スーパーインテリジェンス(Super Intelligence/SI)とは・意味、大統領令・企業のいう超知能との違い・事例

最終確認日:2026年10月27日
スーパーインテリジェンスとは?
スーパーインテリジェンスとは、一般には人の知能をはるかに超えるAIを指す語のこと。日本語では「超知能」とも呼ばれる。OpenAI、Meta、Microsoft AI の発表では、英語で superintelligence と1語で書かれている。
米国では、もう1つの使い方が加わった。トランプ大統領は2026年9月29日、連邦政府の行政機関が「Artificial Intelligence」「AI」の代わりに「Super Intelligence」「SI」を使うよう定めた大統領令に署名した(※1)。この大統領令は、SIの意味を今の法律にあるAIの定義と同じだとしている。つまり大統領令が替えたのは政府の文書での呼び名で、指す技術の範囲は当面変わらない(※1、※3)。
米国の政府がAIをSIと呼び替えた背景
大統領令は、呼び替えの理由を政府の見方として説明している。それによると、人工知能の分野は約70年前に米国で生まれ、名前も米国の科学者が付けた。
今の最先端のシステムは、人の知能の一部をまねたり自動にしたりするだけでなく、人の創意を高めるところまで来ているという。大統領令は、こうした技術の能力が伸びるにつれ、人工知能にとどまらずスーパーインテリジェンスの新しい時代を表すようになっていると位置づけた。そのうえで、政府の用語も技術の力と可能性を表すものにするとした(※1)。
ホワイトハウスは同じ日に、政策の要点をまとめたファクトシートを出し、新しい呼び名のねらいも説明した。各省庁がこの技術の能力と使い道を広げることに集中し続けられるようにするという(※2)。
スーパーインテリジェンスに関する主な出来事・ニュース
- 2023年5月22日 OpenAI「Governance of superintelligence」を公開:OpenAI は、AGI(汎用人工知能)よりはるかに能力の高い将来のAIを superintelligence と呼び、その開発の統治を考え始めるのに良い時期だとした。
- 2023年7月5日 OpenAI「Introducing Superalignment」を公開:OpenAI は、人よりはるかに賢いAIのシステムを人の意図に沿わせる「superintelligence alignment」の中核の技術の課題を4年で解くことを目標に、新しいチームをつくると発表した。これまでに確保した計算資源の20%を、今後4年でこの課題に充てるとした。
- 2025年7月30日 Meta の Mark Zuckerberg 氏「Personal Superintelligence」を公開:Meta の CEO の Zuckerberg 氏は、誰もが自分のための超知能を持てるようにするという同社の構想を示した。
- 2025年11月6日 Microsoft AI の Mustafa Suleyman 氏「Towards Humanist Superintelligence」を公開:Suleyman 氏は、人と人類のために働く超知能を目指すとし、そのために「MAI Superintelligence Team」をつくったと書いた。
- 2026年9月29日 トランプ大統領、大統領令「Inaugurating the Era of Super Intelligence」に署名:トランプ大統領は、行政機関がAIの代わりに「Super Intelligence」「SI」の語を使うよう定めた。
大統領令14434が定める対象と定義
AIからSIへの呼び替えの対象は法律以外の行政文書
大統領令は、法律で許される最大限の範囲で、各省庁にAIの代わりにSIを使うよう求めている。対象は、公式の書簡、一般への発信、ウェブサイト、報告書、政策の文書など、法律の条文以外の文書だ。すでに出された規則や大統領の命令、契約、助成金などの過去の文書を書き換えることまでは求めていない(※1)。
大統領令は、行政機関が該当する場面で「Artificial Intelligence」「AI」の語を認めないことも方針にしている(※1、※2)。
SIの意味は今の法律のAIの定義のまま
大統領令は、法律に別の定めがない限り、SIを米国法典第15編9401条第3号が定める「artificial intelligence」と同じ技術とシステムだとしている。この大統領令を実施するうえでは、大統領の新たな措置か連邦議会の法律で置き換えられるまで、この定義を使う(※1)。
米国法典のこの条文によると、AIとは人が決めた目的に沿って、現実や仮想の環境に影響する予測や推奨、判断を出すことができる、機械を基にしたシステムだ(※3)。
SIの新しい定義の案は大統領令の署名から60日以内に提出
大統領令は、大統領の科学技術担当の補佐官に、SIの連邦の定義を定める法律の文案を大統領へ出すよう命じた。定義は、大統領令の第1節が述べた技術の能力を反映するものとしている。期限は大統領令の署名から60日以内だ。文案には次のものを含める(※1)。
- 今の法律にあるAIの定義を、SIの定義で改めるか、広げるか、置き換えるかの評価。
- 今の法律の「artificial intelligence」「AI」の文言を合わせて改める案。
- 定義を行政機関の全体で使うために要る、大統領や行政による追加の措置の提案。
米国の政府のSIとAI企業がいう超知能の違い
米国の政府のSIと企業の superintelligence では、指しているものが今のAIか将来のAIかが違う。米国の政府のSIは、今の法律でAIと定めた技術とシステムをそのまま指す(※1、※3)。OpenAI、Meta、Microsoft AI が使う superintelligence は、これから実現を目指す将来のAIを指している(※7、※8、※9)。
