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40代・50代から生成AIを学ぶには? AIスクールや講座・プログラム、学び直しに使える国の制度も

会議のあと、後輩が議事録の要点を生成AIで数分でまとめてくる。部下は、資料の下書きをAIに頼んでから手を入れて、パフォーマンスが上がっている。自分も生成AIに触ってはみたが、仕事にどう組み込み、活用すればよいのかまでは分からない。このまま生成AIを仕事に生かせずにいると、後輩や部下に置いて行かれそうだ――。

この記事は、職場での生成AIの活用方法を事例として紹介した上で、生成AIの学び方の違い、AIスクールの講座と国の制度、無料で始める方法などを紹介する。

生成AIは、仕事のどんな場面で使われている?

総務省の情報通信白書によると、生成AIを使ったことがある人は40代で49.0%、50代で44.2%だった。ただ、使ったことがある人のうち「ほぼ毎日」使う人は、40代で29.7%、50代で18.7%にとどまる。生成AIを使ったことがない人に、テキスト生成AIを使わない理由を年代を分けずに聞くと、「自分の生活や業務に必要ない」が42.4%と最も多く、「使い方がわからない」が38.8%で続いた。

年代別に見た、生成AIを使ったことがある人の割合日本の15〜69歳へのインターネット調査(2026年1〜2月、各年代206人)。生成AIサービスを「使っている(過去使ったことがある)」と答えた人の割合
回答者全体 58.8%
15〜19歳91.7%
20代78.2%
30代56.3%
40代49.0%
50代44.2%
60代33.5%
0%50%100%
破線は回答者全体の割合。年代ごとに同じ人数を集めた回答者の値。
出典:総務省「令和8年版 情報通信白書」第Ⅰ部第1章第1節 年齢階層、付注の調査の概要(2026年7月24日)

パーソル総合研究所が2026年2月に公表した調査では、生成AIを使っていない正規雇用者の使わない理由に、若年層では「使い方がわからない」、中高年では「必要性を感じない」が挙がりやすかった。役職別に見ると、正規雇用者のうち仕事で生成AIを使う人の割合は、課長相当で58.3%、部長相当で62.0%と、一般社員の35.5%を大きく上回った。

職位別に見た、仕事で生成AIを使う人の割合全国の就業者へのインターネット調査のうち、正規雇用者10,632人。各職位の中で、業務で生成AIを使っている人の割合
一般社員・従業員35.5%
課長相当58.3%
部長相当62.0%
0%25%50%75%100%
職位を10区分で聞いた調査のうち、一般社員・課長相当・部長相当を示す。報告書は、課長や部長といった管理職層で利用割合が高く、役員や代表取締役・社長といった経営層では相対的に低いとしている。調査は2025年10月。
出典:パーソル総合研究所「生成AIとはたらき方に関する実態調査」報告書(2026年2月3日)

企業や自治体では、管理職の仕事も含め、会議の議事録から経営判断の材料まで、次の表のような場面で生成AIを使ったり試したりしている。事例にある時間や効果の数字は、本人の申告や見込み、試験導入でのものだ。

活用のパターン 仕事の場面の例 国内の事例
会議の要約・議事録 会議の録音から議事録の下書きを作る 町田市:録音を文字にして議事録を作るAIで、有識者会議での作業時間を約96%削減(2024年12月の発表。試験導入での数字)
メールの要約と下書き 届いた大量のメールの要約、返信の下書き 中野区:2024年7〜8月に Copilot を使った、DXリーダー研修の受講者や管理職など職員108人の自己申告で、1人あたり月平均約166分の業務時間を削減。経営層・管理職(13人)の削減は月206.2分で最も多く、部下からの報告などのメールの要約やチャット・タスクの確認が効いたと区はみる
稟議書・報告書の下書き 稟議書や提案書の下書き 横浜銀行:稟議書づくりを支援するAIの実証実験から、業務に実装すれば融資担当1人あたり月最大約8時間の効率化を見込む。顧客へのヒアリングが足りない審査項目を明確にできる効果も確かめた(2024年11月の発表)
契約書・規約の確認、資料の分析 契約書の比較、決算書の分析 住友商事:契約書の比較や決算書などの分析で、「数時間かかっていた作業が30秒ほど」になった(社員の発言)。幅広い年齢層の約50人のユニットで、全員参加の研修のあと、グループワークでAIの使い方を話し合い、合宿で発表した
面談の準備・練習 部下との面談、1on1の準備 パーソルホールディングス:社員が事前にAIで目標を練り、上司との面談が2〜3回から1回で済んだ(利用者の声)/竹中工務店:管理職約1,100人を対象に、若手女性社員のキャリア相談など、女性活躍やジェンダー平等に関わる1on1をAI相手に練習するツールを試験導入(2025年6月〜2026年1月)。対象者の約7割がツールを使い、利用者の8割が「部下との対話力アップを実感した」と回答。ツールの設問の見直しを求める声も多かった
経営判断の材料 経営資料を読ませて相談相手にする 博報堂DYホールディングス:役員11人に若手社員10人が1対1でつき、社内の経営資料50以上をAIに読ませ、考えを整理する相手にした(同社がアワードに応募した資料から)

