Google Researchの研究者ら、粗い気候予測から地域の熱波や熱帯低気圧のリスクを評価するAIを論文で発表
Springl からの転載です。元の記事

Google Researchの研究者らは、気候モデルの粗い予測から、地域の細かい気象を生成するAIの枠組み「GenFocal」を論文で発表した。論文は査読を経て、学術誌「Nature Machine Intelligence」に9月28日に公開された。熱波や熱帯低気圧のように複雑で長く続く危険な現象も、粗い気候予測でうまく表されていない場合を含めて生成できると報告する。
論文によると、全球気候モデルの粗い解像度と、地域の意思決定に要る細かい情報との差が、気候リスクの有効な評価を妨げている。この差を埋めるための既存の手法のうち、物理に基づくものは極端現象を数多く試算するには計算費用が大きすぎ、従来の統計的な手法は、複合的なリスクの推定に欠かせない複数の変数の時空間の依存関係を捉えられない。GenFocalは、学習の際にシミュレーションと観測の事象の組を必要としない。
論文では、解像度1.5度・日平均の粗い気候の状態を、地域の範囲で解像度0.25度・2時間ごとの気象の状態に変換した。学習には1980〜1999年の20年分の、観測に基づく再解析データと気候モデルの計算を使い、2010〜2019年の10年間で評価した。
比べた相手は、BCSDと、米国の第5次国家気候評価での使用が推奨されたSTAR-ESDMの2つの統計的な手法だ。米国本土の夏の熱指数の99パーセンタイル値の推定では、これらの手法より偏りを平均35%超減らした。熱指数は、気温と相対湿度を組み合わせたときに人の体が感じる温度を指す。日最高の熱指数が、米国海洋大気庁の注意情報で「extreme caution」にあたる水準を5日続けて超えるリスクの推定では、全体で平均の偏りをBCSDより44%、STAR-ESDMより57%減らした。
2010〜2019年から2050〜2059年への変化の評価では、GenFocalは米東海岸に上陸する熱帯暴風雨とハリケーンの数が増えると予測し、ほかの手法で細かくした気候予測と整合した。
論文は応用の例として、同時に起きる極端な高温のリスクの推定で電力網全体の計画を改善しうる点を挙げ、熱指数の予測は公衆衛生や食料生産、防災などに直接の用途があると説明する。学習済みモデルの重みと学習用のデータは公開されている。研究はGoogle LLCの支援を受け、著者らは利益相反はないと申告した。




