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AI Washing(AIウォッシング)とは・意味、背景・事例・調査

最終確認日:2026年10月28日

AI Washingとは?

AI Washing(AIウォッシング)とは、企業が自社でのAIの使い方や能力を実際より大きく見せたり、使っていないAIを使っていると宣伝したりすること。英語では AI washing と書き、AI-washing とつなぐこともある。

米国証券取引委員会(SEC)の投資家諮問委員会は、2025年12月の勧告の中でAIウォッシングの意味を示した。この勧告での意味は、企業が業務や事業へのAIの組み込みやAIの能力について誤解を招く主張をすることだ(※2)。

この語は、米国では証券の規制の場で使われてきた。SEC は2024年3月、AIの利用について虚偽の説明をした投資顧問会社2社を処分した。このとき SEC の委員長は、投資顧問会社がAIのモデルを使っていないのに使っていると言って人々を誤らせることを AI washing と呼び、投資家を害すると述べた(※1)。

2026年1月には、米国の調査会社フォレスターが人員削減の説明にもこの語を使った。同社は、財務上の理由で決めた削減を、これから入れるAIのせいにする動きを「AI washing」と呼んだ(※6)。

AIエージェントの分野では、似た言い方もある。米国の調査会社ガートナーは、既存の製品を実質的なエージェントの機能なしにエージェントとして売り直すことを、日本語の発表で「AIエージェント・ウォッシング」と呼んでいる(※5)。同社はまた、コンサルティングのサービスをFDEと称して売り込むことを「FDEウォッシング」と呼んだ(※7)。FDEは、顧客の現場に入ってAIやシステムを作る技術者を指す。

AI Washingが注目されるようになった背景

当時の SEC の委員長だった Gary Gensler 氏は、2024年2月のイェール大学ロースクールでの講演で、AIウォッシングを取り上げた。同氏によると、新しい技術が出てくると投資家の関心が高まり、その技術を使っているという偽りの主張も出てくることがある。

同氏は、こうしたことが繰り返し起きてきたと述べた。同氏は、一般から資金を集める企業はAIの使い方とそのリスクについて正直である必要があるとした。同氏はまた、投資顧問会社や証券会社がAIの利用を偽ることも、証券法に違反するおそれがあると述べた(※3)。

Gensler 氏は同じ講演で、SEC に登録する企業のAIについての開示が増えていると指摘した(※3)。SEC の投資家諮問委員会によると、AIの影響をどう開示するかについて SEC の包括的な指針がなく、企業の開示はばらつきが大きく一貫していない。委員会は勧告で、企業に「AI」の語の定義を定めさせることなどを SEC に求めた。企業がAIの能力や利用を大きく見せないよう注意を促すべきだとも述べている(※2)。

AI Washingに関する主な出来事・ニュース

AI Washingに関する事例・調査

SEC はAIの利用を偽った投資顧問2社を処分

SEC が2024年3月に処分したのは、トロントの Delphia とサンフランシスコの Global Predictions だ。

SEC の命令によると、Delphia は2019年から2023年まで、SEC への届け出やウェブサイトなどで誤った説明を続けていた。顧客のデータを取り込むAIと機械学習を、投資の過程で使っているという説明だ。しかし同社には、説明したようなAIと機械学習の能力はなかった(※1)。

Global Predictions は2023年に、ウェブサイトとソーシャルメディアで、自社を「first regulated AI financial advisor」(規制を受ける初めてのAIの金融アドバイザー)と称していた。

SEC は、この主張を虚偽と認定した。2社は SEC の認定を認めも否定もせずに処分に応じ、Delphia は22万5,000ドル、Global Predictions は17万5,000ドルの民事制裁金を支払うことに同意した(※1)。

SEC の執行部門の責任者は、AIを投資の過程で使っているとうたうなら、その説明が虚偽や誤解を招くものでないようにする必要があると述べた。この責任者は、AIの導入について主張する上場企業にも、同じような誤った説明への注意を促した(※1)。

