ネオクラウド(Neocloud)とは・意味、由来・事例・ハイパースケーラーとの違い

最終確認日:2026年10月31日
ネオクラウドとは?
ネオクラウドとは、AIの学習や推論に使うGPUの計算能力の提供に絞った、新しい型のクラウド事業者のこと。GPUは、AIの計算に広く使われる半導体だ。英語では「Neocloud」と書く。
Microsoft は、スタートアップ向けの解説で、汎用の企業向けアプリではなくGPUの計算とAIの処理のために作られたクラウド事業者と説明している(※1)。ソフトバンクは「高性能なGPU中心のインフラとAIネイティブサービスを提供する大規模なAIワークロードに特化したクラウドプラットフォーム群」と注記している(※2)。
比べる相手は、ハイパースケーラーと呼ばれる大手のクラウド事業者だ。調査会社の Synergy Research Group は、ハイパースケーラーの例に Amazon、Microsoft、Google を挙げ、ネオクラウドの主な企業の例に CoreWeave、Crusoe、Core Scientific、Lambda、Nebius、Nscale を挙げている(※3)。
ネオクラウドが提供するサービスと料金
提供するものは事業者によって違う。Synergy Research Group が挙げるサービスは、GPUをサービスとして貸す GPUaaS(GPU-as-a-Service)、生成AIのプラットフォーム、高密度のデータセンターの容量などだ(※3)。
Microsoft の解説は、GPUの貸し出しについて次の点を挙げている(※1)。
- GPUのまとまりを、仮想化の層を挟まない物理サーバー(ベアメタル)の形で届ける。
- サーバーの中のGPUどうしを NVLink で、サーバーの間を InfiniBand でつなぐ。どちらも高速な接続の技術だ。
- 料金は、GPU1基の1時間あたりの定額であることが多い。そのため、作業を始める前に費用を計算できる。
- 処理の割り振り、故障への対応、データの移動、更新の適用などは、ベアメタルでは利用者の側の仕事になる。
ベアメタルの貸し出しだけが形ではない。ソフトバンクの「AIデータセンター GPUクラウド」は、コンテナ(アプリを動かす環境をまとめたもの)の管理を任せる機能や、LLM(大規模言語モデル)の推論をAPIで呼び出す機能を備えると発表されている(※2)。
ネオクラウドとハイパースケーラー・ハイブリッドクラウドの違い
Microsoft は、スタートアップがクラウドを選ぶ場面を想定して、違いを説明している(※1)。同社はハイパースケーラーの側の事業者でもある。
| 種類 | Microsoft の説明の中心 | 挙げている場面 |
|---|---|---|
| ネオクラウド | GPUの計算に絞る。学習の作業ではハイパースケーラーよりGPU1時間あたりの価格が低いことが多く、早く使えることも多い | モデルの学習や大規模な推論が中心で、GPUの確保が課題のとき。GPU1時間あたりの費用が予算を左右し、ベアメタルを運用できる技術者がいることも条件に挙げる |
| ハイパースケーラー | 計算、保存、データベース、認証、セキュリティなどを1つの基盤と契約で幅広く提供する | アプリやデータベースの運用はハイパースケーラーの強みとする。ネオクラウドが向かない場面には、商談にコンプライアンスの認証が要るときや、本番の環境全体を1社に任せたいときなどを挙げる |
| ハイブリッドクラウド | 社内や専用の施設に置く非公開の基盤と公開のクラウドを組み合わせる | 主に、データを直接管理したいとき、データの置き場所の要件を満たしたいとき、遅延を減らしたいとき |
※2026年10月時点
同じ解説によると、ネオクラウドは公開のクラウドだ。ネオクラウドで学習してハイパースケーラーで製品を動かす形は、非公開の基盤を使わず公開のクラウドを2社使うので、ハイブリッドクラウドではなくマルチクラウドにあたる(※1)。
ネオクラウドの由来と広まった背景
SemiAnalysis のニュースレターで、Dylan Patel 氏と Daniel Nishball 氏は2024年10月3日に「AI Neocloud」を定義した。GPUの計算能力の貸し出しに力を入れる新しい型のクラウド事業者という定義だ(※4)。
Microsoft は、この記事が新興のGPU中心の事業者に共通の名前を与えたと説明している(※1)。SemiAnalysis は2026年の記事と投稿で、同社の研究者が作った語だと述べている(※5、※6)。
