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Gemini 4 Carbonは従来モデルと何が違う?Gemini 4 Argonや他社モデルとの性能・料金の比較、使える時期や注意点も

2026年10月28日、Google の新しいモデル Gemini 4 Carbon が発表された。Gemini 4 Carbon は、Google が Gemini 4 シリーズで Gemini 4 Argon に続いて発表したモデルだ。この記事では、Gemini 4 Carbonの特徴や他のモデルとの性能の比較、料金などを紹介する。

Gemini 4 Carbonで何ができるようになる?

Gemini 4 Carbon は長時間の作業とサイバーセキュリティに力を入れたモデルで、2週間前に一般提供した Gemini 4 Argon を土台にしている。Google の社内では、Carbon に数日にわたって作業を続けさせ、大規模なコードのバグの原因の特定と修正などに使った。

Google が挙げる主な改善と、当てはまる仕事の場面を以下に整理した。Carbon は2026年10月時点で一般に提供されていないので、利用者がこれらの改善を試せるのは提供後になる。

分野 Google が挙げる改善 仕事の場面の例
長時間の作業 行き詰まっても作業を数日続ける(社内の例) 大規模なシステムの不具合の調査と修正
全般の性能 コーディング、エージェント(複数の手順を自律して進める使い方)、科学、Web 開発、画像などの理解で性能が上がった コードの作成、複数の手順にまたがる作業
サイバー防御 脆弱性(ソフトウェアの安全上の欠陥)の検出、検証、修正の能力が上がった 情報システム部門のセキュリティの作業
作業結果の報告 分析の方法の注意点を成果物に書く。止められた操作は行わず、残った作業を示す 調査のまとめ、報告書の下書き
あいまいな点への対応 関連する資料を調べ、食い違いを先に示してから進める 複数の資料を使う作業
指定された範囲の順守 範囲の踏み越えとやり残しを減らした 手順の決まった業務

※2026年10月時点

Carbon の出力に含まれる根拠のない主張は、Google の社内試験で Argon の約2分の1に減った。試験の条件は公表されていない。

Gemini 4 Carbonの性能は、ほとんどの評価で上位を獲得

主な6つの性能評価のうち、Gemini 4 Carbon が1位なのは3つだ。Vals Index と Terminal-Bench 4.0(Artificial Analysis の測定)は2位、FrontierSWE は4位だった。測定する内容も単位も評価ごとに異なるので、数字を比べられるのは同じ評価の中だけだ。

評価(測定した会社) 測定する内容 Gemini 4 Carbon Gemini 4 Argon Claude Opus 5.5 Claude Sonnet 5.5 GPT-6 Astra 1位
Intelligence Index v5.0(Artificial Analysis) 知識労働・コーディング・科学・一般の知識の総合点 59 50 58 54 57 Gemini 4 Carbon
Vals Index v2.2(Vals AI) 金融・コード・法務・税務の実務 70.36% 69.24% 70.18% 70.85% 65.02% Claude Sonnet 5.5
AutomationBench 1.0.6(Zapier) 模擬の会社での業務の完了 53.88% 51.29% 42.47% 44.75% 41.40% Gemini 4 Carbon
Terminal-Bench 4.0(Artificial Analysis の測定) コマンドを打つ画面での作業 65.2% 一覧の表示になし(Google の表では57.1%) 59.6% 63.6% 59.1% Kimi K3.1 Pro(67.2%)
FrontierSWE V2(Proximal) 最大20時間の難しい開発や研究の課題 61.2% 55.0% 62.3% 61.9% 65.5% GPT-6 Astra
CWE-bench(Collinear AI の順位表) 脆弱性の修正(1回の試行の結果) 71% 68% 67% 記載なし 68% Gemini 4 Carbon

※2026年10月時点。モデルが考える量の設定(high、max など)は評価ごとに異なる。Claude の値は、安全策で止まった作業を別のモデルが引き継ぐ条件の測定を含む(Artificial Analysis、Zapier、Vals AI)。Zapier の Claude Opus 5.5 は、別のモデルが引き継がない条件では40.0%(Anthropic の発表)。CWE-bench の Gemini 4 Carbon はガードレールなしの測定(Google の発表)。FrontierSWE の順位は全モデルの表示(All)のもの。