OpenAI は2023年に、今後10年のうちにAIのシステムがほとんどの分野で専門家の水準を超えることも考えられると書いた(※7)。Microsoft AI の Suleyman 氏は、AGI がすべての作業で人に並ぶ時点だとすれば、超知能はそれをはるかに超える時点だと説明している(※9)。
Meta の Zuckerberg 氏は、ここ数か月で自社のAIのシステムが自分を改善する兆しが見え始めたと書いた。改善は今はまだ遅いが、超知能の開発が視野に入ったという(※8)。AIが自分自身を改善し続けることは、一般に再帰的自己改善と呼ばれる。
| 語・表記 | 使う主体 | 指すもの |
|---|---|---|
| Super Intelligence(SI) | 米国の連邦政府の行政機関 | 今の法律でAIと定めた技術とシステム。呼び名だけを替えた(※1、※3) |
| superintelligence | OpenAI | AGI よりはるかに能力の高い、将来のAIのシステム(※7) |
| personal superintelligence | Meta | 一人ひとりが目標をかなえる手助けをする、個人のための超知能(※8) |
| Humanist Superintelligence(HSI) | Microsoft AI | 人と人類のために働き、範囲を絞って制御できることを目指す高度なAI(※9) |
企業の間でも、超知能の中身は同じではない。Meta によると、業界の一部には、超知能を中央で一括して方向づけ、価値のある仕事をすべて自動にすべきだという考え方がある。同社は、自社の考え方はそれとは違うとしている(※8)。Microsoft AI は、高い自律性を持つ限りのない存在ではなく、問題を解くことを目的にした、特定の分野に寄ったAIを目指すとしている(※9)。
スーパーインテリジェンスに関する事例
米国の政府はサイトや政策の名前にSIを使う
SI.gov は、米国のスーパーインテリジェンスの政策の拠点だと名乗るサイトだ。科学の研究にSIを使う国の計画「Genesis Mission」や、学生や学校向けのコンテスト「Presidential SI Challenge」などを載せている(※4)。
ホワイトハウスのファクトシートは、大統領令より前の政策を紹介する文でもSIの語を使っている。ホワイトハウスが2026年3月に公表した政策の枠組みも、ファクトシートでは「National Super Intelligence Policy Framework」と書かれている(※2)。
SpaceXSI は提携の仕組みの名前に「Super Intelligence」を使う
SpaceX は2026年2月2日、xAI を買収したと発表した(※6)。今の xAI のサイトは、ブランドの名前を SpaceXSI としている。
AIのサービス「Grok」を開発する SpaceXSI は2026年10月22日、企業向けの提携の仕組み「SpaceX Super Intelligence Partner Network」を始めた。発表によると、先行して使える段階に130社を超える企業が加わった(※5)。
「SI」という略称を読むときの注意
大統領令が対象にするのは、米国の連邦政府の行政機関だ。法律の条文にあるAIの語は、この大統領令では変わらない(※1)。米国の政府の文書で「SI」とあれば、当面は従来のAIと同じ範囲を指すと読んでよい。
ただし、SIの定義は、今後の大統領の措置や連邦議会の法律で置き換えられる可能性がある。大統領令は、補佐官に新しい定義を定める法律の文案を求めている(※1)。企業の発表でいう superintelligence とは指すものが違うので、同じ「スーパーインテリジェンス」でも、どちらの意味かを文脈で見分けることが大切だ。
一般にSIは、情報システムの構築を請け負うシステムインテグレーションや、国際単位系の略称にも使われる。
スーパーインテリジェンスに関連する用語
- 再帰的自己改善:AIが自らの能力や自らを開発・改善する手順を繰り返し良くしていき、その成果を次の改良に生かしていくこと。
- ミスアライメント:AIのふるまいが開発者や利用者の意図、またはAIに求められる行動の指針からずれること。
スーパーインテリジェンスに関する出典
※1 The White House「Inaugurating the Era of Super Intelligence」(2026年9月29日)
※2 The White House「Fact Sheet: President Donald J. Trump Inaugurates The Era of Super Intelligence」(2026年9月29日)
※3 U.S. Government Publishing Office「15 U.S.C. 9401 – Definitions」(米国法典 2024年版)
※4 SI.gov「America’s Super Intelligence Initiatives」
※5 SpaceXSI「Introducing the SpaceX Super Intelligence Partner Network」(2026年10月22日)
※6 SpaceXSI「xAI joins SpaceX」(2026年2月2日)
※7 OpenAI「Governance of superintelligence」(2023年5月22日)
※8 Mark Zuckerberg「Personal Superintelligence」(2025年7月30日、Meta)
※9 Mustafa Suleyman「Towards Humanist Superintelligence」(2025年11月6日、Microsoft AI)
※10 OpenAI「Introducing Superalignment」(2023年7月5日)




