国際エネルギー機関、3つの技術で世界の既存送電網に増強なしで最大330GWを接続可能と試算。デジタル化とAIの普及へ提言
Springl からの転載です。元の記事

国際エネルギー機関(IEA)は9月21日、系統運用者がAIを含むデジタル技術で既存の送配電網を有効に使う方法を調べた報告書「Modernising Grids in the Age of Electricity」を公表した。3つの技術を使えば、世界の70kV以上の既存の系統に、最大330GWの発電、蓄電、需要を増強なしに接続できると試算した。IEAは、普及を妨げる主な要因は技術の性能ではなく制度と組織にあるとし、5つの分野での行動を示した。
報告書によると、世界の電力需要が2035年までに見通しどおり伸びた場合、送配電網の容量を少なくとも30%増やす必要がある。IEAは、既存の設備をより有効に使うことにも、拡張と同じ優先度を置く必要があると訴える。
IEAが試算に含めたのは、送電網で導入が最も進んだ3種類の技術で、AIによる上積みは別に見積もっていない。気象条件に応じて送電線や変圧器が安全に流せる電力量を調整するダイナミックレーティング、系統構成を組み替えて混雑した線路を避ける手法、利用の少ない経路に電力を流す潮流制御だ。330GWを系統の拡張で接続するには、約1,000億ドルの投資が必要になるという。これらの技術の多くは数か月で導入できるが、報告書は拡張の代わりではなく補うものと位置づける。引き出せる容量は物理的な系統で上限が決まり、気象や系統の条件でも変わるため、需要の伸びに見合うほど系統の能力を高められないと説明する。
AIについては、使われていない容量の場所を見つけ、いつ安全に使えるかを予測する助けになるとした。計画や設備の管理に使う用途は比較的成熟している一方、安全に直結する運用の制御では、説明可能性や監査可能性、説明責任の要件が利用を制約している。
IEAがこの報告書のために行った調査では、大きな障壁として、技能と組織の態勢を挙げた系統運用者が64%で最も多かった。データの入手性と品質が60%、信頼の問題も60%、規制の枠組みが56%で続いた。回答したのは送電11、配電14の計25の運用者で、IEAは、回答数が少ないため大まかな傾向を示す結果として読むよう注記している。
IEAの提言によると、規制面の解決策には、新しい設備への資本支出をデジタルや運用による対応より優遇しない資金のルールや、使える容量の拡大など測定できる成果に結びつけたインセンティブが含まれる。データと可視性の向上は、屋根置き太陽光や電気自動車、ヒートポンプの接続が増える配電網で最も急がれると指摘した。人材では、電力会社と規制当局が電力システムとデジタルの両方の専門性を育て、業務の進め方も変える必要があるとした。
IEAによると、保証とセキュリティは最初から組み込み、用途の重要度に合わせる必要があり、検証や認証、人による監督の共通の手法が普及を支えうる。提言は、サイバーセキュリティを設計の中核の要件とし、運用データの保存場所などへの注意も促す。5つ目の分野の国際協力では、新興国・途上国に向けた的を絞った補助金や市場より低い金利の融資などが、電力会社のデジタル技術の早期導入を助けうるとした。
【報告書】IEA「Modernising Grids in the Age of Electricity」
【参照サイト】IEA「Executive summary」
【参照サイト】IEA「Modernising Grids in the Age of Electricity: Scaling digital technologies and AI for better use of existing networks」