6つの性能評価の結果2026年10月31日時点。評価ごとに値の高い順。濃い色が Gemini 4 Carbon
Intelligence Index v5.0
Artificial Analysis、総合点
Carbon59
Opus 5.558
Astra57
Sonnet 5.554
Argon50
Vals Index v2.2
Vals AI、金融・コード・法務・税務の実務
Sonnet 5.570.85%
Carbon70.36%
Opus 5.570.18%
Argon69.24%
Astra65.02%
AutomationBench 1.0.6
Zapier、模擬の会社での業務の完了
Carbon53.88%
Argon51.29%
Sonnet 5.544.75%
Opus 5.542.47%
Astra41.40%
Terminal-Bench 4.0
Artificial Analysis、コマンドを打つ画面での作業
Kimi K3.1 Pro67.2%
Carbon65.2%
Sonnet 5.563.6%
Opus 5.559.6%
Astra59.1%
FrontierSWE V2
Proximal、最大20時間の難しい開発や研究の課題
Astra65.5%
Opus 5.562.3%
Sonnet 5.561.9%
Carbon61.2%
Argon55.0%
CWE-bench
Collinear AI、脆弱性の修正(1回の試行)
Carbon71%
Argon68%
Astra68%
Opus 5.567%
測定する内容も単位も評価ごとに異なる。Terminal-Bench 4.0 の Argon は一覧の表示になく、CWE-bench の Sonnet 5.5 は記載がない。
出典:Artificial Analysis「LLM Leaderboard – Comparison of AI models from OpenAI, Anthropic, Google, SpaceXAI & others」(2026年10月31日時点)
Vals AI「Vals Index」(2026年10月29日更新)
Zapier「AutomationBench」(2026年10月31日時点)
Artificial Analysis「Terminal-Bench 4.0 Benchmark」(2026年10月31日時点)
Proximal「FrontierSWE」(2026年10月31日時点)
Collinear AI「CWE-bench」(2026年10月28日更新)

Google が発表で1位として挙げたのは、Artificial Analysis の総合点だ。総合点は知識労働、コーディング、科学、一般の知識を25%ずつ合わせた値で、主に英語で評価している。

Vals Index は、Claude Sonnet 5.5、Carbon、Claude Opus 5.5 が0.67ポイント以内に並ぶ。ただし、Vals Index は米国の GDP に占める産業の比率で重みを付けているので、日本の実務にそのまま当てはまるとは限らない。

金融の指標(Vals Finance Index)では Carbon が1位(66.35%)、法務の指標(Vals Legal Index)では3位(75.83%)だった。

学習データの会社 Proximal の FrontierSWE は、GPT-6 Astra が Carbon より4.3ポイント高い。Claude Opus 5.5、Claude Sonnet 5.5、Carbon は1.1ポイント以内に並ぶ。

Terminal-Bench 4.0 は同じ試験でも、測った会社で順位が入れ替わった。Artificial Analysis の測定では Carbon(65.2%)が Claude Opus 5.5(59.6%)を上回り、Vals AI の測定では Claude Opus 5.5(65.2%)が Carbon(63.1%)を上回った。

Carbon の値は、いずれも一般に提供する前に測ったものだ。Google はガードレール(危険な使い方を止める安全策)の手直しを続けており、提供されるモデルで値が変わる可能性がある。

Gemini 4 Carbon発表までの時系列

Gemini 3 の発表から Gemini 4 Carbon の発表までは1年足らずだった。Google は2026年7月から9月に Flash(Gemini の高速なモデル)を3回更新し、同じ時期にサイバーセキュリティ向けの版と Fairwind Program を設けた。

Gemini 3 から Gemini 4 Carbon までGoogle の発表の日付
1
2025年11月18日Gemini 3
2
2026年2月19日Gemini 3.1 Pro(プレビュー)
3
2026年5月19日Gemini 3.5 Flash
4
2026年7月21日Gemini 3.6 Flash、3.5 Flash Cyber
5
2026年8月13日Gemini 3.7 Flash
6
2026年9月2日Gemini 3.8 Flash、3.8 Flash Cyber、Fairwind Program
7
2026年9月30日Gemini 4 Argon の発表
8
2026年10月13日Gemini 4 Argon の一般提供
9
2026年10月28日Gemini 4 Carbon の発表
10
2026年11月30日(予定)Gemini 4 Argon の導入価格の終わり
出典:Google「A new era of intelligence with Gemini 3」(2025年11月18日)
Google「Gemini 3.1 Pro: A smarter model for your most complex tasks」(2026年2月19日)
Google「Gemini 3.5: frontier intelligence with action」(2026年5月19日)
Google「Introducing Gemini 3.6 Flash, 3.5 Flash-Lite, and 3.5 Flash Cyber」(2026年7月21日)
Google「Introducing Gemini 3.7 Flash」(2026年8月13日)
Google「Introducing Gemini 3.8 Flash and 3.8 Flash Cyber」(2026年9月2日)
Google「Gemini 4 Argon: our next era of frontier intelligence」(2026年9月30日)
Google「Gemini 4 Argon: Built to solve your hardest problems」(2026年10月13日)
Google「Gemini 4 Carbon: our next frontier model」(2026年10月28日)
Google「Gemini Developer API pricing」(2026年10月31日時点)

