) |
Agentic Loopを回すときの注意
Anthropic の Claude Code チームは、ループを止める条件として、終わりの状態を具体的に決めておくよう勧めている。そうすれば、Claude が「十分によい」かを自分で判断して早く止めてしまうことを防げるという。「5回試したら止める」のように、繰り返す回数の上限を書いておくのも一つの方法だ(※2)。
利用量にも気を配りたい。同チームによると、動的ワークフローは数百のエージェントを動かすことがある。そのため、大きく動かす前に作業の一部で試して利用量を見ておくとよい。小さな作業には複数のエージェントやループは要らない。作業によっては、速く安いモデルを使えるものもある。同チームは、使うモデルと考える深さの設定を、ループの費用を左右する大きな要素に挙げている(※2)。
ループが出す成果の質は、ループの周りの仕組みに左右される。同チームは、Claude が自分の作業を確かめる手段を用意することや、元の作業とは別のエージェントにコードを見直させることを勧めている。新しい文脈で読む見直し役は、元のエージェントの考え方に引きずられにくいためだ。同チームは、すべての作業に複雑なループが要るわけではなく、いちばん簡単な方法から始めるよう勧めている(※2)。
Agentic Loopに関連する用語
- エージェントハーネス:AIエージェントのうち、モデルそのもの以外の部分。Anthropic は Claude Code を、道具を用意してモデルが見る文脈を管理する層と説明し、この層を「agentic harness」と呼んでいる(※1)。
- コンテキストエンジニアリング:一般に、AIモデルが答えを作るときに読む情報を、作業の段階ごとに選んで整えること。
- エージェンティックエンジニアリング:一般に、AIエージェントにコードを書かせて動かし、人は計画と指揮と結果の点検を受け持つソフトウェア開発のやり方。
Agentic Loopに関する出典
※1 Anthropic「Claude Code の仕組み」(Claude Code のドキュメント)
※2 Anthropic「Loop engineering: Getting started with loops」(2026年6月30日)
※3 Anthropic「Building agents with the Claude Agent SDK」(2025年9月29日)
※4 OpenAI「Codex エージェントループの展開」(2026年1月23日)
※5 Anthropic「Building effective agents」(2024年12月19日)
※6 Anthropic「Building verification loops in Claude Code with skills」(2026年7月22日)
※7 Anthropic「Auto mode is now the default in Claude Code for Pro, Max, and Team plans」(2026年8月7日、10月22日更新)
※8 Anthropic「How Warp builds self-improving agents on Claude」(2026年8月26日)




