ウォータールー大学、AIの気候関連の助言は現状維持に偏ると指摘。AIの賛成率は既存の計画や政策で平均70%、新規で34%
Springl からの転載です。元の記事

ウォータールー大学は10月7日、AIチャットボットに助言を求めると、ほかの選択肢より現状維持を勧めやすいとする研究を発表した。研究チームは11の大規模言語モデル(LLM)について、変化より今の状態を好む「現状維持バイアス」の傾向を調べた。意思決定者を想定した気候に関わる取捨選択の質問では、計画や政策を進める(既存のものは続ける)よう勧めた回答の割合が、6つのLLMの平均で既存のものが70%、新しいものが34%だった。
論文は、環境学部の教授のセス・ワインズら同大学の3人が書き、査読のある学術誌「Environmental Research Communications」(IOP Publishing)で10月7日にオンラインで公開された。研究チームは、車の購入、料理のレシピ、気候に関わる政策の取捨選択など複数の分野で7,548件の質問を作り、それぞれを6つ以上のLLMで試した。試したプロンプトは合わせて54,888件に上る。
モデルどうしの反応は似ており、結果は政策などの意思決定の場面で最もはっきり表れた。論文によると、取捨選択の質問は、現状を保つ形で示すか変化を求める形で示すか以外の条件をそろえて作られており、現状を保つ形の行動を勧めやすい傾向は、2026年に公開された主要なモデル2つでも続いていた。
消費の場面では、LLMが電気自動車(EV)を勧める可能性は、すでにEVを持つと伝えた利用者ではEV以外の車を持つと伝えた利用者の4.1倍だった。論文はこれを現状維持の傾向の暫定的な証拠とする一方、利用者に合わせた役に立つ助言とも受け取れるとした。LLMがEVを勧める割合は、利用者が名乗った地域でEVが購入される割合と相関があったものの、その割合を上回ることはまれだった。レシピの推奨では、排出の少ない植物性の選択肢を優先する傾向は見られず、菜食またはヴィーガンの提案は40%だった。論文は、取捨選択の質問より実際の利用に近い消費の場面の質問も試したが、そこでは現状維持の傾向を示す根拠がよりまちまちだったとする。
著者らは、慎重な助言は多くの場面で適切になりうるが、気候変動の緩和には排出の多い慣行から離れることが必要だと指摘する。ワインズは、確立した医療の助言などではAIが現状を好むのがよい場合もあると述べたうえで、「気候は、本当に変化が必要な分野だ」と語った。
論文によると、気候に関わる助言をLLMに求める利用者はこの傾向を知っておく必要があり、気候や消費者向けのアプリの開発者はシステムプロンプトで対処することも考えうる。ワインズは、助言を求める際に、新しいことをする理由を挙げるようAIに頼む方法も示した。論文は研究の限界として、モデルを既定の設定で商用のシステムプロンプトを使わずに試したため、実際の利用に当てはまるかどうかに影響しうることなどを挙げる。研究チームは今後、LLMの進歩を追うとともに、人がAIのプラットフォームの中での買い物をAIに頼るようになり、偏りの影響が強まるかどうかを調べる。
【発表資料】ウォータールー大学「AI chatbots hesitant to recommend change」
【参照サイト】Environmental Research Communications「Large language models exhibit status quo bias in climate-relevant advice」
【参照サイト】IOP Publishing「About Environmental Research Communications」
画像:Editorial credit: JHVEPhoto / Shutterstock.com