Microsoft によると、AIの計算の需要が既存の基盤の供給を上回るなかで、この語は2025年を通じて広く使われるようになった。Microsoft の解説は、大手のクラウド事業者でGPUの容量が不足してきたことも、ネオクラウドの伸びの理由に挙げている(※1)。日本では、ソフトバンクが2026年5月の発表で自社の事業を「ネオクラウド事業」と呼んでいる(※2)。
ネオクラウドに関する主な出来事・ニュース
- 2024年10月3日 Dylan Patel 氏ら「AI Neocloud Playbook and Anatomy」を公開:Dylan Patel 氏と Daniel Nishball 氏は、SemiAnalysis のニュースレターで、AI Neocloud を定義した記事を公開した。
- 2025年9月8日 Nebius、Microsoft との契約を届け出:Nebius の子会社は、ニュージャージー州 Vineland の新しいデータセンターで、GPUの基盤を5年間 Microsoft に提供する契約を結んだ。
- 2026年3月16日 Nebius、Meta との新しい契約を発表:Nebius は、契約額が最大で約270億ドルになる、5年間のAIインフラの供給契約を Meta と結んだと発表した。
- 2026年4月2日 Synergy Research Group、2031年までの予測を発表:Synergy Research Group は、2025年通年のネオクラウドの売上が250億ドルを超えたと発表し、2031年に4,000億ドル近くに達すると予測した。
- 2026年5月25日 ソフトバンク「AIデータセンター GPUクラウド」の提供の予定を発表:ソフトバンクは、ネオクラウド事業として、2026年10月からこのサービスを提供するとした。
- 2026年7月2日 ソフトバンクなど「SB Neo」の設立を発表:ソフトバンクとソフトバンクグループは、ネオクラウド事業を米国で手がける会社「SB Neo」(仮称)を7月に設立するとした。
- 2026年10月14日 ガートナー、AIインフラ投資の減損のリスクに関する見方を発表:ガートナーは、AI事業者が今の設備投資のペースを続ければ、3兆5,000億ドルを超えるAIインフラ投資が2030年末までに減損(資産の価値の切り下げ)の対象になりうるとした。同社は、2030年までにネオクラウド事業者の統合が進むとも予測した。
ネオクラウドに関する事例・調査
Nebius は Microsoft や Meta と計算能力の供給契約を結ぶ
Synergy Research Group がネオクラウドに挙げる Nebius は、大手のIT企業に計算能力を売る契約を結んでいる。
2025年9月の Microsoft との契約の総額は、GPUの導入と提供が条件どおりに進むことを前提に、2031年までで約174億ドルだ。Microsoft が追加のサービスや容量を得れば、約194億ドルに増える。届出によると、この契約の義務は、必要な追加の資金を確保したことを Nebius が Microsoft に伝えてから始まる(※7)。
2026年3月の Meta との契約では、Nebius が120億ドル分の専用の容量を2027年の初めから提供する。Meta はこのほか、これから稼働する一部のGPUのまとまり(クラスター)の容量を、5年間で最大150億ドル分買うと約束した。発表の時点で Nebius は、この容量を他の顧客に売り、残りを Meta が買う形を考えていた(※8)。
CoreWeave の四半期売上は倍増も純損失
Synergy Research Group は、CoreWeave を従来のハイパースケーラーに最も直接に挑む企業と位置づける(※3)。
2026年4〜6月期の売上は25億7,500万ドルで、前年同期の12億1,200万ドルの2倍を超えた。同じ期の純損失は6億2,600万ドル(前年同期は2億9,000万ドル)で、純額の支払利息は6億4,000万ドルだった。6月30日時点の受注残は約1,040億ドルだ。受注残は、これから売上になると見込む契約の額で、サービスを条件どおりに提供できることが前提になる(※9)。
ソフトバンクは安川電機とGPUクラウドでフィジカルAIを実証
国内の例では、ソフトバンクが2026年5月の発表で、国内のデータセンターに築いたGPUの基盤で「AIデータセンター GPUクラウド」を2026年10月から提供するとした。同じ発表によると、ベータ版は提供より前の5月25日から同社とグループ会社で使い始めるとしていた(※2)。
同社と安川電機は、このサービスをフィジカルAIの開発基盤に使い、形が変わりやすいワイヤーハーネス(電線の束)を箱に収める実証を行ったと7月に発表した(※10)。
ソフトバンクなどは米国で「SB Neo」の事業を2027年度に開始へ
ソフトバンクとソフトバンクグループは、2026年7月の発表で、米国の会社「SB Neo」(仮称)がハイパースケーラーなど米国の大企業向けのサービスを2027年度に始めるとしている(※11)。