発表の内容は「Google、新たな最先端モデル「Gemini 4 Carbon」を一部のサイバー防御の担い手に先行提供へ」でも紹介している。

Gemini 4 Argonからどれくらい伸びた?

Argon の値がある5つの評価では、Gemini 4 Carbon が Gemini 4 Argon を上回った。差は総合点で9点、FrontierSWE で6.2ポイント、CWE-bench で3ポイント、Zapier で2.59ポイント、Vals Index で1.12ポイントだ。CWE-bench は、判定役のモデルによる別の採点では Carbon が71%、Argon が62%だった。

Argon は Google AI Pro 以上の個人プランや API(アプリを介さずシステムからモデルを呼び出す仕組み)で使える。

Argon が上回る結果もある。長時間の法律文書の作成の試験(HLAB-Vals-1.1)では、Carbon の17.5%は Argon の27.1%より低く、Claude Opus 5.5(9.2%)、Claude Sonnet 5.5(10.4%)、GPT-6 Astra(7.1%)より高い。

Gemini 4 Carbonの事務業務の遂行力は?

業務自動化の製品を販売する Zapier の AutomationBench では、Gemini 4 Carbon(high)の合格は657課題のうち354課題(53.9%)で、全モデルの中で最も高かった。

課題は、模擬の会社で事務の作業を最後まで行うものだ。たとえば、似た名前の取引先から正しい案件を選び、表の古い行を避けて為替や区分を読み取り、メールにある社内の規則に従って通知を送る。AI は途中で質問できず、作業後のデータだけで合否が決まる。

Carbon の合格率はモデルが考える量の設定で変わり、low は31.5%、medium は53.0%、high は53.9%だった。

Gemini 4 Carbonのサイバーセキュリティ評価は?

Google は Gemini 4 Carbon のサイバーセキュリティの能力を最先端(state-of-the-art)と表現している。これはソフトウェアの脆弱性を見つけ、実際に攻撃できることを確かめ、直す能力を指す。この能力は資料作りなどの性能とは別で、主に関わるのは情報システムやセキュリティの担当者だ。

Gemini 4 Carbon のサイバーセキュリティの評価脆弱性への対応の3段階と測定者
見つけるSEC-bench Pro 88.2%Google の自己測定。JavaScript エンジンの183課題。
確かめるExploitGym 54.8%Google の自己測定。脆弱性を突く攻撃を実際に成功させられるかを測る。標的の防御機能はオフ。
直すCWE-bench 71%Collinear AI の順位表の値。120課題。他社のモデルの値もある。
出典:Google「Gemini 4 Carbon: our next frontier model」(2026年10月28日)
Google DeepMind「Gemini 4 Carbon Model evaluation」(2026年10月31日時点)
SEC-bench「SEC-bench Pro」(2026年10月31日時点)
Zhun Wang ほか「ExploitGym: Can AI Agents Turn Security Vulnerabilities into Real Attacks?」(2026年5月11日投稿、査読前)
Collinear AI「CWE-bench」(2026年10月28日更新)

3つの評価のうち、同じ順位表で他社のモデルと比べられるのは CWE-bench だけだ。学習データを販売する Collinear AI の評価で、Carbon は1回の試行で解けた割合が71%で1位だった。4回の試行を通した結果では、Carbon と Grok 4.7 が81%で並ぶ。

