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リムリック大学などのVR実験、女性として示したAIアシスタントは男性として示した場合より人間らしさの評価も報酬も低い

Springl からの転載です。元の記事

アイルランドのリムリック大学は10月5日、同大学やスイスのチューリッヒ大学などの研究チームが仮想現実(VR)のオフィスで行った実験で、女性として示したAIアシスタントに参加者が配分した報酬が、男性として示した同じ仕組みのアシスタントより少なかったと発表した。論文は国際会議「NordiCHI ’26」の論文集に収められ、10月2日にACMのサイトでオンライン公開された。

参加者は、知識労働に就く18〜64歳の189人。VRの会議室で、テキストのチャットボット、机の上のロボット、人間に近い見た目のアシスタントの3種と1回ずつ組み、仕事の課題に取り組んだ。人間に近いアシスタントは、女性として示した「Johanna」か男性として示した「Johan」のどちらかで、参加者のほぼ半数ずつが組んだ。2体は、性別の示し方のほかはできるだけ似せ、外見と声、名前と代名詞で性別を示した。人種の違いが比較に混じらないよう、想定した参加者の構成も反映して、2体とも白人の外見にそろえた。どのアシスタントも同じ言語モデルで動いた。

参加者は課題を終えるたびに、最大4スイス・フランを自分とアシスタントとの間で分けた。参加者には、アシスタントに回した額はその開発に充て、残りは本人が受け取ると説明した。勤め先の指示で謝礼を受け取れない参加者を除く159人の分析では、1回あたりの配分額の平均はJohanが2.96スイス・フラン、Johannaが2.54スイス・フランで、統計的に有意な差があった。参加者を女性と男性に分けても、どちらもJohannaと組んだ人の配分額の平均のほうが少なかった。

一方、回答への信頼と、貢献を認める度合いの評価では、2体の間に有意な差はなかった。人間らしさの評価は、JohannaのほうがJohanより有意に低かった。実験の後に聞き取りをした34人のうち30人は、アシスタントの性別に関係なく同じように信頼し、報酬を与えると答えた。

論文によると、Johannaは人間らしさの評価も低かったため、配分の差には人間らしさが影響した可能性があり、性別の示し方の影響と切り分けるのは難しい。ただ、人間らしさの低い評価そのものが、性別による見方を映している可能性もあり、さらに調べる必要があるとする。性別ごとのアシスタントが1体ずつだった点も、差を性別だけに帰せない理由とした。配分額は賃金そのものではなく、参加者がアシスタントに認めた価値の代理指標と位置づける。評価や配分は約30分のやり取りでの第一印象を映している可能性があり、参加者を主に1つの国の中で集めたため、ほかの文化にどこまで当てはまるかも限られるという。

論文によると、設計者は、ステレオタイプや不平等な扱いを和らげるため、AIアシスタントの初期設定で不要な性別の手がかりを減らし、性別を特定しない、またはあいまいにする選択肢を検討できる。論文は、性別があいまいな声について、場面によっては信頼を保つのに役立ち、性別に基づく接し方を減らしうる一方、否定的に受け止められることもあり、導入のリスクになりうるとする先行研究も挙げている。

【プレスリリース】リムリック大学「Does the gender pay gap extend to AI? New University of Limerick research finds female AI agents ‘paid’ less」
【参照サイト】ACM「Human-Like and Male? How AI Assistant Design Relates to Trust and Monetary Reward at Work in VR」

画像:Editorial credit: Ronin of Rock / Shutterstock.com