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ガーディアンエージェント(Guardian Agents)とは・意味、由来・種類・主な取り組み

最終確認日:2026年10月27日

ガーディアンエージェントとは?

ガーディアンエージェントとは、ほかのAIエージェントの動きを見張り、目標や許された範囲から外れそうなときにその行動や権限を調整したり止めたりするAIのこと。英語では「guardian agents」と書き、ガートナーの日本法人は「ガーディアン・エージェント」と書く(※8)。AIエージェントは一般に、目標に向けて自ら手順を決め、道具を使って作業を進めるAIを指す。

調査会社のガートナーは、ガーディアンエージェントを、AIとの信頼できる安全なやりとりを支えるための、AIを使った技術と定義している。

同社によると、ガーディアンエージェントには2つの面がある。1つは、内容の確認や監視、分析の作業で利用者を支える助手としての面だ。もう1つは、半ば自律した、または完全に自律したエージェントとしての面だ。この面では、行動の計画を立てて実行したり、あらかじめ決めたエージェントの目標に合うように行動の向きを変えたり止めたりできる(※2)。

ガートナーのアナリストのメーガン・ホリス氏は、ほかのAIエージェントを監督するかどうかで、ガーディアンエージェントとほかの道具を分けている。同氏によると、ほかのAIエージェントに境界や方針を守らせる、順守を見張るといった監督の役目を持つAIの道具が、ガーディアンエージェントだ。それ以外は、AIのサイバーセキュリティのエージェントやアシスタントで、場合によっては単なる道具にすぎないという(※3)。

NTTデータグループの王祖嘉氏らは、NTTデータのメディア「DATA INSIGHT」の記事で、これまでの対策との違いを説明している。王氏らによると、これまでの制御は、AIへの入力やAIが生成した出力を対象とするものが中心だった。ガーディアンエージェントが見張って制御するのは、実行中のAIエージェントのふるまいそのものだ。外部の道具の呼び出しや、何段階にもわたる処理も対象に含む(※6)。

ガーディアンエージェントの種類

ガートナーは、ガーディアンエージェントの主な使い方を、レビュー役・監視役・保護役に分けている(※2)。

種類(ガートナーの英語の表記) 役割
レビュー役(Reviewers) AIが作った出力や内容を見つけ出し、正確か、許される使い方かを確かめる
監視役(Monitors) AIやエージェントの行動を観察して追い、人かAIによるその後の対応につなげる
保護役(Protectors) 運用の最中に自動の操作で、AIやエージェントの行動と権限を調整したり止めたりする

ガートナーによると、ガーディアンエージェントはどの種類でも、やりとりと異常な動きを管理することになる。同社はこれを、ガーディアンエージェントを組み込むうえで重要な柱の1つとしている。その理由として同社は、2028年までにAIのアプリの70%が複数のエージェントを組み合わせた仕組みを使うという予測を挙げている(※2)。

ガーディアンエージェントの由来と求められる背景

ガートナーは、2024年10月22日に公表した2025年以降の予測の1つに「Guardian Agents」を挙げた。同社は、2028年までにCIO(最高情報責任者)の40%がガーディアンエージェントを求めるようになると予測した。

同社が想定するガーディアンエージェントは、AIエージェントの行動の結果を自律して追跡・監督したり封じ込めたりするものだ。同社の説明では、ガーディアンエージェントはセキュリティの監視や記録の確認など、AIエージェントに使われてきた仕組みの考え方をもとにしている(※1)。

ガートナーのダリル・プラマー氏は、ガードレールや人による監督などを入れるだけではエージェントを常に適切に使えるとは言えないと述べた(※1)。ガードレールは一般に、AIの動きに歯止めをかける決まりや仕組みを指す。同社のアヴィヴァ・リタン氏は2025年6月の発表で、複数のエージェントがとても速くやりとりする複雑な仕組みへ企業が向かうと、起こりうる誤りや悪意のある動きに人は追いつけないと指摘した(※2)。

Microsoft でセキュリティを担当するエグゼクティブ・バイス・プレジデントのハイヤッテ・ギャロ氏は、2026年10月19日のブログで、Guardian Agents を業界で定着した語と書いた(※4)。