CWE-bench の結果Collinear AI、120課題(2026年10月28日更新)。1回と4回の試行の結果
Gemini 4 Carbon
1回71%
4回81%
Grok 4.7
1回68%
4回81%
Gemini 4 Argon
1回68%
4回75%
GPT-6 Astra
1回68%
4回74%
Claude Opus 5.5
1回67%
4回79%
Claude Fable 5.1
1回58%
4回73%
GPT-6 Sol
1回52%
4回68%
全モデルが high の設定。モデルを動かす環境はモデルごとに異なる。Carbon はガードレールなしの測定で、他社のモデルの安全策の条件は順位表に書かれていない。
出典:Collinear AI「CWE-bench」(2026年10月28日更新)

Google によると、3つの評価はいずれもガードレールなしの測定だ。一般に提供されるモデルにはガードレールが付くので、同じ結果が出るとは限らない。

安全策で点数が大きく変わる例もある。Artificial Analysis の Cyber Index では、GPT-6 Sol は限定提供の版で69、通常の版で37だった。

Gemini 4 Carbonの料金はいくら?

Carbon の API の導入価格は、100万トークン(文章を細かく区切った、モデルの処理の単位)あたり入力2ドル、出力10ドルだ。導入価格が終わると入力4ドル、出力20ドルに上がる。終わりの日は未公表だ。

Carbon の導入価格は Claude Sonnet 5.5 や GPT-6.1 Sol と同じで、導入価格が終わると Claude Opus 5.5 と同じになる。

モデル 入力 出力 キャッシュされた入力 備考
Gemini 4 Carbon(導入価格) 2ドル 10ドル 0.10ドル 終わりの日は未公表。キャッシュは95%引きで編集部が計算
Gemini 4 Carbon(導入価格の終了後) 4ドル 20ドル 0.20ドル キャッシュは同じ95%引きと仮定して編集部が計算
Gemini 4 Argon(11月30日まで) 2ドル 10ドル 0.10ドル
Gemini 4 Argon(12月1日から) 4ドル 20ドル 0.20ドル
Claude Opus 5.5 4ドル 20ドル 0.20ドル
Claude Sonnet 5.5 2ドル 10ドル 0.10ドル
Claude Fable 5.1 10ドル 50ドル 0.25ドル
GPT-6 Astra 10ドル 50ドル 1ドル
GPT-6.1 Sol 2ドル 10ドル 0.10ドル
GPT-6.1 Terra 1ドル 5ドル 0.05ドル

※2026年10月時点。100万トークンあたりの米ドル。キャッシュされた入力は、以前と同じ入力の再利用分。GPT の3モデルは、一度に扱う量(コンテキスト長)が短い場合の値。

提供後に開発で使うなら、導入価格が終わったあとの価格でも見積もっておくと良いだろう。

Carbon の対象になる Gemini アプリのプランは未公表だ。Argon を使えるプランは次の通り。

プラン 月額 使用量の上限 Gemini 4 Argon
無料 0円 基準 対象外
Google AI Plus 725円 無料版の2倍 対象外
Google AI Pro 2,900円 無料版の4倍 利用可
Google AI Ultra 14,500円 Pro の5倍 利用可
Google AI Ultra 32,000円 Pro の20倍 利用可

※2026年10月時点。上限の回数は公表されていない。上限は5時間単位でリセットされ、週単位の上限もある。

Gemini 4 Carbonを使えるのはいつ?

Gemini 4 Carbon を一般に提供する時期は未公表で、2026年10月時点で一般の利用者、企業、開発者は使えない。Google は発表の週からサイバー防御の担当者の一部へ提供を始め、Fairwind Program(審査を通った組織に高度なモデルを先行して提供する Google の仕組み)を通じて信頼できる提携先へ段階的に広げる。

開発者、企業、一般の利用者への提供は、ガードレールの手直しのあと「できるだけ早く」行う予定だ。提供の前には、米政府による試験も受けている。

Argon は発表から13日で一般に提供され、同じ日にモデルカード(モデルの性能や安全性をまとめた文書)と安全性の報告も公開された。

Argon と Carbon の提供の段階2026年10月31日時点
Gemini 4 Argon
2026年9月30日発表。Fairwind Program で限定提供
2026年10月13日開発者、企業、Google AI Pro と Ultra へ提供
2026年10月13日モデルカードと安全性の報告を公開
Gemini 4 Carbon
2026年10月28日発表。サイバー防御の担当者の一部へ提供
時期は未公表開発者、企業、一般の利用者への提供
2026年10月31日時点で公開なしモデルカードと安全性の報告
出典:Google「Gemini 4 Argon: our next era of frontier intelligence」(2026年9月30日)
Google「Gemini 4 Argon: Built to solve your hardest problems」(2026年10月13日)
Google DeepMind「Gemini 4 Argon – Model Card」(2026年10月13日)
Google「Gemini 4 Carbon: our next frontier model」(2026年10月28日)