ただ、パーソル総合研究所の調査では、正規雇用者が生成AIを使ったタスクの所要時間は、本人の回答で平均16.7%減ったが、働く時間が実際に減ったのは利用者の4人に1人ほどだった。報告書では、仕事全体の時間が減らない主な理由の1つに、生成AIを使う人が少なく、使う仕事も文章作成などに限られていることを挙げる。企業や自治体の活用事例のうち、契約書の比較や決算書の分析、部下との面談の準備は、文章作成以外の場面で生成AIを使った例だ。学び始める前に、生成AIを自分の仕事のどの場面で使いたいかを、活用事例も参考に考えておくと良いだろう。

独学でも、生成AIは自分の仕事の場面に絞って学ぶ

生成AIの学び方を、無料の教材での独学から会社の研修まで、向いている人と費用の目安で比較した。

生成AIを学ぶ方法 向いている人 費用・時間の目安 調査・データなど
無料の教材で独学 自分のペースで触りたい人 無料・数時間から 自己啓発をした正社員のうち、専門書などで自習した人は37.3%(厚生労働省)
オンラインの動画講座 時間が不規則な人 月1万円台から AIチューターに24時間相談でき、講師のライブゼミにも参加できる講座がある(DMM 生成AI CAMP)
教室・講師つきの講座 人に聞きながら学びたい人 数万円〜数十万円 ―
会社の研修や勧め 会社に研修の制度がある人、会社に勧められた人 研修は会社の負担 会社に学ぶよう勧められた40代・50代は約18%がデジタル技術を学び、勧められていない人は約2%。会社に学ぶよう勧められていたのは非デジタル業務の40〜59歳の正社員の5%(リクルートワークス研究所、2022年の調査)

※2026年10月時点

独立行政法人情報処理推進機構(IPA)が、IT企業や事業会社の情報システム部門、デジタル技術で製品や業務を改善する部署の20〜59歳を調べたところ、学びが習慣になっている人には、目標を決めて体系的に学ぶ人が多かった。リクルートワークス研究所は、中高年の学び方の特徴として、新しい知識をすでにある経験と結びつけると記憶に残りやすいこと、範囲を狭めてこまめに理解を確かめると続けやすいことを、先行研究から挙げている。

独学のときも、学ぶ範囲を生成AIを使う自分の仕事の場面に狭め、これまでの経験と結びつけながら、こまめに理解を確かめて進めたい。

AIスクールの受講に、国の教育訓練給付は使える?

