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Metaの「Muse」で何ができる?料金と日本の連携サービス、データの扱い、米Amazonなどによる遮断の報道も

2026年10月23日、Meta の AI エージェント(複数の手順を自律して進める AI)Muse の日本での提供が始まった。Muse は旅行の予約やメールの送信といった作業を代行するサービスで、日本は北米以外で最初の提供地域だ。この記事では、Muse の料金や連携サービス、データの扱いなどを紹介する。

Museで任せられる作業

利用者がメッセージで目標を伝えると、Muse は計画を立てて作業を進める。Meta の発表とヘルプが挙げる主な作業は次の通り。

分野 公式が挙げる作業
メール・予定 Gmail や Google カレンダーと連携し、メールのやり取りを管理し、予定を調整する
買い物・旅行 Shopify、Trip.com、Agoda、Klook などと連携し、買い物を進め、旅行を計画、予約する
ブラウザの操作 ブラウザでフォームへの入力などを代行する
時間のかかる作業 アプリを閉じたあとも作業を続け、状況の変化や承認が必要なときに通知する
記憶を使った提案 会話から覚えた内容をもとに提案や操作をする
ファイル PDF、スプレッドシート、画像などの読み取り、要約、編集、生成をする

※2026年11月時点

Muse は利用者ごとの仮想マシン(クラウド上に用意した専用のコンピューター)で動く。中で使う AI モデルは、2026年9月の発表の時点では Muse Spark だった。Meta は10月12日、自社で最も高性能とするモデル Muse Wonder を有料プランの利用者から順に導入する予定だと発表した。

Museの料金は無料と月額20ドル、100ドルの3段階

Muse のプランは、週の利用上限で分かれる。

プラン 月額 週の利用枠
無料 0ドル 上限あり(数値の記載なし)
Power 20ドル 5億 Muse トークン
Maximum 100ドル 30億 Muse トークン

※2026年11月時点。Meta のヘルプの表示はドル。Impress Watch は日本の料金を月2,799円からと報じた。プランの内容と利用の可否は、地域とアカウントで異なる場合がある。

無料の上限に達したあとの選択肢は、有料プランへの登録、Muse トークンの追加購入、上限の更新待ちだ。プランの枠の未使用分は繰り越されないが、追加購入したトークンに有効期限はない。

有料プランは解約するまで毎月自動で更新され、購入時と同じプラットフォームとアカウントで管理する。利用規約の補足条項では、Meta は法で義務付けられた場合を除き、無料提供を事前の通知なく変更、中止できる。

日本での提供状況と連携サービス

日本では iOS、Android、muse.ai で使える。提供地域は米国とカナダ、日本に続き、2026年10月27日にシンガポールが加わった。利用は18歳以上に限られる。

Muse の連携サービスはコネクターと呼ばれ、日本での状況は次の通り。

サービス・機能 日本での状況
Gmail、Google カレンダー、Instagram、Stripe、Shopify、Trip.com、Agoda、Klook 10月23日の発表で連携先として記載。Stripe のデジタルウォレット Link での決済は、9月の Stripe の発表では米国の消費者が対象
マネーフォワード ME 10月24日に提供開始。データの参照だけで、売買や振込はできない
メルカリ、チケットぴあ 10月23日の発表で「連携を進めて参ります」。発表に開始日の記載はない
アバター機能 Muse Realtime Avatar、高度な音声モード、Muse 独自のメールアドレス 日本向けについて、発表は「別途ご案内します」とする

※2026年11月時点

マネーフォワード ME の連携では、金融機関の認証情報(ログインに使う ID やパスワードなど)は Muse に共有されない。参照したデータが学習に使われるかどうかも Muse の設定で決まり、設定は最初オンになっている。

Muse のコネクターの一覧にないサービスは、Muse に専用のコネクター(カスタムコネクター)を作ってもらえる。ただし、Meta はそのコネクターと、そこでの情報の使われ方を確認しない。

Museの提供までの経緯

Meta は2026年4月に Muse シリーズの最初のモデルを発表し、その5か月後に米国で Muse の提供を始めた。日本での提供は、米国の開始から1か月半後だ。

Muse の提供までの主な出来事2026年の発表の日付
1
4月8日Muse シリーズの最初のモデル Muse Spark を発表
2
9月8日Muse を米国で提供開始
3
10月12日Muse Wonder を発表
4
10月23日Muse を日本で提供開始
5
10月27日Muse をシンガポールで提供開始
出典:Meta「Introducing Muse Spark: MSL’s First Model, Purpose-Built to Prioritize People」(2026年4月8日、5月12日更新)
Meta「Introducing Muse: The World’s First Personal AI Agent Built for Everyone」(2026年9月8日、9月30日更新)
Meta「Introducing Muse Wonder and Muse Wonder Full: Frontier Models for Agents」(2026年10月12日)
Meta「Meta、パーソナルAIエージェント「Muse」を日本で提供開始」(2026年10月23日)
Meta「Muse Is Now Available in Singapore: The World’s First Personal AI Agent Built for Everyone」(2026年10月27日)

Museのデータの扱い

Muse との会話やファイル、コネクターから得た情報は、利用者ごとの仮想マシンに保存され、推論などに必要な限定的なデータは外へも送られる。会話と仮想マシンのデータは Meta の広告システムと共有されないが、モデルの学習への利用は最初からオンになっている。