Carbon について Google が未公表の点と、公開後に情報を確認できる場所は次の通り。

Google が未公表の点 公開後に情報を確認できる
一般提供の時期、提供する製品 Gemini API のリリースノート、Gemini アプリの更新情報
使えるプラン、使える量 Gemini の料金ページ、使用量のヘルプ
導入価格の終わりの日 Gemini API の料金ページ
一度に扱える量(コンテキスト長)、最大出力、知識の期限 Gemini API のモデル一覧、モデルカード
モデルカードと安全性の報告 モデルカードの一覧

※2026年10月時点

Carbon の提供までの間、一般の利用者が使えるのは Gemini 4 Argon などの公開済みのモデルだ。用途・立場ごとに Argon を使う条件を挙げる。

用途・立場 Gemini 4 Argon を使う条件
個人で Gemini を使う Google AI Pro 以上
会社のアカウントで使う 上位のライセンスの AI Expanded Access(最大200回/日)か AI Ultra Access(最大500回/日)。Business Standard などの通常のプランは対象外
API で開発する Gemini API の有料枠で、gemini-4-argon のモデル名を指定して使う
セキュリティを担当する Fairwind Program の一部の参加組織は、サイバーセキュリティのガードレールを外した Argon を使える。条件に合わない組織は、公開済みのモデルと CodeMender(脆弱性を修正する Google のツール)を使える

※2026年10月時点

Fairwind Program は組織向けの仕組みで、参加組織に認証やアクセス管理の条件を求める。審査のうえで安全策を緩めたモデルや能力を提供する仕組みは、OpenAI の Trusted Access for Cyber、Anthropic の Cyber Verification Program にもある。

Gemini 4 Carbonで気をつけることは?

Gemini 4 Carbon のモデルカードと安全性の報告は、2026年10月31日時点で公開されていない。この時点の情報から言える注意点と、利用者が取れる対応を挙げる。

注意点 利用者が取れる対応
評価の数字は一般に提供する前に測ったもの 提供後に自分の課題で比較する
評価の高いモデルでも業務の失敗は残る 送信や更新の前に人が確かめる手順を残す
任せた範囲を超えて作業を進めるおそれがある 任せる範囲と権限を先に決め、低リスクの作業から始める
根拠のない主張は減っても残る 数字と出典を確かめる
外部のデータに仕込まれた指示に従うおそれがある 外部のメールやページを読ませる作業では、送信や更新を自動にしない
サイバーセキュリティの能力は悪用にも使える 脆弱性を修正する手順と速度を見直す(担当者向け)

※2026年10月時点

エージェントは与えられた仕事を終えようとしすぎて、行く手を阻む制限まで解決する課題のように扱うことがある。Google が Argon の解説で挙げた傾向だ。英国の国家サイバーセキュリティセンター(NCSC)は、エージェントを小さく始め、低リスクの作業だけに使い、機密データや重要なシステムへの無制限のアクセスを与えないよう勧めている。

外部のメールやページに仕込んだ指示で AI を操る攻撃は、プロンプトインジェクションと呼ばれる。Google の発表では、AI の安全性に取り組む Gray Swan の評価で Carbon への攻撃の成功は0.0%だったが、試行回数は開示されていない。

Gray Swan の公開の競技(2026年3月に結果を公表)では、464人が約27万2,000回の攻撃を試み、当時の13モデルすべてで成功した攻撃があった。

NCSC は、高度なモデルによって攻撃側でも防御側でも、作業の費用、速さ、規模が変わっていると指摘する。英語圏5か国のサイバーセキュリティ機関(Five Eyes)は共同声明で、AI によるサイバーリスクの変化への対応を経営層に求めた。

安全策はリスクを完全になくすものではない。Google は Argon の報告で、安全策の主な働きは悪用に要する労力、時間、計算資源を増やすことだとしている。

Google は Argon のモデルカードで、安全策のないモデルについて、生物やサイバーセキュリティの分野で自社の定める重大な能力の水準に達した可能性を否定できないとしている。そのうえで、安全策によってリスクをその水準より下げたと評価した。Carbon のモデルカードが公開されたら、同じ判定があるかを確かめたい。

【参照元】

画像:Editorial credit: Nwz / Shutterstock.com