ガートナーはネオクラウドの8割超が2030年までに独立を失うと予測
ガートナーは2026年10月の発表で、費用の圧力と事業モデルの差別化の不足により、2030年までにネオクラウド事業者の80%を超える企業が独立した運営を続けられなくなると予測した。同社によると、ハイパースケーラーには多様な収益源があり、AIへの投資を何年も支えられる可能性がある。ネオクラウドは、AI向けのクラウド基盤などで早く収益を上げなければ運営を続けられないという(※12)。
「ネオクラウド」の範囲の違いと予測の読み方
ネオクラウドに入る企業は、資料によって違う。Synergy Research Group は、2025年10月の発表では OpenAI をネオクラウドの最大手に数えていた(※13)。2026年4月の発表では、OpenAI と Anthropic を、基盤モデルを提供する別の種類の事業者として分けている(※3)。売上や市場の予測を読むときは、どの企業を含む数字かを確かめる必要がある。
ネオクラウドと呼ばれる企業が、自らそう名乗るとは限らない。2026年の発表で、CoreWeave は自社を「The Essential Cloud for AI」、Nebius は「the AI cloud company」と書いている(※8、※9)。一方でソフトバンクは「ネオクラウド事業」と書いている(※2)。
Synergy Research Group の市場の予測やガートナーの統合の予測は、調査会社の見方で、確定した数字ではない。Synergy Research Group は2025年10月の発表で、ネオクラウド各社の計画には流動的な面が残るとしたうえで、全体としては成長の速い分野でシェアを着実に伸ばしているとみていた(※13)。
ネオクラウドに関する出典
※1 Microsoft「What is a Neocloud? | Microsoft for Startups」
※2 ソフトバンク「ネオクラウド事業として、「Infrinia AI Cloud OS」を搭載した「AIデータセンター GPUクラウド」を2026年10月に提供開始」(2026年5月25日)
※3 Synergy Research Group「Neocloud Market Forecast to Approach $400B by 2031, Driven by Surging AI Infrastructure Demand」(2026年4月2日)
※4 Dylan Patel, Daniel Nishball「AI Neocloud Playbook and Anatomy」(2024年10月3日、SemiAnalysis)
※5 Jordan Nanos ほか「Most Neoclouds Suck At Security」(2026年8月30日、SemiAnalysis)
※6 SemiAnalysis「Neocloud is now an entire industry」(2026年9月21日、X)
※7 Nebius Group N.V.「Form 6-K」(2025年9月8日)
※8 Nebius Group N.V.「Nebius signs new AI infrastructure agreement with Meta; deal to accelerate growth of Nebius’s core business in AI cloud」(2026年3月16日)
※9 CoreWeave「CoreWeave Reports Strong Second Quarter 2026 Results」(2026年8月11日)
※10 ソフトバンク「ソフトバンクと安川電機、フィジカルAIの開発基盤として「AIデータセンター GPUクラウド」を活用し、柔軟物体ハンドリングシステムを実証」(2026年7月13日)
※11 ソフトバンク、ソフトバンクグループ「米国でネオクラウド事業を展開する事業会社「SB Neo」を設立」(2026年7月2日)
※12 Gartner「Gartner Says Over $3.5 Trillion of AI Infrastructure Spending Could Be Exposed to Impairment by the End of 2030」(2026年10月14日)
※13 Synergy Research Group「Neoclouds Currently Growing by Over 200% per Year; Will Reach $180 Billion in Revenues by 2030」(2025年10月13日)