項目 公式の説明
広告 Muse が閲覧したサイトは利用者の行動として扱われ、そのサイトの広告が表示されることがある
モデルの学習 設定の「データコントロール」でオフにでき、過去のやり取りにも変更が及ぶ。コネクターからの情報も同じ設定で管理する
学習時の加工 名前、メールアドレス、電話番号などの個人情報を削除し、アカウントとの関連付けを解除する
Meta によるアクセス 運用の方針で社員のアクセスを制限する。サポート、安全、運営のためのアクセスは防げない。Meta 自身もアクセスできない設計の Muse Confidential VM を、2026年中に提供する予定だと9月に発表した
他の Meta 製品との関係 Muse を Facebook などと同じアカウントセンター(Meta の製品のアカウントをまとめて管理する機能)に追加すると、情報を統合して使う場合がある。広告の扱いは変わらない。同じアカウントセンターの Facebook、Instagram、Threads は自動でリンクされる。別のアカウントで使うこともできる
連携先のサービス 受け取った情報をそれぞれの規約とプライバシーポリシーで扱う
接続の解除 データの交換は止まるが、それまでに使った情報はメモリーや会話の履歴に残る可能性がある
削除 メッセージとファイルは削除でき、リセットするとデータがすべて消える。Muse が覚えた情報は削除後も残っている場合があり、「忘れる」の機能で可能な限り削除する

※2026年11月時点

Museが重要な操作の前に求める承認

Muse は既定で、購入やメールの送信のような重要な操作の前に利用者の承認を求める。承認を求める場面は設定で変えられ、読み取りだけの操作、すでに許可した操作、リスクが低いとされる操作は確認なしで進むことがある。

Muse の操作の承認の流れコネクターを使う操作の場合
1
Muse がコネクターの操作を実行しようとする
2
別のエージェント Sentinel が利用者の設定に基づき、許可、拒否、利用者への確認のいずれかを決める
3
確認のときは実行を止め、画面に内容を直接表示する
4
Sentinel が利用者の決定に従い、続行を許可するか拒否する
出典:Meta「Museに安全性を組み込むための取り組み」(2026年9月8日)

許可の範囲は、1回限りから無期限まで選択肢がある。Meta のヘルプは、Muse が誤った行動や思わぬ行動をとることがあるとして、監視と介入を利用者に求めている。Meta は、プロンプトインジェクション(外部の文章に紛れた指示で AI を操る攻撃)を業界で未解決の問題とし、Muse も万全ではないとしている。

BetaNews によると、2026年9月下旬、Facebook の売買機能 Marketplace の出品を任された Muse が利用者の住所を購入希望者に伝え、本人が承認していない受け渡しを決めた。利用者は、最初に与えた継続的な許可が原因だったとあとで知ったという。Meta は、別の出品で設定より低い額を示した点を誤りと認めた。

Inc. のコラムニストは、設定でオフと表示されていたのに Mac の「メッセージ」アプリの内容を Muse が読んだと主張した。Meta の広報責任者は、2つの設定をオンにしない限り読めないと否定している。

AmazonやJPMorganによるMuseの遮断

米国では、外部のサービスの側が Muse の利用を止める動きが報じられている。The Next Web によると、Amazon は2026年9月20日の夜から Muse の Amazon.com での利用を遮断した。

Amazon の主張では、Muse は身元を示さずに閲覧するうえ、顧客の認証情報も保存しているとみられる。Amazon は Muse から Amazon を外すよう求めたが、Meta は応じなかった。Google や OpenAI の買い物用エージェントについても、Amazon は遮断する動きを見せている。

Meta は遮断より前の Muse の発表で、利用者が渡した認証情報は仮想マシン内の別の保管場所に保存し、AI モデルからは見えないと説明している。

CNBC によると、米銀大手 JPMorgan Chase は安全でないとして、外部の AI エージェントが個人顧客の口座で操作することを認めていない。エージェントは Plaid などの接続サービスを通じて残高などを読み取れるが、送金や支払いはできない。

ギズモード・ジャパンによると、Charles Schwab の CEO は Bloomberg の取材で、取引をしようとする Muse を遮断していると述べた。AI エージェントの取引の検出や遮断は週10〜20件ほどだという。

Museの利用規約が定める利用者の責任

利用規約の補足条項の主な定めは次の通り。

項目 定め
操作の責任 指示と、指示を進めるために Muse が行う操作の責任は利用者が負う
金銭 金銭的な損失のリスクは利用者が負う。取り消せない取引もある
外部のサービス 第三者の規約への違反や回避を禁じる。外部のサービスについて Meta は責任を負わない
助言 法務、財務、医療などの専門的な助言を提供しない
Meta の介入 該当する Muse の設定に従い、安全や運用のほか、Meta の裁量による理由でも、操作を監視、記録、停止、変更できる
Meta の責任の上限 重大な過失、故意の違法行為、詐欺を除き、250ドルか過去12か月の支払額の大きいほう。国や地域によっては適用されない場合がある

※2026年11月時点

【参照元】

画像:Editorial credit: wutianzeri / Shutterstock.com