業務で生成AIを使うためのAIスクールの講座から、講師に教わるものを中心に比較した。講座の教わり方は講師の個別指導から、メンターの添削、動画まで幅がある。

講座 学べる内容 業務で使えるスキル 形式・講師 期間 料金(税込、2026年10月19日時点) 無料体験・無料相談
Winスクール 生成AI(ChatGPT・Copilot) 生成AIの仕組み、プロンプト、セキュリティ、ChatGPT と Copilot in Windows ChatGPT と Copilot を業務で安全に使う基本 全国約50校の教室かオンライン。講師1人に平均3名の個別指導 90分×3回(受講期限1か月) 40,700円(入学金・教材費を含む) 無料カウンセリング約1時間(来校なら授業の見学も可)
アビバ ChatGPT講座 プロンプト、メールの下書き、企画書や議事録の作成、Excelでの分析・グラフ作成、マクロの生成 文書づくりと Excel の作業にAIを使う 教室・オンライン・併用。授業中の質問に講師が個別に対応 全3回(2週間)か全5回(3週間)、各90分 無料カウンセリングで見積もり(入会金・テキスト代は別) 無料体験レッスン(メニューは Excel などで、カウンセリングを含め約90〜120分)
クラウドワークス アカデミー 生成AI入門講座 生成AIの仕組みと注意点、プロンプトの組み立て、カスタムAI(Gems など)の作成 自分の業務用のAIアシスタントを作る オンライン。動画で学び、課題3回にメンターがフィードバック 3週間(次の期は2026年12月1日〜21日、申込は11月26日まで) 39,600円 副業を中心にした30分の無料個別相談
侍エンジニア 業務改善AI活用コース ChatGPT とプロンプト、Python・GAS による自動化、Excelでの効率化 議事録や報告書の下書き、定型の作業の自動化 オンライン。専属のエンジニアがマンツーマンで指導 8週間か12週間 231,000円(8週間)、312,000円(12週間)。入学金を含む 無料カウンセリング
ヒューマンアカデミー 生成AI・ノーコード講座 生成AIの基礎、職種別の活用、ノーコードツール「Dify」による自動化 職種に合わせた使い方と、ノーコードでの業務の自動化 オンラインの学習システムで学び、月1回、ライブ形式のフォローアップウェビナー 4〜6か月 390,940円(入学金・システム利用料を含む) 無料個別説明会(対面かオンライン)
DMM 生成AI CAMP 学び放題 営業・人事・マーケティングなど職種別のコースほか、約1,000レッスン 自分の職種での幅広い使い方 オンラインの動画とAIチューター。講師のライブゼミにも参加できる 1か月ごと 月16,280円 60分の無料セミナー

※2026年10月時点

受講料の負担を減らせる国の教育訓練給付には、年齢の条件がない。雇用保険に入っていた期間が原則3年以上あるなどの条件を満たし、国の指定を受けた講座を修了すると使える。給付の額は受講費用の20%から最大80%で、一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の順に高くなる。教育訓練給付の制度のうち、年齢で条件が分かれるのは、離職中に専門実践の講座を受ける人向けの「教育訓練支援給付金」だけで、受講開始時に45歳未満などの条件がつく。

侍エンジニアは公式ページの料金表で、12週間プランを給付金の対象、8週間プランを対象外としている。料金表に制度の名前はないが、同じページの注記には、侍エンジニアが専門実践教育訓練給付金の認定を受けていると書かれている。AIスクールの6講座のうち、侍エンジニア以外の5講座は、講座の公式ページに教育訓練給付の対象とする記載がない。

ヒューマンアカデミーの講座は、教育訓練給付とは別に、転職を目指す在職者に向けた経済産業省の「リスキリングを通じたキャリアアップ支援事業」の対象になっている。

45歳以上の人が勤め先の訓練として、職場での実習と、教室での研修か講師とリアルタイムでやり取りするオンライン研修を組み合わせて受けるときは、会社が国の人材開発支援助成金を「中高年齢者実習型訓練」で申請できる。ただ、期間が2か月以上で、6か月換算で計425時間以上の訓練であることなどが条件で、短い入門講座だけでは当てはまらない。

40代・50代の学び直しは、無料の講座や相談からも始められる

「マナビDX」は、経済産業省とIPAが審査し、デジタルスキル標準などに合うと認めた講座だけを載せるポータルサイトだ。受講料無料の講座もあり、お金をかける前に試せる。何を学ぶかの相談は、47都道府県にあるキャリア形成・リスキリング支援センターで、個人でも無料で受けられる。

在職者向けの生成AIの講習は、都道府県が開く職業訓練でも探せる。たとえば埼玉県の職業能力開発センターは、Google Gemini の使い方を学ぶ「初めての生成AI活用」を、2027年1月14日から木曜の夜に4回開催している。受講料は2,000円で、教科書代の1,540円は各自で負担する。申し込みは2026年12月1日〜10日で、定員を超えると在職者を優先して抽選になる。

AIスクールの無料のカウンセリングや個別相談、体験レッスンを受ける前に、「毎週の会議の議事録」「部下から届く報告メール」のように生成AIを使う場面を1つ決めておくと、講座の教わり方が自分に合うかを確かめやすい。

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