豪州の先住民保護区のレンジャー、人が確認するカメラ画像をAIで81.4%削減。処理期間は約6か月から2か月に短縮
Springl からの転載です。元の記事

オーストラリアのチャールズ・ダーウィン大学は10月13日、北部の西アーネムランドで先住民のレンジャーがカメラトラップの画像確認にAIを取り入れた研究を紹介した。Warddeken Land Management、同大学、オーストラリア連邦科学産業研究機構が、先住民主導の地域モニタリングにAIを生かす方法を探り、6月に学術誌Conservation Science and Practiceに掲載された論文にまとめた。
舞台はWarddeken先住民保護区の野生生物モニタリング「Mayh」プログラムで、土地管理が文化や保全の面で重要な動物にどう影響するかを調べている。Warddeken Land Managementは、この保護区の伝統的所有者が設立した先住民所有の非営利会社だ。
伝統的所有者は、カメラトラップのデータをオープンソースの仕組みで共有すると、関係のない第三者に再利用されかねないと懸念していた。導入方法と安全策を幅広く協議したうえで、プログラムでは2021年末、動物を検出する無料のAIモデル「MegaDetector」を取り入れた。このモデルは手元のサーバーにダウンロードして使える。データの所有権が利用者に残ることも適切と判断された理由だった。
2021年7月から2023年1月に、レンジャー68人がデータの処理や分析、翻訳に計1,572時間を充て、その95%を女性が担った。AIにより、確認が必要な画像は925,088枚から172,290枚に81.4%減り、処理期間は約6か月から2か月に縮んだ。データ処理の時間も、2週間あたり平均52.6時間から41.8時間に減った。
画像処理の時間が減る一方、土地管理への関わりは増え、種の同定に注ぐ力も増した。レンジャーは言語の記録のほか、報告書や動画、ワークショップなどでデータを伝える活動にも時間を回した。
論文は、AIとデータ管理ツールが言語の再活性化や氏族単位のモニタリングの目標を支えうることと、AIが先住民の統治や土地管理の仕組みを損なわないようにする方法を示した。
Warddeken Land Managementの生態モニタリング担当、カーラ・ペントンは、地域の声と知識、雇用を守ることを優先したと述べ、「人は今も確認に加わり、過程の一部だ」と話した。ペントンによると、収集から確認、処理まで人が関わり、自分たちの土地管理や意思決定にどう生かすかを当事者が決めるデータを「強いデータ」と呼んでいる。同社の上級レンジャー、スザンナ・ナブルワッドは、技術を土地で正しく使えるよう長老と話すことが大切だと述べた。
【プレスリリース】チャールズ・ダーウィン大学「Rangers reimagine AI in wildlife monitoring」
【参照サイト】Conservation Science and Practice「Reimagining artificial intelligence applications for Indigenous-led community-based wildlife monitoring: Insights from biodiversity surveys in the Warddeken Indigenous protected area in northern Australia」