SEC はAIでの売買を偽って説明した運用会社などを処分

SEC は2024年10月、Rimar Capital の2社と、その経営者、取締役の計4者を処分したと発表した。SEC の命令によると、経営者は取締役の手を借りて、45人の投資家から400万ドル近くを集めた。

Rimar Capital の投資顧問会社は、AIで証券を売買する仕組みを持つと偽って説明されていた。運用資産や運用の成績についての偽りもあった。4者は合わせて31万ドルの民事制裁金を支払うことに同意した(※4)。

SEC の資産運用の担当部署の共同責任者は、この件の発表で、技術の能力について偽りを述べてAIウォッシングをする者を追及し続けると述べた(※4)。

ガートナーは本物のエージェント型AIのベンダーを約130社と推定

ガートナーの2025年6月の推定では、エージェント型AIを売るベンダーは数千社あるが、本物のエージェント型AIを扱うのは約130社にとどまる。

エージェント型AIは一般に、与えられた目標に向けて自ら作業の手順を決めて進めるAIを指す。同社によると、多くのベンダーはAIアシスタントやRPA、チャットボットなどの今ある製品を、エージェントの実質的な機能を加えないままエージェントとして売り直している(※5)。RPAは一般に、パソコンの定型の作業を自動で行うソフトウェアを指す。

フォレスターはAIを理由にした人員削減に「AI washing」の傾向を指摘

フォレスターは2026年1月、AIと自動化が2030年までに米国の雇用に与える影響の予測を発表した。同社によると、AIを理由にした人員削減を発表する企業の多くは、その仕事を担えるだけの成熟し検証されたAIのアプリケーションを持っていない。

同社はこれを「AI washing」の傾向と呼んだ。同社は2026年の働き方の予測で、AIを理由にした人員削減の半分以上が目立たない形で撤回されると見込む。早まって人をAIに置き換えることの運用上の難しさに、企業が気づくためだという(※6)。

AIをうたう製品や人員削減の説明をどう確かめるか

「AI搭載」「AIエージェント」とうたう製品やサービスを選ぶときは、AIをどこでどう使っているのかを確かめることが大切だ。Gensler 氏は2024年の講演で、企業は投資家に対して、AIという語で何を指すのかを示す必要が出てくる場合があると述べた。同氏は、社内のどこでどう使っているのか、自社で開発したのかほかから提供を受けたのかを、その問いの例に挙げている(※3)。

AIエージェントを名乗る製品では、エージェントである必要があるのかも見ておくと良いだろう。ガートナーのアナリストは、今日エージェント型とされている使い道の多くは、エージェント型の仕組みを必要としていないと述べている(※5)。

企業がAIを理由に人員削減を発表したときは、その仕事を担えるAIの用意がすでにあるのかが、見分ける手がかりになる(※6)。

AI Washingに関する出典

※1 SEC「SEC Charges Two Investment Advisers with Making False and Misleading Statements About Their Use of Artificial Intelligence」(2024年3月18日)
※2 SEC Investor Advisory Committee「Recommendation of the SEC Investor Advisory Committee Regarding the Disclosure of Artificial Intelligence’s Impact on Operations」(2025年12月4日)
※3 Gary Gensler「AI, Finance, Movies, and the Law – Prepared Remarks Before the Yale Law School」(2024年2月13日、SEC)
※4 SEC「SEC Charges Rimar Capital Entities and Owner Itai Liptz for Defrauding Investors by Making False and Misleading Statements About Use of Artificial Intelligence」(2024年10月10日)
※5 ガートナージャパン「Gartner、2027年末までに過度な期待の中で生まれるエージェント型AIプロジェクトの40%以上が中止されるとの見解を発表」(2025年6月25日)
※6 Forrester「Forrester: AI-Led Job Disruption Will Escalate, While Fears Of A Job Apocalypse Are Overstated」(2026年1月13日)
※7 Gartner「Gartner Predicts 70% of Enterprises Will Abandon Agentic AI Built by Vendor Forward-Deployed Engineering by 2028」(2026年9月29日)

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