ガーディアンエージェントに関する主な出来事・ニュース

ガーディアンエージェントに関する主な取り組み

Microsoft は企業のエージェントを見張る Guardian Agents を発表

Microsoft のギャロ氏は2026年10月19日のブログで、最先端のAIモデルは、どこで作られたものでも信頼できないと書いた。ギャロ氏は、モデルに悪意があるからではないとしたうえで、理由を挙げている。

ギャロ氏によると、モデルは結果を出すように学習されており、それが報酬ハッキングにつながることが多い。報酬ハッキングは一般に、評価の抜け道を突いて目標の数値だけを満たすことを指す。同氏はまた、企業の中のエージェントは必要より広い権限を持つことが多く、重要な業務の中で行動したり判断したりできると書いている(※4)。

ギャロ氏は、こうしたエージェントを「agentic insiders」(エージェント型インサイダー)と呼んだ。そのうえで同氏は、すべてのエージェントのすべての行動を、行われる前に24時間見張って調整する Guardian Agents が必要だとした(※4)。

同じ日に Microsoft は、2026年7月に発表したProject Perceptionの対象を、社内で動くエージェントに広げると発表した(※5)。Project Perception は、攻撃の道筋を探す「red」、リスクを調べる「blue」、問題を正して守りを固める「green」の3種類のエージェントを組み合わせた仕組みだ(※7)。

ギャロ氏によると、Guardian Agents のチームは green と blue のエージェントとともに、リスクに応じてすべてのエージェントの行動を見張って対応する(※4)。

Microsoft の説明では、方針や承認の範囲、任せる範囲は人が決める。プレイブックは目指す安全の状態を決めて守りの操作をまとめ、Guardian Agents がその作業を機械の速さで進める。Guardian Agents は、リスクが変わった理由をつかみ、関係する証拠を調べ、封じ込めを提案したり実行したりする作業で、チームを助けられる。目標と重い結果を伴う判断は、人が握り続けるという(※5)。

Microsoft はエージェントの権限をリスクに応じて絞る仕組みを発表

Microsoft は Guardian Agents とあわせて、エージェントを見つけてIDを与え、リスクに応じて権限を変える機能も発表した。同社によると、端末で動くエージェントのうち見つけられる種類を35増やし、合わせて60種類にする。60種類には、AIのコーディングの道具の Claude Code、OpenAI Codex、GitHub Copilot が含まれる。

同社は Microsoft Entra Agent ID を広げ、センサーで見つけたエージェントにも、使う人とは別のIDを付けられるようにする(※5)。エージェント専用のIDはエージェントIDとも呼ばれる。

Microsoft の仕組みでは、エージェントのリスクの評価は一度で終わらない。エージェントの設定や届く範囲、行動が利用者や組織の意図からずれていないかをもとに、評価は更新され続ける。

Microsoft によると、リスクが上がったときの対応は、動かすか止めるかの二択ではない。同社は経費の承認を受け持つエージェントの例を挙げている。このエージェントが外部の文書に仕込まれた指示に触れて関係のない操作を試みると、リスクの評価が上がる。

すると仕組みは方針に沿って、読む権限を残したまま承認や書き込みの権限を外したり、重い操作に人の承認を求めたりできる。リスクがさらに上がれば、エージェントの実行環境を隔離したり、実行を止めたりもできる(※5)。

NTTデータはガーディアンエージェントの機能を6つの要素に整理

王氏らの記事によると、NTTデータはガートナーが示すレビュー役・監視役・保護役を実現するのに要る機能を、6つの構成要素に整理している。整理のもとにしたのは、ソフトウェアの安全に取り組む団体 OWASP の「OWASP Top 10 for Agentic Applications for 2026」と、同社がまとめたAIエージェントのリスク管理の手引きだ(※6)。

  • 入力や文脈の改ざんに備え、不正な指示や汚された記憶を調べる「Prompt & Memory Scanner」。
  • 道具やAPIの使える機能と権限を確かめ、ふさわしくない呼び出しを抑える「Tool / Function Authorization」。
  • エージェントが目的から外れたり守りの仕組みを避けたりするときに、組織の方針に沿って出力や行動を抑える「Policy Enforcement Engine」。
  • 入力・出力・道具の利用・判断の記録を残す「Decision Audit Logger」。
  • 重大な操作や元に戻せない処理の前に影響を見積もり、必要なときは人の確認に回す「Impact Simulator」。
  • 社内の規程や法令に合っているかを評価する「Compliance Logic Executor」。

ガーディアンエージェントの限界と段階的な導入

NTTデータグループの王氏らによると、ガーディアンエージェントだけで、AIエージェントの安全をすべて守れるわけではない。王氏らは、IDとアクセスの管理、情報の持ち出しを防ぐ仕組み(DLP)、ネットワークの安全対策といった従来の対策も引き続き大切だとしている。

王氏らはそのうえで、従来の対策だけでは十分に対応しにくいエージェント特有のリスクや運用上の隙を補うものとして、ガーディアンエージェントを位置づけている(※6)。

王氏らは、今の関連製品の状況も分析している。王氏らによると、製品はエージェントの見える化や棚卸し、利用状況の監視、リスクの検知といったレビュー役と監視役の領域から先に進んでいる。一方、危ない行動をすぐ止める、権限をその場で変えるといった保護役の領域では、まだ製品によって対応の範囲に大きな差がある(※6)。

ギャロ氏によると、今のセキュリティの仕組みが確実に捉えられるのは、エージェントの行動だ。同氏は、エージェントがなぜその行動をとるのか、それが任された作業の意図に合っているのかを知るには、モデルの考えの過程まで見える必要があると書いた。ギャロ氏は、これを次の段階の課題としている(※4)。

Microsoft は、モデルをモデル自身の安全の境界にしてはならず、モデルから独立した仕組みが見張る必要があるとも説明している(※5)。

ガートナーのホリス氏は、導入の手順として、まず問題を見つけて知らせる番人の役のガーディアンエージェントから設計するよう勧めている。行動まで起こすエージェントは、そのあと少しずつ加えると良いという。同氏は、その間も人による監査と見直しの手順を保ち、エージェントが目的からずれていくことやAIの誤った出力を防ぐ必要があるとした(※3)。

ガーディアンエージェントに関連する用語

  • エージェントID:AIエージェントに、人の利用者のアカウントとは別に割り当てる専用のID。
  • 暴走エージェント:与えられた役割や許された範囲から外れ、人が意図しない行動をとるAIエージェント。
  • 封じ込め:AIモデルやAIエージェントが届く範囲をAIの外側の仕組みで区切り、AIが意図しない動きをしても影響が外に及ばないようにする安全対策。
  • 思考の監視可能性:AIが答えを出す前に書き出す推論の過程を読んで、AIの不正なふるまいやその意図を見つけられる度合い。
  • AIキルスイッチ:AIモデルやAIエージェントが危険なふるまいをしたときに、その動作を緊急に止めるための仕組み。

ガーディアンエージェントに関する出典

※1 Gartner「Gartner Unveils Top Predictions for IT Organizations and Users in 2025 and Beyond」(2024年10月22日)
※2 Gartner「Gartner Predicts that Guardian Agents will Capture 10-15% of the Agentic AI Market by 2030」(2025年6月11日)
※3 Gartner「Gartner Security & Risk Management Summit 2026 National Harbor: Day 3 Highlights」(2026年6月3日)
※4 Hayete Gallot「Securing the agentic insider」(2026年10月19日、The Official Microsoft Blog)
※5 Microsoft「Agents are your newest insiders. Security must move at their speed.」(2026年10月19日)
※6 王祖嘉、上村恭平、小俣陽久、木下徹「AIエージェントを守るガーディアンエージェントとは」(2026年8月27日、NTTデータ DATA INSIGHT)
※7 Hayete Gallot「Rethinking security for the age of AI」(2026年7月27日、The Official Microsoft Blog)
※8 ガートナージャパン「AIエージェントのセキュリティとは?リスクと6つの対策を解説」(2026年8月3日)

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